利用目的で決まる!『レンタルスペース』の勘定科目
近年は検索や予約ができる専用のポータルサイトなども誕生し、誰でも気軽に『レンタルスペース』を利用できるようになりました。
レンタルスペースはいわゆる貸し会議室のようなルーム型から完全個室のボックス型に、オープンスペースで固定席を利用するコワーキングスペース型まで、タイプもさまざまです。
こうしたレンタルスペースを借りる際の費用について、事業のために使用したものであれば、経費として計上することができます。
今回は、レンタルスペースを利用した際の勘定科目について解説します。
『レンタルスペース』利用料金の勘定科目
多くの企業や自治体が貸し会議室やレンタルスペースの貸出を行なっています。
また、住宅やマンションの一室、古民家や撮影スタジオなど、空いているスペースを貸したい人と借りたい人をつなぐプラットフォームも利用者を増やしています。
「インスタベース」や「スペースマーケット」、「スペイシー」や「カシカシ」などが代表的なレンタルスペースのポータルサイトとして知られています。
コロナ禍をきっかけとしたリモートワークの浸透やシェアサービスの隆盛などもあり、今後ますますレンタルスペースの需要は高まっていくのではないでしょうか。
ビジネスシーンにおいても、会議やセミナーだけではなく、物販会場や面接会場、顧客向けの体験教室など、レンタルスペースの利用は多岐にわたり、アイデア次第でこれまでにないユニークな使い方ができるようになりました。
レンタルスペースの利用の多様化が進むなかで、気になるのが費用の仕訳です。
レンタルスペースの利用料金も会議やセミナーなど、事業に必要なものであれば経費として計上できますが、適切な会計処理を行うためには、レンタルスペースの利用料金の勘定科目を把握しておかなければいけません。
では、実際にどういった勘定科目で仕訳をしていけばよいのでしょうか。
実は、レンタルスペースの利用料金の勘定科目は『利用目的』によって異なります。
たとえば、レンタルスペースを会議やミーティング、商談、株主総会などで利用した際は、勘定科目は「会議費」で分類します。
会議やミーティングの際のコーヒー代や弁当代なども会議費に含まれます。
会議に付随するものは、すべて会議費に分類して問題ありません。
一方、同じレンタルスペースを利用したとしても、社員研修や社内向けのセミナーなどに使用した場合は「教育訓練費」や「研修費」で分類します。
会議費と同様に、研修時に使用するテキスト代などは教育訓練費や研修費に含まれます。
また、レンタルスペースで新商品のPRを目的とした展示会や発表会、記者会見や説明会などを行なった場合は「広告宣伝費」に分類します。
レンタルスペースからオンラインの展示会に参加したり、商品PRの動画配信などを行なったりした場合も、広告宣伝費で問題ありません。
オフィスとして利用した場合の勘定科目
会議や展示会などではなく、レンタルスペースをオフィスとして使用した場合は、どの勘定科目が適しているのでしょうか。
オフィスとして使用する場合は、『利用頻度』や『利用目的』によって勘定科目が異なります。
たとえば、オフィス環境を共有するコワーキングスペースとしての利用や、月1~2回ほど単発で利用するのであれば、その費用については「賃借料」や「会議費」に分類できます。
1週間に複数回利用するなど、定期的に利用しているケースでは「賃借料」が適しているでしょう。
本社から離れた場所で機能させるサテライトオフィスとして、月契約でレンタルスペースを利用する場合は、毎月の固定費が発生することになるため、費用を「地代家賃」に分類します。
レンタルスペースは賃貸物件のような賃貸借契約ではなく、あくまで利用契約に過ぎません。
しかし、勘定科目は契約の内容に左右されず、利用目的などによって判断されます。
勘定科目は利用目的や頻度に応じて自由に決めることができますが、社内で仕訳の方法を統一しておかないと、混乱を招くおそれがあります。
施設の利用目的と勘定科目を統一しておき、同じ目的でレンタルスペースを利用した際は、同じ勘定科目を使うようにすることで、帳簿が整理できます。
会社や事業内容によって仕訳の方法は異なるので、もし費用の計上や勘定科目で迷ったら、専門家に相談するようにしましょう。
※本記事の記載内容は、2024年8月現在の法令・情報等に基づいています。