労働組合に意見書への署名を拒否されたら、就業規則は変更できない?
【相談内容】
4月の制度改定に伴い、就業規則を見直しました。
そこで、労働組合に意見を聴取したところ、改定案の提出が遅れたことを理由に意見書のサインを拒否されました。
就業規則を変更することはできないのでしょうか?
4月の制度改定に伴い、就業規則を見直しました。
そこで、労働組合に意見を聴取したところ、改定案の提出が遅れたことを理由に意見書のサインを拒否されました。
就業規則を変更することはできないのでしょうか?
【結論】
行政解釈によると、署名がなくても“意見を聴取したこと”を客観的に証明できれば変更が可能です。
ただし、労働組合との協定で『就業規則の変更は組合の同意を得て行う』などと規定されている場合は、労働組合の同意を得る必要があります。
反対されても変更が可能!?
就業規則を変更する場合には、以下の手順でそれぞれ手続きを行う必要があります。
(1)就業規則の変更内容を決める
(2)労働者の過半数が加入する労働組合(ない場合は、労働者の過半数を代表する者)に変更内容についての意見を聴き、意見書を作成
(3)意見書・変更後の就業規則・就業規則変更届を所轄労働基準監督署長に提出
(4)全社員に新しい就業規則を周知する
労働基準法90条にて、就業規則を作成・変更する場合には『労働組合等に意見を聴かなければならない』と定められています。
なお、労働条件を有利に変更する場合であっても意見聴取は必要です。
ただし、この規定については『協議決定を要求するものではなく、意見を聴けば足り、必ずしもその意見に沿った内容にする必要はない』とされています(昭25・3・15基収525号)。
また、労働組合等が意見書の内容に反対しても、『その反対理由の如何を問わず、その効力発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力に影響はない』と示されています(昭24・3・28基発373号)。
さらに、労働組合等への意見聴取の方法・手続きについては『意見を十分に陳述する機会と時間的余裕が与えられた』ことを要件としています(東洋精機事件、神戸地尼崎支判昭28・8・10)。
つまり、時間的余裕を与えた上で労働組合等へ意見聴取を行えば、必ずしも同意を得る必要はないのです。
ただし、判例によると『労働者過半数の意見が十分に陳述された後、これが十分に尊重されたこと』が必要とされているので、形式的な“意見聴取”はNGといえるでしょう(東洋精機事件、神戸地尼崎支判昭28・8・10)。
必ずしも署名は必要ではない?
意見書に関して、労働基準法施行規則49条2項では『労働者を代表する者の署名または記名押印のあるものでなければならない』としています。
ただし、行政解釈では『意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理する』とされています(昭23・5・11基発735号、昭23・10・30基発1575号)。
そのため、仮に反対され署名を得られなかった場合でも、意見を聴取したことを証明する『意見書不添付理由書』を提出すれば、就業規則を変更することは可能です。
ただし、労働組合と以下のような協定を締結している場合は、労働組合等の同意による意見書への署名が必要となるでしょう。
・就業規則の変更は、労働組合の合意を得て行う
・就業規則の変更内容は、労働組合と協議の上で決定する など
また、以下のような『労働条件の不利益変更』に該当する場合には、労働者への個別同意が必要となるケースもあるので、注意が必要です。
・賃金の減額
・労働時間の増加
・休日削減
就業規則の変更についてご不明な点があれば、専門家へお問い合わせください。
現場に身近な労働法 Q&A
行政解釈によると、署名がなくても“意見を聴取したこと”を客観的に証明できれば変更が可能です。
ただし、労働組合との協定で『就業規則の変更は組合の同意を得て行う』などと規定されている場合は、労働組合の同意を得る必要があります。
反対されても変更が可能!?
就業規則を変更する場合には、以下の手順でそれぞれ手続きを行う必要があります。
(1)就業規則の変更内容を決める
(2)労働者の過半数が加入する労働組合(ない場合は、労働者の過半数を代表する者)に変更内容についての意見を聴き、意見書を作成
(3)意見書・変更後の就業規則・就業規則変更届を所轄労働基準監督署長に提出
(4)全社員に新しい就業規則を周知する
労働基準法90条にて、就業規則を作成・変更する場合には『労働組合等に意見を聴かなければならない』と定められています。
なお、労働条件を有利に変更する場合であっても意見聴取は必要です。
ただし、この規定については『協議決定を要求するものではなく、意見を聴けば足り、必ずしもその意見に沿った内容にする必要はない』とされています(昭25・3・15基収525号)。
また、労働組合等が意見書の内容に反対しても、『その反対理由の如何を問わず、その効力発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力に影響はない』と示されています(昭24・3・28基発373号)。
さらに、労働組合等への意見聴取の方法・手続きについては『意見を十分に陳述する機会と時間的余裕が与えられた』ことを要件としています(東洋精機事件、神戸地尼崎支判昭28・8・10)。
つまり、時間的余裕を与えた上で労働組合等へ意見聴取を行えば、必ずしも同意を得る必要はないのです。
ただし、判例によると『労働者過半数の意見が十分に陳述された後、これが十分に尊重されたこと』が必要とされているので、形式的な“意見聴取”はNGといえるでしょう(東洋精機事件、神戸地尼崎支判昭28・8・10)。
必ずしも署名は必要ではない?
意見書に関して、労働基準法施行規則49条2項では『労働者を代表する者の署名または記名押印のあるものでなければならない』としています。
ただし、行政解釈では『意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理する』とされています(昭23・5・11基発735号、昭23・10・30基発1575号)。
そのため、仮に反対され署名を得られなかった場合でも、意見を聴取したことを証明する『意見書不添付理由書』を提出すれば、就業規則を変更することは可能です。
ただし、労働組合と以下のような協定を締結している場合は、労働組合等の同意による意見書への署名が必要となるでしょう。
・就業規則の変更は、労働組合の合意を得て行う
・就業規則の変更内容は、労働組合と協議の上で決定する など
また、以下のような『労働条件の不利益変更』に該当する場合には、労働者への個別同意が必要となるケースもあるので、注意が必要です。
・賃金の減額
・労働時間の増加
・休日削減
就業規則の変更についてご不明な点があれば、専門家へお問い合わせください。
現場に身近な労働法 Q&A