眠ったままの会社資産。税務上の処理はどうなる?
民泊やライドシェアなど、様々なシェアサービスが広まっている昨今。稼働していない会議室や工場のラインなどを一時的に貸し出す、新しい形のシェアビジネスも広まってきています。こういったサービスの『税務上の処理』をどう考えればいいのでしょうか。
今回は、シェアサービスの現状と、税務上の処理についてご紹介します。
今回は、シェアサービスの現状と、税務上の処理についてご紹介します。
空き時間や空き設備を活用したビジネスとは?
自社の会議室を時間で貸し出すことのできる貸会議室サービスの『スペイシー』。
多くの企業の会議室は常に埋まっているわけではなく、時間によっては長く空いてしまうこともあります。『スペイシー』は、この使われていない空きスペースに目を付け、スペースに対するニーズが合致した企業同士をマッチングさせ、シェアできるようにしました。
また、ポスターやチラシなどの印刷サービス『ラクスル』は、全国の中小印刷会社にある未稼働の印刷ラインを活用して、業績を伸ばしてきました。
アパレルの流通サービス『シタテル』は、Tシャツなどのオリジナル商品を作りたい小規模なアパレルブランドやファッションデザイナーと、全国の中小縫製工場や生地工場をつなぎました。
このようなシェアサービスが年々広がりを見せており、ここ数年で一気に広まり定番化したカーシェアリングのように一般化するのではないかと言われています。
減価償却できない『遊休資産』はどうなる?
それでは、これらの設備に関しての税法上の処理はどうなるのでしょうか。
恒久的に使用していて、空いた時間で設備の貸出を行っている場合は、通常の固定資産とみなされ、減価償却としての損金算入が認められます。
一方、事業目的で設備を導入したものの、何らかの理由によってその設備の使用や稼働を休止している場合、その設備のことを『遊休資産』と呼びます。税務上は、この遊休資産について、減価償却としての損金算入は認められていません。
これは税法上、減価償却することのできる条件に、『事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く』(法人税法2条23号)と定められているためです。
ただし『遊休資産』であっても、その未稼働の時期に適切な維持や補修、メンテナンスが行われており、いつでも稼働できる状態にある設備については『稼働休止資産』と呼び、税務上減価償却の対象にすることができます。
不要な設備は『有姿除却』で対応
では、今後使用する見通しがつかない設備は、どのような処理方法を取り得るでしょうか?
この場合は、解体や撤去をしなくても、資産の未償却分を経費とすることができます。これを『有姿除却(ゆうしじょきゃく)』と言います。
税務上『有姿除却』が認められるには、以下の2つの要件があります。
普段から使っている設備で、空き時間が生じるときは、シェアサービスで新たな利益を生み出すことができます。
また、今後稼働する予定のない資産は、『有姿除却』として処理し損金算入することができる可能性があります。
眠ったままにしている会社資産・状況を鑑みながら、適切な判断をしていきましょう。
経営に通じる税務・会計
自社の会議室を時間で貸し出すことのできる貸会議室サービスの『スペイシー』。
多くの企業の会議室は常に埋まっているわけではなく、時間によっては長く空いてしまうこともあります。『スペイシー』は、この使われていない空きスペースに目を付け、スペースに対するニーズが合致した企業同士をマッチングさせ、シェアできるようにしました。
また、ポスターやチラシなどの印刷サービス『ラクスル』は、全国の中小印刷会社にある未稼働の印刷ラインを活用して、業績を伸ばしてきました。
アパレルの流通サービス『シタテル』は、Tシャツなどのオリジナル商品を作りたい小規模なアパレルブランドやファッションデザイナーと、全国の中小縫製工場や生地工場をつなぎました。
このようなシェアサービスが年々広がりを見せており、ここ数年で一気に広まり定番化したカーシェアリングのように一般化するのではないかと言われています。
減価償却できない『遊休資産』はどうなる?
それでは、これらの設備に関しての税法上の処理はどうなるのでしょうか。
恒久的に使用していて、空いた時間で設備の貸出を行っている場合は、通常の固定資産とみなされ、減価償却としての損金算入が認められます。
一方、事業目的で設備を導入したものの、何らかの理由によってその設備の使用や稼働を休止している場合、その設備のことを『遊休資産』と呼びます。税務上は、この遊休資産について、減価償却としての損金算入は認められていません。
これは税法上、減価償却することのできる条件に、『事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く』(法人税法2条23号)と定められているためです。
ただし『遊休資産』であっても、その未稼働の時期に適切な維持や補修、メンテナンスが行われており、いつでも稼働できる状態にある設備については『稼働休止資産』と呼び、税務上減価償却の対象にすることができます。
不要な設備は『有姿除却』で対応
では、今後使用する見通しがつかない設備は、どのような処理方法を取り得るでしょうか?
この場合は、解体や撤去をしなくても、資産の未償却分を経費とすることができます。これを『有姿除却(ゆうしじょきゃく)』と言います。
税務上『有姿除却』が認められるには、以下の2つの要件があります。
- その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
- 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより、将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
普段から使っている設備で、空き時間が生じるときは、シェアサービスで新たな利益を生み出すことができます。
また、今後稼働する予定のない資産は、『有姿除却』として処理し損金算入することができる可能性があります。
眠ったままにしている会社資産・状況を鑑みながら、適切な判断をしていきましょう。
経営に通じる税務・会計