高額な役員退職金の分割支給は可能!?
役員として長く活躍した人が退職する際は、役員退職金が支給されます。
しかしその金額は、何千万円単位のものになりがちで、会社の資金繰りが苦しいときは経営を圧迫しかねません。
もし一度に支払うことがむずかしい場合は、複数年度に分けて支払うことも可能です。
今回は、高額な役員退職金の分割支給や要件、会計処理の仕方についてお伝えします。
しかしその金額は、何千万円単位のものになりがちで、会社の資金繰りが苦しいときは経営を圧迫しかねません。
もし一度に支払うことがむずかしい場合は、複数年度に分けて支払うことも可能です。
今回は、高額な役員退職金の分割支給や要件、会計処理の仕方についてお伝えします。
役員退職金を分割払いにするには?
役員退職金は、株主総会にて支給を決定します。
金額は、『最終役員報酬月収×役員在任年数×功績倍率(代表取締役:3倍、取締役:2倍が目安)』で計算されるのが一般的ですが、法的な縛りはないため、同業種同規模の会社の支給状況や、法人業務従事期間、事情などを勘案して、比較的自由に金額を決めることができます。
原則として、株主総会の決議などによって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度または実際に支給した日の属する事業年度に損金算入します。
退職金が高額な場合、一定の要件を満たすことで分割支給もできます。
分割支給する際は、下記の要件を満たしている必要があります。
(1)株主総会等で分割支給が決議され、かつ議事録を作成していること
(2)資金繰りが厳しいなど分割して支給する合理的な理由があること
(3)分割する期間が長期間に渡らないこと
(3)については、分割期間5年以上になると退職年金として取り扱われる可能性があるため、注意が必要です。
分割支給した場合の税務処理
前述の通り、株主総会等の決議により退職金が確定した日の属する事業年度に全額損金計上が原則となります。
しかしながら、事業年度の途中で役員が病気などにより退職した場合は、退職金の支給時期と税法上の損金算入時期とが一致しなくなるという事態が生じることになります。
このような不都合を回避するため、『実際に支給した日の属する事業年度』において損金として処理することも認めています。
つまり、分割支給した場合の会計処理は、『実際に支給した日の属する事業年度ごとに損金算入する方法』と、『確定した日の属する事業年度に全額を費用計上し、未払い分を未払計上する方法』のどちらかを選択することが可能です。
退職金を分割支給した場合の各事業年度における納税額は、所得税基本通達により退職金総額を基に源泉徴収すべき税額を計算し、その税額を各回の支給金額を按分して計算すること、と定められています。
また、退職金を受け取る役員の税務については、退職金は役員の『退職所得』となり、所得税・住民税の課税が問題になります。
退職所得は、他の所得とは区分して課税される『分離課税』の適用を受けることになっていて、原則として適正税額が源泉徴収されることになっています。
具体的な納付額の算出方法は、課税退職所得金額(退職金-退職所得控除額×1/2)を算出し、これに所得税の税率を掛けて、控除額を差し引いた残りの金額である『所得税額(基準所得税額)』と、この基準所得税額に2.1%を掛けて計算した『復興特別所得税額』を合計した金額が所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額となります。
住民税は原則として課税退職所得金額×(都道府県税率4%+市区町村税率6%)にて算出されます。
ただし、役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が課税退職所得金額となりますので、注意が必要です。
長年会社に貢献してくれた役員へは適正な額の退職金を支払わなければなりませんが、無理な支給による経営の悪化も避けたいところです。
退職金の分割支給を検討する際は、要件や処理についての検討・配慮を怠らないよう心がけましょう。
※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。
役員退職金は、株主総会にて支給を決定します。
金額は、『最終役員報酬月収×役員在任年数×功績倍率(代表取締役:3倍、取締役:2倍が目安)』で計算されるのが一般的ですが、法的な縛りはないため、同業種同規模の会社の支給状況や、法人業務従事期間、事情などを勘案して、比較的自由に金額を決めることができます。
原則として、株主総会の決議などによって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度または実際に支給した日の属する事業年度に損金算入します。
退職金が高額な場合、一定の要件を満たすことで分割支給もできます。
分割支給する際は、下記の要件を満たしている必要があります。
(1)株主総会等で分割支給が決議され、かつ議事録を作成していること
(2)資金繰りが厳しいなど分割して支給する合理的な理由があること
(3)分割する期間が長期間に渡らないこと
(3)については、分割期間5年以上になると退職年金として取り扱われる可能性があるため、注意が必要です。
分割支給した場合の税務処理
前述の通り、株主総会等の決議により退職金が確定した日の属する事業年度に全額損金計上が原則となります。
しかしながら、事業年度の途中で役員が病気などにより退職した場合は、退職金の支給時期と税法上の損金算入時期とが一致しなくなるという事態が生じることになります。
このような不都合を回避するため、『実際に支給した日の属する事業年度』において損金として処理することも認めています。
つまり、分割支給した場合の会計処理は、『実際に支給した日の属する事業年度ごとに損金算入する方法』と、『確定した日の属する事業年度に全額を費用計上し、未払い分を未払計上する方法』のどちらかを選択することが可能です。
退職金を分割支給した場合の各事業年度における納税額は、所得税基本通達により退職金総額を基に源泉徴収すべき税額を計算し、その税額を各回の支給金額を按分して計算すること、と定められています。
また、退職金を受け取る役員の税務については、退職金は役員の『退職所得』となり、所得税・住民税の課税が問題になります。
退職所得は、他の所得とは区分して課税される『分離課税』の適用を受けることになっていて、原則として適正税額が源泉徴収されることになっています。
具体的な納付額の算出方法は、課税退職所得金額(退職金-退職所得控除額×1/2)を算出し、これに所得税の税率を掛けて、控除額を差し引いた残りの金額である『所得税額(基準所得税額)』と、この基準所得税額に2.1%を掛けて計算した『復興特別所得税額』を合計した金額が所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額となります。
住民税は原則として課税退職所得金額×(都道府県税率4%+市区町村税率6%)にて算出されます。
ただし、役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が課税退職所得金額となりますので、注意が必要です。
長年会社に貢献してくれた役員へは適正な額の退職金を支払わなければなりませんが、無理な支給による経営の悪化も避けたいところです。
退職金の分割支給を検討する際は、要件や処理についての検討・配慮を怠らないよう心がけましょう。
※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。