ひかり税理士法人

新たな事業への挑戦を支援する助成金の活用方法とは?

24.01.09
ビジネス【助成金】
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雇用の安定や職場環境の改善、従業員の能力向上や家庭と仕事との両立を支援するために、国や自治体からさまざまな助成金が支給されています。
事業を円滑に行うために活用したい助成金ですが、活用するためには一定の要件を満たしている必要があります。
実際にどのようなケースで助成金が活用できるのか、事例に沿って紹介します。
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産業雇用安定助成金『事業再構築支援コース』

<Question>

経営している飲食店がコロナ禍の影響を受け、売上が大きく下がってしまいました。
V字回復を狙うべく、飲食店経営のノウハウを活かしながら、超高齢化社会で今後拡大が予測される高齢者向けの配食事業といった新規市場への参入を検討しています。
このような場合、活用できる助成金はありますか?

<Answer>

そのような場合は、『産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)』を活用できます。
本助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新たな事業への進出等の事業再構築を行うため、当該事業再構築に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するための助成金です。

この助成金の助成要件として、事前に『事業再構築補助金』を申請している必要があります。
事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など、思い切った事業再構築に意欲を持った中小企業等の挑戦を支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的とした、中小企業庁による補助金です。
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)を活用するには、この補助金を申請し、交付決定を受けた後に対象労働者を雇い入れます。

本助成金の手続きの大まかな流れは以下の通りです。

1.事業再構築補助金の手続き
(1)事業再構築補助金の応募書類提出
(2)採択審査委員会による採択・審査
(3)事業再構築補助金の交付審査・決定
2.対象者の雇入れ
補助事業実施期間内
3.産業雇用安定助成金の支給申請の手続き
(1)助成金の第1期支給申請
(2)調査・確認→支給・不支給決定
(3)助成金の第2期支給申請
(4)調査・確認→支給・不支給決定

※助成金は支給対象期ごとに2回に分けて支給します。
※支給決定までの間に対象労働者が離職した場合は、原則不支給となります。
※事業再構築補助金の応募、申請先は中小企業庁です。詳細は事業再構築補助金Webサイトをご確認ください。

【支給対象となる事業主】
対象となる事業主の要件は以下の通りです。
(1)令和5年4月1日以降に中小企業庁が実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること
(2)対象労働者の雇入れにあたって、下記条件を全て満たすこと
a.雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
b.期間の定めのない労働契約を締結する労働者として雇い入れること
c.「事業再構築補助金」補助事業実施期間の初日から当該期間末日までに雇い入れること
(3)対象労働者に対して1年間(助成対象期間)に350万円以上を支払っていること
(4)雇入れ日前6カ月から本助成金の支給申請までの期間に雇用する労働者を解雇等していないこと
※上記以外にも必須要件があります。

【対象となる労働者】
対象となる労働者の要件は以下の通りです。
「事業再構築補助金」の交付決定を受けた新たな事業への進出等の事業再構築に係る業務に就く者であって、次の(1)と(2)に該当する者
(1)次のAまたはBのいずれかに該当する者
A.専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者
B.部下の指揮や監督する業務に従事する者であって、係長相当職以上の者
(2)1年間に350万円以上の賃金(※)が支払われる者 ※時間外手当、休日手当を除いた毎月支払われる基本給と諸手当に限る

【不支給要件】
本助成金を受給する事業主は対象事業主であっても、以下のいずれかに該当する場合は対象となりません。
(1)雇入れ日の前日から過去3年間に、事業主と雇用、請負、委任、出向、派遣の関係にあった対象労働者を雇い入れる場合
(2)対象労働者が、事業主または取締役の3親等以内の親族である場合   など
※上記以外にも要件があります。

【助成額】
中小企業:一人当たり280万円(支給方法 140万円×2期)
中小企業以外:一人当たり200万円(支給方法 100万円×2期)
※助成対象期間はいずれの企業も1年です。


なお、このほかにも細かい支給要件があります。助成金について関心がある、もしくは活用を検討している企業は、厚生労働省のホームページに詳細が記載されていますのでご確認ください。
また、併せて専門家へのお問い合わせもおすすめします。

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/sankokinjigyou-saikouchiku.html


※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。