体験談による広告表示 「個人の感想です。効果には個人差があります。」のナゾ
「個人の感想です。効果には個人差があります。」
健康食品の広告で必ずといっていいほど目にするこのフレーズ。
実際、法律上、どんな意味があるのでしょうか?
今年の7月に、消費者庁から「打消し表示に関する実態調査報告書」(以下、単に「報告書」といいます。)というものが出されました。
今回は、特に健康食品の広告でよく用いられる体験談に関する“打消し表示”についてご紹介します。
健康食品の広告で必ずといっていいほど目にするこのフレーズ。
実際、法律上、どんな意味があるのでしょうか?
今年の7月に、消費者庁から「打消し表示に関する実態調査報告書」(以下、単に「報告書」といいます。)というものが出されました。
今回は、特に健康食品の広告でよく用いられる体験談に関する“打消し表示”についてご紹介します。
健康食品に関する広告規制
まず、健康食品に関する広告規制を簡単にご紹介すると、広告一般を規制する法律として、不当景品類及び不当表示法(景品表示法)があります。
この法律では、一般の消費者に対して商品の品質等の内容が実際よりも著しく優良であると誤解させる表示や、取引条件が実際よりも取引の相手方に著しく有利であると誤認させる表示など、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある広告が禁止されています。
食品の販売に関する広告については、健康増進法が、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示と著しく人を誤認させるような表示を禁止しています。
このような規制がある中で、
・体験談を使って少しでも消費者に効果を訴えかけていきたい
・でも規制には抵触しないように
ということで用いられるのが冒頭のあのフレーズ。
広告を発信する側からすれば、「これさえ書いておけば大丈夫!」という安心材料にもなっていたのではないでしょうか。
体験談に関する打消し表示の実態
しかしながら、報告書における調査結果は、広告メッセージの体験談に気付いた一般消費者が、
・『体験談と同じような効果が得られる人がいる』という認識
・『大体の人が効果を得られる』という認識
・『自分に効果がある』という認識
を抱くと考えられ、“個人の感想です”という打消し表示を見てもその認識はほとんど変わりません。
つまり、打消し表示が与える影響はほとんどないと考えられる、というものでした。
報告書によれば、打消し表示を見ても商品に対する認識に変化がなかった回答者の67.9%が「効果に個人差があるのは当然のことだと思うから」と回答し、26.4%が「このような注釈はよくあるもので、さほど意味のある情報ではないと思うから」と回答したそうです。
確かに、当たり前のようにどの商品にも同じフレーズが記載されているので、その言葉を重く受け止めるという感覚は、どんどん薄れているように思います。
この調査においても、打消し表示を見た回答者の過半数が「効果が全くなくても、企業がクレームを受け付けないために表示していると思う」と回答しており、企業側のクレーム対策用の記載であり、商品の効果に対する認識に影響を及ぼすものとは捉えていないことがわかります。
規制に抵触しない広告表示を
このような実態をふまえた消費者庁の見解は、事業者の皆様にはかなり厳しいものかもしれません。
この報告書によって打消し表示に規制への抵触を回避する効果がないとわかった今、体験談により一般消費者の誤解を招かないようにするためには、当該商品・サービスの効果、性能等に適切に対応したものを用いることが必要です。
報告書では今後、体験談を広告に使う場合、
「商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における、
・被験者の数
・そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合
・体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合
などを明瞭に表示すべきである」
とのことです。
お読みいただいている事業者様の中にはいらっしゃらないと思いますが、間違っても“体験談の捏造”などできない時代になりますね!?
まず、健康食品に関する広告規制を簡単にご紹介すると、広告一般を規制する法律として、不当景品類及び不当表示法(景品表示法)があります。
この法律では、一般の消費者に対して商品の品質等の内容が実際よりも著しく優良であると誤解させる表示や、取引条件が実際よりも取引の相手方に著しく有利であると誤認させる表示など、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある広告が禁止されています。
食品の販売に関する広告については、健康増進法が、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示と著しく人を誤認させるような表示を禁止しています。
このような規制がある中で、
・体験談を使って少しでも消費者に効果を訴えかけていきたい
・でも規制には抵触しないように
ということで用いられるのが冒頭のあのフレーズ。
広告を発信する側からすれば、「これさえ書いておけば大丈夫!」という安心材料にもなっていたのではないでしょうか。
体験談に関する打消し表示の実態
しかしながら、報告書における調査結果は、広告メッセージの体験談に気付いた一般消費者が、
・『体験談と同じような効果が得られる人がいる』という認識
・『大体の人が効果を得られる』という認識
・『自分に効果がある』という認識
を抱くと考えられ、“個人の感想です”という打消し表示を見てもその認識はほとんど変わりません。
つまり、打消し表示が与える影響はほとんどないと考えられる、というものでした。
報告書によれば、打消し表示を見ても商品に対する認識に変化がなかった回答者の67.9%が「効果に個人差があるのは当然のことだと思うから」と回答し、26.4%が「このような注釈はよくあるもので、さほど意味のある情報ではないと思うから」と回答したそうです。
確かに、当たり前のようにどの商品にも同じフレーズが記載されているので、その言葉を重く受け止めるという感覚は、どんどん薄れているように思います。
この調査においても、打消し表示を見た回答者の過半数が「効果が全くなくても、企業がクレームを受け付けないために表示していると思う」と回答しており、企業側のクレーム対策用の記載であり、商品の効果に対する認識に影響を及ぼすものとは捉えていないことがわかります。
規制に抵触しない広告表示を
このような実態をふまえた消費者庁の見解は、事業者の皆様にはかなり厳しいものかもしれません。
この報告書によって打消し表示に規制への抵触を回避する効果がないとわかった今、体験談により一般消費者の誤解を招かないようにするためには、当該商品・サービスの効果、性能等に適切に対応したものを用いることが必要です。
報告書では今後、体験談を広告に使う場合、
「商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における、
・被験者の数
・そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合
・体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合
などを明瞭に表示すべきである」
とのことです。
お読みいただいている事業者様の中にはいらっしゃらないと思いますが、間違っても“体験談の捏造”などできない時代になりますね!?