ひかり税理士法人

キャリアアップを促進! 非正規雇用労働者の正社員化に対して助成

23.05.09
ビジネス【助成金】
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優秀な人材に長く働いてもらい、事業の生産性を高めるためには、労働者が安心して働ける雇用環境をつくることが必要です。
そこで活用したいのが、有期雇用労働者、短時間労働者(アルバイトやパートなど)、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを支援する『キャリアアップ助成金(正社員化コース)』です。
非正規雇用労働者の能力開発を通じ、正社員化を進める事業主に対して助成金が支給されます。
今回はその概要を紹介します。
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キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、就業規則または労働協約、そのほかこれに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者などを正社員化した場合に助成されます。

【対象となる労働者】
対象となる労働者に求められる主な要件は(1)~(4)となります。
(1)有期雇用労働者または無期雇用労働者
支給対象事業主に、賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則などの適用を通算6カ月以上受けて雇用される有期雇用労働者または無期雇用労働者
(2)正規雇用労働者として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者などでないこと
(3)支給申請日において、有期雇用労働者または無期雇用労働者への転換が予定されていない者であること
(4)就労継続支援A型の事業所における利用者以外の者であること   など
 
【対象となる事業主】
対象となる事業主に求められる主な要件は(1)~(6)となります。
(1)有期雇用労働者などを正規雇用労働者に転換する制度を就業規則または労働協約そのほかこれに準ずるものに規定している事業主であること
(2)上記(1)の制度の規定に基づき、雇用する有期雇用労働者などを正社員化した事業主であること
(3)上記(2)により正社員化された労働者を、正社員化後6カ月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して正社員化後6カ月分の賃金を支給した事業主であること
(4)多様な正社員への転換の場合にあっては、(1)の制度の規定に基づき正社員化した日において、対象労働者以外に正規雇用労働者(多様な正社員を除く)を雇用していた事業主であること
(5)支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること
(6)転換後6カ月間の賃金を、正社員化前6カ月間の賃金より3%以上増額させている事業主であること  など

【支給額】
(1)有期雇用労働者→正社員:一人当たり 57万円(42万7,500円)
(2)無期雇用労働者→正社員:一人当たり 28万5,000円(21万3,750円)
※( )内は大企業の額 
※(1)(2)を合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで。
※多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)へ転換などした場合には正規雇用労働者へ転換などしたものとみなします。
※生産性要件を満たした加算措置が令和5年3月31日で廃止されました。

【加算額】
(1)派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用する場合
一人当たり28万5,000円

(2)対象者が母子家庭の母などまたは父子家庭の父の場合
ア.有期雇用労働者(以下、有期):一人当たり9万5,000円
イ.無期雇用労働者(以下、無期):一人当たり4万7,500円

(3)人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合
ア.有期:一人当たり9万5,000円
イ.無期:一人当たり4万7,500円
このうち、自発的職業能力開発訓練または定額制の訓練修了後に正社員化した場合
ウ.有期:一人当たり11万円
エ.無期:一人当たり5万5,000円
※令和5年度より人材開発支援助成金の訓練後に対象労働者を正社員化し、キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請する予定の事業主は、人材開発支援助成金における『訓練実施計画届』(訓練様式第1号など)の作成・提出をもって、キャリアアップ助成金(正社員化コース)における『キャリアアップ計画』とみなすことができます。

(4)『勤務地限定・職務限定・短時間正社員』制度を新たに規定し、有期雇用労働者などを当該雇用区分に転換などした場合
1事業所当たり9万5,000円(7万1,250円)
※1事業所当たり1回のみ
※( )内は大企業の額

【手続きの流れ】
(1)キャリアアップ計画の作成・提出
雇用保険適用事業所ごとに『キャリアアップ管理者』を配置するとともに、労働組合などの意見を聴いて『キャリアアップ計画』を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。
転換・直接雇用を実施する前日までに提出します。

(2)就業規則、労働協約そのほかこれに準ずるものに転換制度を規定
キャリアアップ計画提出前に転換制度を規定していた場合でも対象になります。ただし、その場合でも『試験などの手続き、対象者の要件、転換実施時期』の規定は必須です。
※ 勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定した場合の加算を受ける場合を除く。
※労働基準監督署に改定後の就業規則を届け出る必要があります。
※10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、事業主と労働組合などの労働者代表者(有期 雇用労働者などを含む事業所の全ての労働者の代表)の氏名などを記載した申立書でも可です。

(3)就業規則などに基づく正規雇用への転換・直接雇用の実施
転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付する必要があります。
また、転換後に適用される就業規則などに規定している労働条件・待遇にする必要があります。

(4)転換・直接雇用後6カ月分の賃金の支払い
転換後6カ月間の賃金を転換前6カ月間の賃金と比較して3%以上増額している必要があります。

(5)支給申請
・転換または直接雇用後6カ月分の賃金(時間外手当などを含む)を支給した日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請します。
※令和5年4月2日以降正社員化コースは電子申請が可能になりました。

(6)審査、支給決定

なお、このコースにはこれ以外にも細かい要件があります。詳細は厚生労働省ホームページをご確認ください。
出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf


※本記事の記載内容は、2023年5月現在の法令・情報等に基づいています。