『働き方改革』でどう変わる? 『最低賃金』と『賃金差』
厚生労働省は2017年、『働き方改革実行計画』に、非正規労働者の待遇改善として、「同じ仕事をしている人は、雇用形態にかかわらず同じ給与・待遇であるべき」という考え方『同一労働同一賃金』を掲げました。
アルバイトやパートなど、非正規雇用で働く人の割合が多い飲食業界にあって、飲食店経営者も、この考え方を「知らない」では済まされない時代に突入しています。
アルバイトやパートなど、非正規雇用で働く人の割合が多い飲食業界にあって、飲食店経営者も、この考え方を「知らない」では済まされない時代に突入しています。
アルバイト・パートに賃金差はある?
日本では、非正規雇用の形態を表す言葉として主に『アルバイト』と『パート』が用いられています。
そもそもこの2つには、何か違いがあるのでしょうか?
2020年4月から施行される『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』、いわゆる『パートタイム・有期雇用労働法』では、『1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者』が、アルバイトやパートタイムで働く人に該当するとしています。
つまり、言葉は違っていても、法律では同じ扱いということです。
一般的に、『アルバイト』は学業などと並行して行う短期業務、『パート』は家事などと両立した長期業務というイメージがあると思います。
しかし、先述のようにアルバイト・パートには法律上の差はなく、呼び方はあくまでも企業の意図によって使い分けられています。
そのため、法律上の定義は同じアルバイト・パートでも、企業の意図で賃金差が発生することがあるのです。
非正規雇用と呼ばれるアルバイト・パートの賃金設定は、経営者の独断や同業種の平均値から決められていることも多く、基準はあいまいなケースもあり、働くボリュームと賃金が見合わないなど、適切な賃金設定がされていないこともしばしばです。
このような現状から、賃金形態の不満などがもとで労務トラブルに発展するケースも後を絶ちません。
飲食店での雇用に関する重要な新制度
厚生労働省の調査によると、日本の労働者全体のうちアルバイト・パートなどの非正規雇用者は、およそ3分の1。
コンビニやスーパーなどでは、非正規雇用者だけが店に立っている状況もしばしば見受けられます。
正規雇用者と非正規雇用者の両方を雇っている飲食店では、まず『同一労働同一賃金』という言葉を知っておく必要があります。
これは、二者の格差改善が目的の制度で、雇用形態が違っても仕事内容や成果が同じであれば、給与や賞与も同じにするべきという考えに基づいています。
雇用する側には、二者の待遇の違いを説明する義務があり、不合理な格差が生じないよう取り組まなければいけません。
この制度は、大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から施行されます。
また、2017年に牛丼でおなじみの大手飲食店が試験導入する方針を明らかにしたことで話題となった『勤務間インターバル』も押さえておきましょう。
これは、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間以上の休息時間を確保すべきとする制度で、長時間労働の抑制を目的としています。
厚生労働省は昨年までに、この制度導入にかかる費用を『職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)』として募集。
支給対象を定めたうえで、休息時間数が『9時間以上11時間未満』または『11時間以上』という成果目標を条件に打ち出しました。
働き方改革関連法が成立したことで、今年はもちろん、2020年以降も雇用について大きく変化していくことが予想されます。
2020年には、平均時給1,000円時代に突入!?
飲食業界は他業種に比べて時給が低めなことから、慢性的に人手不足に陥っており、なかでも深夜営業の外食チェーン店などで店員が確保できないことが問題となっています。
働き手が減ることによる生産性の低下という課題を解決するため、政府が打ち出した働き方改革実行計画の要素の一つが“賃金引上げ”でした。
中小企業や小規模事業者向けの『業務改善助成金』という制度では、引き上げる労働者数などにより経費の一部を助成しています。
最低賃金のうち、飲食店では『地域別最低賃金』という項目が適用されます。
都道府県別に時間額で決められており、月給制であっても月の平均所定労働時間で割った額を時給として算出します。
1カ月に、アルバイト・パートの人が何時間働いているか、月額でいくら支払っているかの計算はしっかり行いましょう。
この時間計算があいまいだと、最低賃金よりも下回ってしまい、『最低賃金法違反』に該当してしまいます。
ちなみに働き方改革実行計画では、最低賃金について「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく」と明記。
日本全国の最低賃金の全国加重平均が1,000円になることを目指すとしました。
これを受けて2018年度の最低賃金は、東京都で985円(前年度958円)、一番低い鹿児島県でも761円(前年度737円)となり、全国平均時給は26円引き上げられています。
非正規雇用のアルバイト・パート従業員を抱える飲食店では、働き方改革実行計画に応じた待遇や賃金制度が求められています。
飲食店経営者の方は、さまざまな立場の従業員からの意見も聞きながら、一度考えてみる機会を持ってみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。
日本では、非正規雇用の形態を表す言葉として主に『アルバイト』と『パート』が用いられています。
そもそもこの2つには、何か違いがあるのでしょうか?
2020年4月から施行される『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』、いわゆる『パートタイム・有期雇用労働法』では、『1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者』が、アルバイトやパートタイムで働く人に該当するとしています。
つまり、言葉は違っていても、法律では同じ扱いということです。
一般的に、『アルバイト』は学業などと並行して行う短期業務、『パート』は家事などと両立した長期業務というイメージがあると思います。
しかし、先述のようにアルバイト・パートには法律上の差はなく、呼び方はあくまでも企業の意図によって使い分けられています。
そのため、法律上の定義は同じアルバイト・パートでも、企業の意図で賃金差が発生することがあるのです。
非正規雇用と呼ばれるアルバイト・パートの賃金設定は、経営者の独断や同業種の平均値から決められていることも多く、基準はあいまいなケースもあり、働くボリュームと賃金が見合わないなど、適切な賃金設定がされていないこともしばしばです。
このような現状から、賃金形態の不満などがもとで労務トラブルに発展するケースも後を絶ちません。
飲食店での雇用に関する重要な新制度
厚生労働省の調査によると、日本の労働者全体のうちアルバイト・パートなどの非正規雇用者は、およそ3分の1。
コンビニやスーパーなどでは、非正規雇用者だけが店に立っている状況もしばしば見受けられます。
正規雇用者と非正規雇用者の両方を雇っている飲食店では、まず『同一労働同一賃金』という言葉を知っておく必要があります。
これは、二者の格差改善が目的の制度で、雇用形態が違っても仕事内容や成果が同じであれば、給与や賞与も同じにするべきという考えに基づいています。
雇用する側には、二者の待遇の違いを説明する義務があり、不合理な格差が生じないよう取り組まなければいけません。
この制度は、大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から施行されます。
また、2017年に牛丼でおなじみの大手飲食店が試験導入する方針を明らかにしたことで話題となった『勤務間インターバル』も押さえておきましょう。
これは、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間以上の休息時間を確保すべきとする制度で、長時間労働の抑制を目的としています。
厚生労働省は昨年までに、この制度導入にかかる費用を『職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)』として募集。
支給対象を定めたうえで、休息時間数が『9時間以上11時間未満』または『11時間以上』という成果目標を条件に打ち出しました。
働き方改革関連法が成立したことで、今年はもちろん、2020年以降も雇用について大きく変化していくことが予想されます。
2020年には、平均時給1,000円時代に突入!?
飲食業界は他業種に比べて時給が低めなことから、慢性的に人手不足に陥っており、なかでも深夜営業の外食チェーン店などで店員が確保できないことが問題となっています。
働き手が減ることによる生産性の低下という課題を解決するため、政府が打ち出した働き方改革実行計画の要素の一つが“賃金引上げ”でした。
中小企業や小規模事業者向けの『業務改善助成金』という制度では、引き上げる労働者数などにより経費の一部を助成しています。
最低賃金のうち、飲食店では『地域別最低賃金』という項目が適用されます。
都道府県別に時間額で決められており、月給制であっても月の平均所定労働時間で割った額を時給として算出します。
1カ月に、アルバイト・パートの人が何時間働いているか、月額でいくら支払っているかの計算はしっかり行いましょう。
この時間計算があいまいだと、最低賃金よりも下回ってしまい、『最低賃金法違反』に該当してしまいます。
ちなみに働き方改革実行計画では、最低賃金について「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく」と明記。
日本全国の最低賃金の全国加重平均が1,000円になることを目指すとしました。
これを受けて2018年度の最低賃金は、東京都で985円(前年度958円)、一番低い鹿児島県でも761円(前年度737円)となり、全国平均時給は26円引き上げられています。
非正規雇用のアルバイト・パート従業員を抱える飲食店では、働き方改革実行計画に応じた待遇や賃金制度が求められています。
飲食店経営者の方は、さまざまな立場の従業員からの意見も聞きながら、一度考えてみる機会を持ってみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。