社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

WHY(なぜ?)を中心にしたビジネスが増益・増収のカギ!? 前編

18.05.10
ビジネス【マーケティング】
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海外のマーケティングカンファレンスに出席すると、「WHY(なぜ?)が大事だ」という話をよく耳にします。

ビジネスを構築する上でWHYが大切な理由とは、何なのでしょうか?

有名なコンサルタントであるサイモン・シネック氏の著書『WHYから始めよ!』を参考にしながら、“WHYから始める考え方”について、全2回にわたりお話します。
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購買意欲を促進させるには……

ビジネスでは、物事を“WHAT(何を)”→“HOW(どんな風に)”の順番で考えるのが一般的です。

たとえば新しいビジネスを始めるとします。
通常、その構想を練る手順は以下のようになるでしょう。

【例1】
WHAT:レストランを開業しよう。ジャンルは和食がいいな。
HOW:そうだ、多少値段が張っても、お客さんが満足して帰ってくれるような少し高級感の漂う店にしよう。

【例2】
WHAT:スポーツジムを開業したいな。
HOW:女性でも気軽に来れるような雰囲気と値段設定にしようかな。

【例3】
WHAT:英会話スクールを始めるぞ。
HOW:忙しいビジネスマンも通いやすいように、夜遅くまで営業しよう。

このように、通常はWHAT→HOWでビジネスを構築していきます。
しかし、これをWHY→HOW→WHATの順で行うことで、消費者の購買意欲をさらに促進させることができるのです。


WHYHOWWHATが
購買意欲を促進させる理由

シネック氏は著書の中で、多くのインターネット関連製品を手がけるアップル社を例に“WHYHOWWHAT”の順で行うマーケティング・メッセージ”について記しています。

アップル社が製品を製作・販売する際の考え方は、以下の通りです。

(1)WHY『すべての活動において“現状に挑戦する”ことを信条としています』
    ↓
(2)HOW『我々の製品は、美しくデザインされ使いやすいです』
    ↓
(3)WHAT『我々は、消費者向けインターネット関連製品を作っています』

ここでいうWHYは“ビジネスの根底にある想いや意志”。
HOWは“WHYを具現化したもの”。
WHATは“WHYとHOWを実現するフィールド”だと考えることができるでしょう。

では具体的に、“WHAT→HOW”と“WHY→HOW→WHAT”では、どのような違いがあるのでしょうか。

 
WHY中心のビジネス
そのメリットとは?

仮にアップル社がWHAT→HOWでマーケティング・メッセージを構築したら、以下のような文面になるでしょう。

A:『我々は素晴らしいインターネット関連製品をつくっています。美しいデザイン・シンプルな操作方法・取り扱いも簡単。一台、いかがですか?』

では次に、WHY→HOW→WHATの順の本来のマーケティング・メッセージを見てみましょう。

B:『“現状に挑戦し、他社とは違う考え方をする”それが私たちの信条です。製品を美しくデザインし、操作方法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。その結果、すばらしいインターネット関連製品が誕生しました。一台、いかがですか?』

AとBでは、“何をアピールしているか”が異なります。
Aが“製品の良さ”をアピールして購買を促しているのに対し、Bは“信条”をアピールしているのです。

一般的には、Aのやり方で販売促進を行っていることが多いでしょう。
しかし、人間は“WHAT”よりも“WHY”に心を動かされるため、Bの方が製品を買いたくなるといわれています。

さて今回は、アップル社を例に“WHY”を中心としたビジネス構築方法についてお話しました。
後編となる次回も、引き続きWHYを中心としたビジネスについて考えていきます。
 
次回:WHY(なぜ?)を中心にしたビジネス構築が、増益・増収のカギ!? 後編



佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 

●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。