SNSでの診療も可能!? 遠隔診療の過去~未来を探る!
近年、パソコンやスマートフォンの普及と進歩に伴い、
それらの機器のテレビ電話機能を用いての診察(以下、遠隔診療)が話題になり、
新規事業として手がける会社も出現しています。
今回は、その遠隔診療をめぐる法律関係についてご紹介します。
それらの機器のテレビ電話機能を用いての診察(以下、遠隔診療)が話題になり、
新規事業として手がける会社も出現しています。
今回は、その遠隔診療をめぐる法律関係についてご紹介します。
医師法に抵触しないことが重要!
遠隔診療を行うシステムや機器を用いて行われるビジネスが成り立つためには、“遠隔診療が適法であること”が前提となります。
そして、遠隔診療を行うことについて直接法律上の規制を受けるのは、言うまでもなく“医師”です。
したがって、遠隔診療が適法であるためには、医師について規律する医師法に抵触しない必要があります。
具体的には、遠隔診療が医師法20条(いわゆる無診察診療の禁止)に抵触しないことが必要なのです。
遠隔診療の適法範囲が拡大!?
遠隔診療が適法といえる範囲をどのように考えるかについては、今まで厚生労働省が複数の通達を出し、判断を示してきました。
そして、平成9年12月24日に出された通達(以下、平成9年通達)を皮切りに、徐々に適法といえる範囲が拡大されています。
まず、平成9年通達においては、『遠隔診療は、対面診療が困難な場合にのみ行われるべき』であり、たとえば“離島やへき地における医療”が想定されていました。
次に、平成9年通達は平成15年に改正され、『症状の安定している慢性期疾患患者に対する治療』に遠隔診療を用いることも可能となりました。
そして“遠隔診療が可能な具体例”が別表として明示されたのです。
さらに、平成9年通達の平成23年改正においては、別表で明示された具体例が例示であることが示され、遠隔診療が適法とされる範囲が広がりました。
“文字や写真のみでの診察”はNG
その後、平成27年8月10日に新たな通達(以下、平成27年通達)が出され、『遠隔治療の前に、必ずしも対面診療を行わないとならないわけではない』と確認されたことから、遠隔診療を事業として行う企業が相次ぎました。
ところが、厚労省は平成28年3月18日に新たに出した通達(以下、平成28年通達)において、『電子メールやSNSなど、文字および写真のみによって遠隔診療を行い、対面診療を行わずに診察を終えることは、医師法20条に違反する』という見解を示しました。
つまり、“映像と音声による診療を一度は行う必要がある”ということです。
平成28年通達は、平成27年通達を受けて遠隔診療によって必要な診察を行っていないにもかかわらず薬の処方を行う者が出てきたことから、それらの行為を牽制するために出されました。
また、遠隔診療事業の範囲については一定の抑制をかけるものでしたが、安全性や有効性が認められる遠隔診療についてまで規制する趣旨のものではありませんでした。
厚労省は平成29年7月14日に出された通達において、そのことを確認しています。
つまり、安全性・有効性が認められ、映像・音声による遠隔診療や対面診療と組み合わされていれば、電子メールやSNSによる遠隔診療も可能ということです。
このように、遠隔診療に関しては厚労省が複数の通達を連続して出しており、規律内容も若干の変動が見られます。
そのため、遠隔診療に関するビジネスを行う場合は、“通達の正確な理解”が必要なのです。
遠隔診療に関する今後の動き
遠隔診療に関しては、平成30年にさらなるガイドラインの策定が予定されています。
なお、現時点では、医療機関の最大の収入源となる診療報酬において“遠隔診療で初診を行った場合は、初診料が算定できない”と考えられています。
さらに、診療報酬で低い評価がなされていることに加え、いわゆる院外処方(※1)では“遠隔による服薬指導が認められていない”など、多数の課題が指摘されています。
これらの課題に対して今後行政がどのような動きを見せるのか、注視する必要があるでしょう。
法律や通達について、何かご不明点がございましたら、専門家へお問い合わせください。
※1 医療機関が処方箋を交付し、患者が処方箋を調剤薬局に持ち込んで調剤薬局で薬剤の調剤を受けること
遠隔診療を行うシステムや機器を用いて行われるビジネスが成り立つためには、“遠隔診療が適法であること”が前提となります。
そして、遠隔診療を行うことについて直接法律上の規制を受けるのは、言うまでもなく“医師”です。
したがって、遠隔診療が適法であるためには、医師について規律する医師法に抵触しない必要があります。
具体的には、遠隔診療が医師法20条(いわゆる無診察診療の禁止)に抵触しないことが必要なのです。
遠隔診療の適法範囲が拡大!?
遠隔診療が適法といえる範囲をどのように考えるかについては、今まで厚生労働省が複数の通達を出し、判断を示してきました。
そして、平成9年12月24日に出された通達(以下、平成9年通達)を皮切りに、徐々に適法といえる範囲が拡大されています。
まず、平成9年通達においては、『遠隔診療は、対面診療が困難な場合にのみ行われるべき』であり、たとえば“離島やへき地における医療”が想定されていました。
次に、平成9年通達は平成15年に改正され、『症状の安定している慢性期疾患患者に対する治療』に遠隔診療を用いることも可能となりました。
そして“遠隔診療が可能な具体例”が別表として明示されたのです。
さらに、平成9年通達の平成23年改正においては、別表で明示された具体例が例示であることが示され、遠隔診療が適法とされる範囲が広がりました。
“文字や写真のみでの診察”はNG
その後、平成27年8月10日に新たな通達(以下、平成27年通達)が出され、『遠隔治療の前に、必ずしも対面診療を行わないとならないわけではない』と確認されたことから、遠隔診療を事業として行う企業が相次ぎました。
ところが、厚労省は平成28年3月18日に新たに出した通達(以下、平成28年通達)において、『電子メールやSNSなど、文字および写真のみによって遠隔診療を行い、対面診療を行わずに診察を終えることは、医師法20条に違反する』という見解を示しました。
つまり、“映像と音声による診療を一度は行う必要がある”ということです。
平成28年通達は、平成27年通達を受けて遠隔診療によって必要な診察を行っていないにもかかわらず薬の処方を行う者が出てきたことから、それらの行為を牽制するために出されました。
また、遠隔診療事業の範囲については一定の抑制をかけるものでしたが、安全性や有効性が認められる遠隔診療についてまで規制する趣旨のものではありませんでした。
厚労省は平成29年7月14日に出された通達において、そのことを確認しています。
つまり、安全性・有効性が認められ、映像・音声による遠隔診療や対面診療と組み合わされていれば、電子メールやSNSによる遠隔診療も可能ということです。
このように、遠隔診療に関しては厚労省が複数の通達を連続して出しており、規律内容も若干の変動が見られます。
そのため、遠隔診療に関するビジネスを行う場合は、“通達の正確な理解”が必要なのです。
遠隔診療に関する今後の動き
遠隔診療に関しては、平成30年にさらなるガイドラインの策定が予定されています。
なお、現時点では、医療機関の最大の収入源となる診療報酬において“遠隔診療で初診を行った場合は、初診料が算定できない”と考えられています。
さらに、診療報酬で低い評価がなされていることに加え、いわゆる院外処方(※1)では“遠隔による服薬指導が認められていない”など、多数の課題が指摘されています。
これらの課題に対して今後行政がどのような動きを見せるのか、注視する必要があるでしょう。
法律や通達について、何かご不明点がございましたら、専門家へお問い合わせください。
※1 医療機関が処方箋を交付し、患者が処方箋を調剤薬局に持ち込んで調剤薬局で薬剤の調剤を受けること