「制服」「事務用品」会社はどこまで経費を負担するべき?
制服着用が定められている職場で、従業員が制服代を負担しているケースは少なくありません。
また、事務用品代、コピー代、ノートパソコン代などの備品代を負担しているケースもあるでしょう。
制服や備品は、従業員が仕事で使うために必要なものです。 こうした費用は会社が負担するのか、それとも従業員が自腹で出すべきなのか。
労働基準法ではどのように規定されているのでしょうか。 今回は、仕事で発生する経費の負担義務の範囲について解説します。
また、事務用品代、コピー代、ノートパソコン代などの備品代を負担しているケースもあるでしょう。
制服や備品は、従業員が仕事で使うために必要なものです。 こうした費用は会社が負担するのか、それとも従業員が自腹で出すべきなのか。
労働基準法ではどのように規定されているのでしょうか。 今回は、仕事で発生する経費の負担義務の範囲について解説します。
経費の負担範囲は会社が決めることができる
制服代や事務用品代、コピー代といった経費の負担は会社ごとの判断に委ねられており、労働基準法では明確に規定されていません。
どこまでを従業員が負担し、どこまでを会社が負担するかは、会社の判断次第なのです。
たとえば、「仕事で使用するノートパソコンの費用を従業員が負担する」と決めることもできます。
制服代も同様で、従業員に代金を負担してもらうことも可能です。
ただし、こうした経費の負担の範囲を決めるのであれば、就業規則にその内容を記載しておく必要があります。
就業規則を作成する際には最低限記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、記載する義務はないが、そのことに関してルールを決めた場合は記載しなければならない「相対的必要記載事項」というものがあります。
作業用品などの費用負担は「相対的必要記載事項」に該当しますので、従業員に負担させる場合は就業規則への記載が必要になります。
就業規則に経費の負担範囲が記載されていないにもかかわらず、従業員に負担させることはできません。
また、給料から経費の負担分を天引きすることはできません。
会社が従業員代表者との協定を結ばずに給料から天引きできるものとして、法律で定められているのは、次の三つです。
・所得税や住民税といった税金
・社会保険料
・雇用保険料
就業規則に記載がない以上、上記以外の経費を給料から天引きすることは禁じられています。
つまり、経費の負担範囲は会社が判断しますが、その内容をきちんと従業員に伝えておかなければならないのです。
会社と従業員の双方で認識を共有したうえで、初めて『事務用品代は従業員負担』などと決めることができます。
従業員に過度な負担をかけるとやる気の低下に
経費の負担範囲は会社の判断で決められますが、実際は会社がある程度負担しているケースが多いでしょう。
「何もかも従業員が負担する」ということでは、労働意欲の低下や、会社への信頼感の喪失につながりかねません。
会社によっては「出張費も従業員負担」としている場合もあるようですが、これはよいとはいえません。
事務用品なら少ない金額の負担で済みますが、出張費となると従業員の金銭的な負担が大きくなります。
そのような高額な経費を負担させ続けていると、従業員のモチベーションを低下させてしまいます。また、労働力の酷使とみなされてしまうかもしれません。
仕事に必要なものは、会社で負担するべき?
では、経費の負担範囲はどのラインに設定するべきでしょうか。これは会社の業種によっても異なります。
たとえば、仕事上パソコンが必須であるIT企業ではノートパソコンを、制服がある飲食店では制服代やクリーニング代を会社が負担するケースが多くあります。
このように、仕事内容から“絶対に必要なもの”は、会社が負担するべきかもしれません。
少なくともそのほうが、社員やアルバイトから不満の声が上がるリスクは少ないでしょう。
やはり常識的に考えて、「これは従業員が負担するのはおかしい」というものは、会社が負担するべきでしょう。
会社として利益を得るためには、ある程度経費がかかるのは当然のことです。
それを従業員に負担させるのは賢明な方法とはいえません。
会社の貴重な財産である“人財”からの信頼を失わないためにも、必要な経費は惜しまないようにしましょう。
人手不足の折、従業員の退職につながると、大きな損失になります。
その結果、一時的に会社側が損をしたとしても、長い目で見れば会社にとってプラスとなるはずです。
以上のことを踏まえて、会社と従業員、どちらが経費を負担するべきなのか、就業規則に定めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。
制服代や事務用品代、コピー代といった経費の負担は会社ごとの判断に委ねられており、労働基準法では明確に規定されていません。
どこまでを従業員が負担し、どこまでを会社が負担するかは、会社の判断次第なのです。
たとえば、「仕事で使用するノートパソコンの費用を従業員が負担する」と決めることもできます。
制服代も同様で、従業員に代金を負担してもらうことも可能です。
ただし、こうした経費の負担の範囲を決めるのであれば、就業規則にその内容を記載しておく必要があります。
就業規則を作成する際には最低限記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、記載する義務はないが、そのことに関してルールを決めた場合は記載しなければならない「相対的必要記載事項」というものがあります。
作業用品などの費用負担は「相対的必要記載事項」に該当しますので、従業員に負担させる場合は就業規則への記載が必要になります。
就業規則に経費の負担範囲が記載されていないにもかかわらず、従業員に負担させることはできません。
また、給料から経費の負担分を天引きすることはできません。
会社が従業員代表者との協定を結ばずに給料から天引きできるものとして、法律で定められているのは、次の三つです。
・所得税や住民税といった税金
・社会保険料
・雇用保険料
就業規則に記載がない以上、上記以外の経費を給料から天引きすることは禁じられています。
つまり、経費の負担範囲は会社が判断しますが、その内容をきちんと従業員に伝えておかなければならないのです。
会社と従業員の双方で認識を共有したうえで、初めて『事務用品代は従業員負担』などと決めることができます。
従業員に過度な負担をかけるとやる気の低下に
経費の負担範囲は会社の判断で決められますが、実際は会社がある程度負担しているケースが多いでしょう。
「何もかも従業員が負担する」ということでは、労働意欲の低下や、会社への信頼感の喪失につながりかねません。
会社によっては「出張費も従業員負担」としている場合もあるようですが、これはよいとはいえません。
事務用品なら少ない金額の負担で済みますが、出張費となると従業員の金銭的な負担が大きくなります。
そのような高額な経費を負担させ続けていると、従業員のモチベーションを低下させてしまいます。また、労働力の酷使とみなされてしまうかもしれません。
仕事に必要なものは、会社で負担するべき?
では、経費の負担範囲はどのラインに設定するべきでしょうか。これは会社の業種によっても異なります。
たとえば、仕事上パソコンが必須であるIT企業ではノートパソコンを、制服がある飲食店では制服代やクリーニング代を会社が負担するケースが多くあります。
このように、仕事内容から“絶対に必要なもの”は、会社が負担するべきかもしれません。
少なくともそのほうが、社員やアルバイトから不満の声が上がるリスクは少ないでしょう。
やはり常識的に考えて、「これは従業員が負担するのはおかしい」というものは、会社が負担するべきでしょう。
会社として利益を得るためには、ある程度経費がかかるのは当然のことです。
それを従業員に負担させるのは賢明な方法とはいえません。
会社の貴重な財産である“人財”からの信頼を失わないためにも、必要な経費は惜しまないようにしましょう。
人手不足の折、従業員の退職につながると、大きな損失になります。
その結果、一時的に会社側が損をしたとしても、長い目で見れば会社にとってプラスとなるはずです。
以上のことを踏まえて、会社と従業員、どちらが経費を負担するべきなのか、就業規則に定めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。