サッカー監督に学ぶ、“全員で共有していく”マネジメント方法とは?
ワールドカップ日本代表として10番を背負い、セリアAでもプレーした名波浩(ななみ ひろし)氏。
彼は今、かつて選手として所属していたチーム“ジュビロ磐田”で、監督としての手腕を発揮しています。
個性的な選手と大人数のスタッフを一つにまとめ上げ、低迷期だったチームを見事J1昇格へ導いたそのマネジメント手法とは、一体どのようなものなのでしょうか?
そこには“情報や体験の共有”という、企業の組織運営にも生かせるヒントがありました。
彼は今、かつて選手として所属していたチーム“ジュビロ磐田”で、監督としての手腕を発揮しています。
個性的な選手と大人数のスタッフを一つにまとめ上げ、低迷期だったチームを見事J1昇格へ導いたそのマネジメント手法とは、一体どのようなものなのでしょうか?
そこには“情報や体験の共有”という、企業の組織運営にも生かせるヒントがありました。
チーム運営を円滑にする2つのコト
サッカーJ1リーグともなると、個性豊かな選手が30名ほど集まります。
また、監督をはじめヘッドコーチ、フィジカルコーチ、GKコーチ、分析担当スタッフ、マネージャー、トレーナー、理学療法士、外国籍選手の通訳など大勢のスタッフがチームに関わります。
そのため、全員が毎日集合してミーティングを開き、意思疎通をはかることは難しいのです。
しかし、チームの目標や方向性の認識が全員で一致していなければ、チームは破綻してしまいます。
そこで、サッカーJ1リーグ“ジュビロ磐田”の監督・名波浩氏が実践している、チーム運営を円滑にする方法を2つご紹介します。
(1)監督自らが小さな変化を見逃さず、それをコーチ全員に共有する
たとえば、
・いつも腕時計を右手につけている選手が左手につけている
・スパイクを変えた
など、些細なことであっても“いつもと違う点”があれば声をかけ、ちょっとした変化も見逃さないようにしているといいます。
そうやって常に選手とコミュニケーションをとり、“普段の温度感”を把握しておくことが大切なのです。
“普段の温度感”を把握していないと、選手の良い変化にも異変にも気付くことができません。
こうして日々コミュニケーションを取ることで気づいた“気持ちが入っていない”などの“微かな異変”については、すぐにコーチ陣にも共有します。
それは、その微かな異変がモチベーションによるものであっても、ケガや疲労によるものであっても、監督として、チームとして対処する必要があるからです。
企業においても、上長自らが積極的に部下とコミュニケーションを取り、普段の温度感を理解しておくことは重要です。
そうすることで、早期に部下の異変に気付き、大きな問題となる前に対処することができるでしょう。
(2)体験を共有する
名波浩監督をはじめ、ジュビロ磐田のコーチ陣はプロとして成功を収めた選手です。
さらに、以下のチームのいずれにも関わっています。
・現役時代にタイトルを獲得したチーム
・あと一歩でタイトルをつかめなかったチーム
・優勝争いに加われなかったチーム
そのため、その時々の監督が何を語り、コーチらが何をして、その結果どうなったのかということを各々が体験しているのです。
そして、その“成功体験”と“失敗体験”を“チームを勝利へ導くノウハウ”として、監督とコーチで共有しているといいます。
さらに監督は、中村俊輔選手を獲得した際、フィールド上の体験はもちろん、フィールド外の体験も含めて、自身の体験談を若い選手に話してほしいと伝えたそうです。
その結果、“厳しい環境の中で、上昇志向を持ってやっていた”という体験談が、若い選手を奮起させました。
今回は、ジュビロ磐田が実践している『小さな気づきを見逃さず、体験や情報を共有していく』というマネジメント方法についてご紹介しました。
部下と積極的にコミュニケーションを取り、細かな体験や情報をも共有していくことは、職場マネジメントにおいても有効な手段といえます。
ぜひ参考にしてみてください。
企業成長のための人的資源熟考
●プロフィール●
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。
サッカーJ1リーグともなると、個性豊かな選手が30名ほど集まります。
また、監督をはじめヘッドコーチ、フィジカルコーチ、GKコーチ、分析担当スタッフ、マネージャー、トレーナー、理学療法士、外国籍選手の通訳など大勢のスタッフがチームに関わります。
そのため、全員が毎日集合してミーティングを開き、意思疎通をはかることは難しいのです。
しかし、チームの目標や方向性の認識が全員で一致していなければ、チームは破綻してしまいます。
そこで、サッカーJ1リーグ“ジュビロ磐田”の監督・名波浩氏が実践している、チーム運営を円滑にする方法を2つご紹介します。
(1)監督自らが小さな変化を見逃さず、それをコーチ全員に共有する
たとえば、
・いつも腕時計を右手につけている選手が左手につけている
・スパイクを変えた
など、些細なことであっても“いつもと違う点”があれば声をかけ、ちょっとした変化も見逃さないようにしているといいます。
そうやって常に選手とコミュニケーションをとり、“普段の温度感”を把握しておくことが大切なのです。
“普段の温度感”を把握していないと、選手の良い変化にも異変にも気付くことができません。
こうして日々コミュニケーションを取ることで気づいた“気持ちが入っていない”などの“微かな異変”については、すぐにコーチ陣にも共有します。
それは、その微かな異変がモチベーションによるものであっても、ケガや疲労によるものであっても、監督として、チームとして対処する必要があるからです。
企業においても、上長自らが積極的に部下とコミュニケーションを取り、普段の温度感を理解しておくことは重要です。
そうすることで、早期に部下の異変に気付き、大きな問題となる前に対処することができるでしょう。
(2)体験を共有する
名波浩監督をはじめ、ジュビロ磐田のコーチ陣はプロとして成功を収めた選手です。
さらに、以下のチームのいずれにも関わっています。
・現役時代にタイトルを獲得したチーム
・あと一歩でタイトルをつかめなかったチーム
・優勝争いに加われなかったチーム
そのため、その時々の監督が何を語り、コーチらが何をして、その結果どうなったのかということを各々が体験しているのです。
そして、その“成功体験”と“失敗体験”を“チームを勝利へ導くノウハウ”として、監督とコーチで共有しているといいます。
さらに監督は、中村俊輔選手を獲得した際、フィールド上の体験はもちろん、フィールド外の体験も含めて、自身の体験談を若い選手に話してほしいと伝えたそうです。
その結果、“厳しい環境の中で、上昇志向を持ってやっていた”という体験談が、若い選手を奮起させました。
今回は、ジュビロ磐田が実践している『小さな気づきを見逃さず、体験や情報を共有していく』というマネジメント方法についてご紹介しました。
部下と積極的にコミュニケーションを取り、細かな体験や情報をも共有していくことは、職場マネジメントにおいても有効な手段といえます。
ぜひ参考にしてみてください。
企業成長のための人的資源熟考
●プロフィール●
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。