社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

あのグーグルも「悪者にはなるな!」を社是として、一大企業へと成長した

14.08.03
ビジネス【マーケティング】
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前回、前々回と“世界最高峰”の国際広告賞である
カンヌライオンズで注目されたキーワード
「ソーシャル・グッド」と、関連してコトラーの
マーケティング3.0についてご紹介しました。

コトラー教授によれば、
これからのマーケティングの目的は
「世界をより良い場所にすること」になるといいます。

こういった傾向について、
グーグルを例にして考えてみましょう。
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佐藤達郎のマーケティング論

動画投稿サイトYouTubeを傘下に持ち、
多くの人が日常的に使うメールサービスGmailなども活用して、
今やネット社会の巨大企業に成長したグーグル。

米国スタンフォード大学博士課程の2人の学生が
1998年に創業したこの会社は、
わずか10数年の間にまたたくまに世界に広がっていきました。

会社の目的自体が
「世界の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」
という社会的なニュアンスを持つものですが、
さらに一種の社是として「Don't be Evil(悪者にはなるな!)」が有名です。

この「悪者にはなるな!」は、筆者にはとてもうなずけるものです。

筆者もメインのメールアドレスとして、Gmailを使っています。
Gmailなどのフリーメール(無料のメールソフト)は信用ならない、という人もいます。

しかし筆者は「グーグルが信用できないなら、どこの会社なら信用できるわけ?
NTTなら良いの? KDDIなら良いの?」などと思っています。
つまり、グーグルを基本的に信用しているわけです。

確かに「仮にグーグルが悪者」だとしたら、恐ろしいことになります。
仕事もプライベートもメール連絡が多く重要な内容も多いので、
その情報を悪用されるとしたら、損害は計り知れません。

実質的にもそうですが、心理的にその恐れが広がったら、
Gmail利用者は激減するでしょう。

そう考えると、グーグルが「悪者になるな!」と広く社員に訴えていることは、
ユーザーとしては心強いものです。

信頼してGmailを使い続ける、ひとつの拠り所となります。

「ソーシャルグッド」がマーケティングに有効なのも、
こういったユーザー心理に由来するのではないでしょうか。

さて、もう一人、経営戦略論の大家マイケル・ポーターも、
同様の主張を繰り広げています。

次回は、このポーターのCSVについてご紹介して行きたいと思います。


次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は
『マイケル・ポーターのCSV(クリエイティング・シェアド・バリュー)』をお届けします。


[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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