下請けの労災責任は元請けにあり! 知っておきたい建設業の労災保険の仕組み
建設業界では、一つの会社だけが工事を請け負うことはまれで、一般的には、一次下請や二次下請などの下請業者が関わってきます。
もしも工事現場で事故が起きたとき、その労災責任を負うのは、基本的に元請け会社だということをご存じですか?
一般企業とは仕組みが異なる建設業の労災保険。
今回は、建設業の労災保険の仕組みについてご紹介します。
もしも工事現場で事故が起きたとき、その労災責任を負うのは、基本的に元請け会社だということをご存じですか?
一般企業とは仕組みが異なる建設業の労災保険。
今回は、建設業の労災保険の仕組みについてご紹介します。
建設業の労災保険の仕組み
建設業の労災保険の仕組みは、一般企業とは少し異なっています。
そもそも労災保険とは、被雇用者の労務災害をサポートする保険です。
そのため、労災保険は雇用者である事業主に加入義務があります。
また、労災保険料も『賃金総額に所定の労災保険率をかけて算出する』という計算方法をとります。
一方、建設業の労災保険も、被雇用者の労働災害に対して支給されるという点では一般企業の労災と変わりはありません。
しかし、建設業では、工事現場ごとに労災保険に加入します。
そのため、保険料の計算も賃金総額ではなく、『各工事の請負金額に所定の労働保険率をかけて算出する』という方法をとります。
“一つの工事現場”を“一つの事業体”として取り扱うため、下請けが何社あろうと、元請け会社がそれらをとりまとめて労災保険に加入しなければなりません。
工事現場に行く途中の下請け社員が災害に遭ったり、工事現場でけがをしたりしたときには、元請けの労災保険で対応することになるのです。
規模が小さい現場でもその都度加入が必要!
大規模な工事現場では、時には何年にも渡って工事が続くことがあります。
しかし、さほど大きくない規模の工事は、短ければ1ヶ月程度で終わることも。
そしてすぐに次の工事現場で作業が始まるケースも少なくありません。
そんなときでも、工事現場ごとに労災保険に加入しなければならないのでしょうか?
だとするとかなり煩雑になってしまいます。
実は、有期事業(期限が存在する事業)で以下の2つの条件に当てはまる工事は、一括有期事業として、まとめて労災を申請できるようになっています。
・一工事の請負額が税抜きで1億9千万円未満(平成27年度以降に開始した工事については、1億8千万円未満)
・概算保険料額が160万円未満
しかし、元請けや下請けに関わらず、この労災保険が適用されない人がいます。
それは、経営者などの役員と、一人も人を雇っていない“一人親方”です。
一人親方は『特別加入』で労災保険をカバー
労災保険は、「雇用されている人」のための保険です。
そのため、雇用する側である事業主や、“一人親方”と呼ばれる個人事業主にも労災保険の適用がありません。
とはいえ、工事現場は危険が多く潜んでいる場所です。
他の社員と同じく現場で働く一人親方も事故に遭う危険性は高く、労災保険の必要性は変わりません。
そのため、一人親方でも労災保険に加入できるよう、『特別加入』という制度が設けられています。
一人親方が特別加入という方法で労災保険に加入する方法は2つあります。
まず一つが、すでにある特別加入団体に加入する場合。
もう一つは、自分で特別加入団体を作る場合です。
新たに特別加入団体を作るのは手間がかかるため、すでにある特別加入団体に加入するケースが多いのが実情です。
特別加入団体は日本各地に数多くありますが、団体によって特徴やコストが異なります。
コストを安く抑えたいのか、サポートを求めるのかによっても選ぶ基準が異なるため、複数の特別加入団体を比較するとよいでしょう。
ちなみに、管轄の労働局では特別加入団体の紹介も行っています。
近くに特別加入団体があるかわからない場合は、まずは労働局に相談するとよいでしょう。
建設業の労災保険の仕組みと、一人親方の労災保険の加入についてご紹介しました。
労災保険は原則として元請けが加入するもの。
ただ、一人親方は自分で加入する必要があるので注意が必要です。
建設業の経営安定講座
建設業の労災保険の仕組みは、一般企業とは少し異なっています。
そもそも労災保険とは、被雇用者の労務災害をサポートする保険です。
そのため、労災保険は雇用者である事業主に加入義務があります。
また、労災保険料も『賃金総額に所定の労災保険率をかけて算出する』という計算方法をとります。
一方、建設業の労災保険も、被雇用者の労働災害に対して支給されるという点では一般企業の労災と変わりはありません。
しかし、建設業では、工事現場ごとに労災保険に加入します。
そのため、保険料の計算も賃金総額ではなく、『各工事の請負金額に所定の労働保険率をかけて算出する』という方法をとります。
“一つの工事現場”を“一つの事業体”として取り扱うため、下請けが何社あろうと、元請け会社がそれらをとりまとめて労災保険に加入しなければなりません。
工事現場に行く途中の下請け社員が災害に遭ったり、工事現場でけがをしたりしたときには、元請けの労災保険で対応することになるのです。
規模が小さい現場でもその都度加入が必要!
大規模な工事現場では、時には何年にも渡って工事が続くことがあります。
しかし、さほど大きくない規模の工事は、短ければ1ヶ月程度で終わることも。
そしてすぐに次の工事現場で作業が始まるケースも少なくありません。
そんなときでも、工事現場ごとに労災保険に加入しなければならないのでしょうか?
だとするとかなり煩雑になってしまいます。
実は、有期事業(期限が存在する事業)で以下の2つの条件に当てはまる工事は、一括有期事業として、まとめて労災を申請できるようになっています。
・一工事の請負額が税抜きで1億9千万円未満(平成27年度以降に開始した工事については、1億8千万円未満)
・概算保険料額が160万円未満
しかし、元請けや下請けに関わらず、この労災保険が適用されない人がいます。
それは、経営者などの役員と、一人も人を雇っていない“一人親方”です。
一人親方は『特別加入』で労災保険をカバー
労災保険は、「雇用されている人」のための保険です。
そのため、雇用する側である事業主や、“一人親方”と呼ばれる個人事業主にも労災保険の適用がありません。
とはいえ、工事現場は危険が多く潜んでいる場所です。
他の社員と同じく現場で働く一人親方も事故に遭う危険性は高く、労災保険の必要性は変わりません。
そのため、一人親方でも労災保険に加入できるよう、『特別加入』という制度が設けられています。
一人親方が特別加入という方法で労災保険に加入する方法は2つあります。
まず一つが、すでにある特別加入団体に加入する場合。
もう一つは、自分で特別加入団体を作る場合です。
新たに特別加入団体を作るのは手間がかかるため、すでにある特別加入団体に加入するケースが多いのが実情です。
特別加入団体は日本各地に数多くありますが、団体によって特徴やコストが異なります。
コストを安く抑えたいのか、サポートを求めるのかによっても選ぶ基準が異なるため、複数の特別加入団体を比較するとよいでしょう。
ちなみに、管轄の労働局では特別加入団体の紹介も行っています。
近くに特別加入団体があるかわからない場合は、まずは労働局に相談するとよいでしょう。
建設業の労災保険の仕組みと、一人親方の労災保険の加入についてご紹介しました。
労災保険は原則として元請けが加入するもの。
ただ、一人親方は自分で加入する必要があるので注意が必要です。
建設業の経営安定講座