働き方改革で変わること――時間外労働&年休付与違反に罰則が!?
平成28年9月に安倍内閣が提言した“働き方改革”。
現在までに10回の働き方改革実現会議が開催され、平成30年中には、働き方改革を推進するための法律が成立する見込みです。
労使双方にとって関心の高い“働き方改革”ですが、今回は、労働時間に関する制度の見直しおよび年次有給休暇の付与義務についてご説明します。
現在までに10回の働き方改革実現会議が開催され、平成30年中には、働き方改革を推進するための法律が成立する見込みです。
労使双方にとって関心の高い“働き方改革”ですが、今回は、労働時間に関する制度の見直しおよび年次有給休暇の付与義務についてご説明します。
1. 時間外労働の上限規制
現行の労働基準法にも労働時間の上限の定めはありますが、実際には時間外労働が36協定に基づいて行なわれています。
そこで、長時間労働抑制の実効性を図るため、延長して労働させることができる時間について具体的な上限が設定されることとなりました。
すなわち、時間外労働の上限規制の原則は、1か月における上限が45時間、1年間における上限が360時間となりました。
臨時の措置としての労働時間延長や例外も規定されますが、以下の2点から労働時間の延長が許容される場合は限定的に理解すべきとされています。
・あくまでも例外的な臨時の措置であること
・過労死その他の健康被害の防止と、労働者のワーク・ライフ・バランス確保という立法趣旨
そして、今回の上限規制は労働基準法に規定されるため、規制を違法に超える場合は刑事罰の対象となります。
時間外労働に具体的規制がなされることで、会社はより一層、労務管理に気を配る必要があるでしょう。
2. 年次有給休暇の付与義務
現在、正社員の約16%は年次有給休暇(以下、年休)を1日も取得しておらず、平成27年度の年休取得率は48.7%となっています。
このように、年休取得率の低迷が続いている現状を改善するため、使用者に対して年休付与義務が課されることとなりました。
具体的には、使用者は10日以上の年休が付与される労働者に対し、年5日については、毎年、時季を指定して年休を与えなければなりません。
労働者が時季を指定した場合や計画的付与がなされた場合、年5日からそれらの合計日数を差し引いた日数が義務の対象となります。
なお、合計が年5日以上に達した場合は、使用者に義務は課されません。
もしも使用者が義務に違反した場合は、罰則が課されます。
また、年休の付与に際しては、労働者の意思を尊重する努力が必要です。
さらに、年休の管理簿を作成する必要もあることから、いつの時点で時季指定を行なうかなど、会社として施行後の対応を検討しておくようにしましょう。