ひかり税理士法人

起業や新規事業立ち上げの際のリーガルチェック

23.03.06
ビジネス【企業法務】
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新しいビジネスプランを考え、起業や新規事業を立ち上げるのは、ビジネスのなかでも胸が高鳴る瞬間です。
しかし、リーガルチェックを何もせずに思いついたまま事業を始めてしまい、後からその事業内容が違法であると指摘された場合、事業そのものが白紙撤回となってしまう危険性もあります。
そこで、今回は、新規事業を立ち上げる際に注意しなければならないポイントを簡単に紹介します。
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新規事業立ち上げ。まずは法的規制の確認を

新規事業を企画した段階でまず確認しなければならないのは、その事業が適法かどうか、あるいは、違法にならずに事業を実施するには、どういった規制があるかを確認することです。

たとえば、美容、化粧品、サプリメント、医療などのヘルスケア業界は、人の生命や健康に関わる事業であり、薬機法、医療法等で厳しく規制がなされています。
それは、商品やサービスの提供といったことだけではなく、たとえば広告表現についても細かい規制があります。
もし、法規制を無視して、訴求力の高いパッケージやWebページを安易に作成すると、後から違法な内容であったと指摘されることになりかねません。
そのほかにも、たとえば現在注目度の高い環境ビジネス分野に進出しようとした場合、その事業が廃棄物処理法をはじめとする各環境法令の規制に触れていないか、注意しなければなりません。

このように、事業そのものが違法であった場合や、事業を実施するために必要な免許や許可を取得していなかったことが後から判明した場合には、せっかく軌道に乗り始めたビジネスを中止せざるを得なくなります。
大きな損失を被るだけでなく、最悪の場合、刑事罰を受ける恐れもあります

把握しておくべき規制は、行政関係の法律以外にもあります。
他者の商標と類似しているものは商標権侵害の問題が生じますし、一般消費者向けのビジネスでは、消費者契約法や特定商取引法、景品表示法などの消費者保護のための規制についても遵守する必要があります。

このように、企画しているビジネスに関連する法規制を事前に整理し、把握しておくことは、新規事業の企画段階で考えるべき重要な事項になります。
具体的には、新規事業が法規制の対象となるかを行政に確認する『ノーアクションレター制度』を活用したり、その分野に詳しい弁護士に相談したりするとよいでしょう。


適切な契約書がビジネスの基盤をつくる

新規事業を始めるにあたっては、多くの新規取引先企業と契約を締結していくこととなります。
従来から取引のある企業との契約であれば、従前の契約書を参考にすることもできますが、新規取引先の場合には、契約書もゼロから作成することになります。

事業立ち上げの段階ではアイデア重視、スピード重視で、契約書は後回しになってしまいがちです。
しかし、契約書は、トラブルになった場合以外にも、取引先や顧客との日々の対応の指針となるものです。
きちんとビジネスを軌道に乗せるためにも、しっかりとした契約書を作成することが大切です。

また、契約書を作成する場合、インターネットで公開されているひな形を使って簡単に済ませるケースもあるでしょう。
しかし、契約書は、ビジネスの内容によってはもちろん、契約を締結する企業の業態や業種、そのビジネスでの立場などにより、取り決めるべき項目が千差万別です。
一般的なひな形がそのまま使えるという場合はむしろ少ないといえます。
したがって、弁護士に相談しつつ、そのビジネスにあった契約書を作成していくことが重要となります。

事業を始めるにあたってリーガルチェックが必要なポイントは多々あり、これらを怠ると、後から大変な損失を被るリスクを抱えることになります。
こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、なるべく早い段階で専門家に相談するなど、事業を開始する前の準備を念入りに行い、万全な状態で新規事業をスタートさせましょう。


※本記事の記載内容は、2023年3月現在の法令・情報等に基づいています。