社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

ヒット商品を生み出すための『インサイト』を発掘しよう

18.08.24
ビジネス【マーケティング】
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消費者の行動や発言、態度などの裏側にある“本当に求めているもの”を探るときなどに、『インサイト』という言葉が登場します。このインサイトとは、直訳すると“直感”や“発見”“視点に入る”という意味になります。つまり、相手の視点や立場になって考えることを意味し、マーケティングの世界では、消費者自身も自覚していない潜在的な購買意欲のツボのことを指します。
今回は、マーケティングには欠かせない『インサイト』を利用した販売戦略についてご紹介していきます。
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多くの企業で求められているインサイト

これまで企業のマーケティングでは、消費者に対してアンケートなどを実施し“消費者のニーズ”を汲み取ることが重要視されてきました。しかし、物があふれ、人々の趣味嗜好も多様化している現代では、“イチ消費者のニーズ”を把握することがあまり意味を成さなくなってきました。
そこで必要となってきたのは、消費者自身も把握していない“深い部分の欲求”や“本当に求めているもの”、つまり『インサイト』を探ることです。
ある商品を購入した際に、「なぜこの商品を選んだのか?」「どうして購入に至ったのか?」ということを論理的に説明できる人は少なく、アンケートで聞いても消費者から本当の理由が出てくることはありません。しかし、インサイトを発見することで、消費者の「なぜ」「どうして」を理解することができ、結果として、マーケティングに役立てることができるというわけです。


消費者が牛乳を飲む意外な理由とは?

具体的には、どのようにインサイトを発見していけばよいのでしょうか?
1990年代に、カリフォルニア牛乳協会の行った『got milk?(ミルクある?)』キャンペーンを元に見ていきましょう。

牛乳協会は、これまで行ってきた調査で牛乳を飲まない人は「脂肪分が多い」などのネガティブイメージを持っていることを知り、「牛乳は健康にいい」というキャンペーンを前面に打ち出しました。しかし売上は上がらず、今度は牛乳を飲む人に対して、「牛乳を飲むことを1週間禁止し、どんなときに牛乳が飲みたくなるか」というユニークな調査を行いました。この調査で、多くの人がクッキーやシリアルなどを食べるときに牛乳を飲みたくなることがわかったのです。つまり、牛乳協会は、牛乳は「健康にいいから飲む」ものではなく、「クッキーやシリアルで口の中がパサパサするから飲む」ものだという消費者のインサイトを捉えることに成功したのです。
これを踏まえ、牛乳協会はクッキーの写真に「got milk?(ミルクある?)」というキャッチコピーを添えたキャンペーン展開を行い、見事成功。このキャンペーンはカリフォルニアだけではなく全米に広がり、牛乳の売上も右肩上がりに伸びたそうです。


インサイトを探し出すには?

インサイトを探し出すには、調査する企業側の発想や洞察力が大切になってきます。
牛乳協会の例でいえば、これまで“牛乳を飲まない人”に調査を実施していたところを、“牛乳を飲む人”に調査対象を変更し、「なぜ牛乳を飲むのか?」というところにまで踏み込んでいき、「クッキーで口の中がパサパサになるから飲む」というインサイトにたどり着いたという点です。
このように、インサイトを発見するには常に「なぜ?」という視点を持ち、その理由を考えていくクセをつけなければいけません。さらに、丁寧なリサーチや市場調査も欠かせません。

マーケティング戦略において重要なポイントとなってきているインサイト。まずは“自社の商品はなぜ購入されたのか?”について改めて調査・分析してみるとよいでしょう。