会社のホームページに掲載 就業規則の周知義務は果たしている?
【相談内容】
当社は建設業を営んでいます。
ある工事現場で、監督者が規律違反者を注意したところ、当人は「就業規則を見たことがないから、服務規律も知らない」と反論してきました。
当社では、会社のホームページ上で就業規則を確認することができます。
そのため、就業規則の周知義務を果たしていると考えていますが、いかがでしょうか?
当社は建設業を営んでいます。
ある工事現場で、監督者が規律違反者を注意したところ、当人は「就業規則を見たことがないから、服務規律も知らない」と反論してきました。
当社では、会社のホームページ上で就業規則を確認することができます。
そのため、就業規則の周知義務を果たしていると考えていますが、いかがでしょうか?
【結論】
会社のホームページに就業規則を掲載している場合でも、作業場ごとにその内容を確認できる機器を設置する必要があります。
なお、設置に関しては、従業員から希望があった際に、管理職などが所持する機器で対応しても良いとされています。
ただし、閲覧方法をあらかじめ従業員に周知しておくことが必要です。
作業場ごとに周知義務が発生する
まず、就業規則の周知義務について、内容を確認しましょう。
使用者(経営者)には、労働基準法等の主旨・就業規則・労働基準法に基づく労使協定・労使委員会の決議を『常時作業場の見やすい場所へ掲示、その他の方法によって労働者に周知』する義務があります(労働基準法第106条)。
条文によると、周知は“事業場単位”ではなく、“作業場単位”とされています。
少しややこしい話になりますが、この“作業場”とは『事業場内において、密接な関連の下に作業が行われている個々の現場をいう』と解説されています(昭23・4・5基発535号)。
なお、建設現場においては『現場作業所があって、現場で労務管理が一体として行われている場合を除き、直近上位の機構に一括』されます(平11・3・31基発168号)。
また、小さな工事現場(事業場の外にある場所)については、営業所など直近上位の事務所内において、作業場単位で周知すれば義務を果たしているといえるでしょう。
周知方法に決まりはある?
労働基準法施行規則では、周知の方法として以下の事項を挙げています(第52条の2)。
(1)常時見やすい場所に掲示または備え付ける
(2)書面交付する
(3)磁気ディスクその他に記録し、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置する
今回のケースでは、会社のホームページ上で閲覧可能な体制を整えていますが、解釈例規では以下の事項を要件としています。
『作業場にパソコンなどを設置し、かつ、労働者に機器の操作の権限を与えるとともに、その操作の方法を労働者に周知させる』(平11・1・29基発45号)。
すなわち、パスワードなどの周知を含め、就業規則を閲覧するために必要な情報をきちんと提供しておく必要があるのです。
なお、就業規則の備え付けに関しては、『労働者の請求があった場合にみせる方法でも認められる』と解されています(平11・3・31基発169号)。
そのため、「スマートフォンやタブレットで閲覧すれば良い」と伝えるだけではなく、本人の希望があれば、管理職・人事課員などが手持ちの機器で対応するようにしましょう。
就業規則に関しては、適切な周知体制を整えていれば、本人がそれを読んでいなくても『労働契約の内容は就業規則で定める労働条件による』と規定されています(労働契約法第7条)。
そのため、まずは自社の周知方法が労働基準法施行規則の定めを満たしているか確認するようにしましょう。
現場に身近な労働法 Q&A
会社のホームページに就業規則を掲載している場合でも、作業場ごとにその内容を確認できる機器を設置する必要があります。
なお、設置に関しては、従業員から希望があった際に、管理職などが所持する機器で対応しても良いとされています。
ただし、閲覧方法をあらかじめ従業員に周知しておくことが必要です。
作業場ごとに周知義務が発生する
まず、就業規則の周知義務について、内容を確認しましょう。
使用者(経営者)には、労働基準法等の主旨・就業規則・労働基準法に基づく労使協定・労使委員会の決議を『常時作業場の見やすい場所へ掲示、その他の方法によって労働者に周知』する義務があります(労働基準法第106条)。
条文によると、周知は“事業場単位”ではなく、“作業場単位”とされています。
少しややこしい話になりますが、この“作業場”とは『事業場内において、密接な関連の下に作業が行われている個々の現場をいう』と解説されています(昭23・4・5基発535号)。
なお、建設現場においては『現場作業所があって、現場で労務管理が一体として行われている場合を除き、直近上位の機構に一括』されます(平11・3・31基発168号)。
また、小さな工事現場(事業場の外にある場所)については、営業所など直近上位の事務所内において、作業場単位で周知すれば義務を果たしているといえるでしょう。
周知方法に決まりはある?
労働基準法施行規則では、周知の方法として以下の事項を挙げています(第52条の2)。
(1)常時見やすい場所に掲示または備え付ける
(2)書面交付する
(3)磁気ディスクその他に記録し、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置する
今回のケースでは、会社のホームページ上で閲覧可能な体制を整えていますが、解釈例規では以下の事項を要件としています。
『作業場にパソコンなどを設置し、かつ、労働者に機器の操作の権限を与えるとともに、その操作の方法を労働者に周知させる』(平11・1・29基発45号)。
すなわち、パスワードなどの周知を含め、就業規則を閲覧するために必要な情報をきちんと提供しておく必要があるのです。
なお、就業規則の備え付けに関しては、『労働者の請求があった場合にみせる方法でも認められる』と解されています(平11・3・31基発169号)。
そのため、「スマートフォンやタブレットで閲覧すれば良い」と伝えるだけではなく、本人の希望があれば、管理職・人事課員などが手持ちの機器で対応するようにしましょう。
就業規則に関しては、適切な周知体制を整えていれば、本人がそれを読んでいなくても『労働契約の内容は就業規則で定める労働条件による』と規定されています(労働契約法第7条)。
そのため、まずは自社の周知方法が労働基準法施行規則の定めを満たしているか確認するようにしましょう。
現場に身近な労働法 Q&A