ひかり税理士法人

エイジングケアで客層を広げよう! サロン集客と広告表現のポイント

22.11.01
業種別【美容業】
dummy
内閣府の『平成27年度版高齢社会白書』によると、2035年には3人に1人が65歳以上の高齢者となる時代を迎えます。
シニア層へのアプローチは、多くのヘアサロン経営者にとって避けて通ることのできない問題です。
サロンメニューを発展させ、エイジングケアなどのサービスも視野に入れたいと考えるオーナーも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、エイジングケアの導入や拡充を検討するヘアサロンに向け、効果的な集客方法と適正な広告表現のポイントについて解説します。
dummy
エイジングケア強化でシニア層にアプローチ

超高齢社会に突入した日本社会で、注目されているのが『アクティブシニア』の存在です。
心身ともに若々しく、健康や美容への関心が高い概ね65~75歳のシニア層を指します。
サロンでエイジングケアを取り入れ、アクティブシニアを集客するにはどうすればよいのでしょうか。

まず、取り組むべきはニーズの把握です。
エイジングケアには、頭皮ケアや髪質改善、ハンドケアやフットケア、まつ毛エクステなどのメニューがあります。
技術的な習得が前提ですが、ニーズを把握するには丁寧なカウンセリングが欠かせません。
『髪の毛のボリュームが気になる』『コシが減ってきた』といった加齢にともなう悩みを把握していきましょう。

二つめは、関連商品の充実です。
ヘアケア製品や化粧品などは多岐にわたり、絶えず新商品が開発されています。
そのため、商品の特徴をしっかりと理解し、流行を取り入れながら、美容に関心の高いシニア層へ提案していくことが大切です。

三つめは、取り組みの発信です。
アクティブシニアは、オンラインツールを日常的に利用していることが多い層です。
従来のチラシや看板などによる広告に加え、SNSなどの活用が求められます。


景品表示法や薬機法による規制のポイント

エイジングケア関連のサービスを販促する際、注意したいのが景品表示法と薬機法です。
いずれの法律も、違反した場合は課徴金が課せられる可能性があります。
景品表示法は、広告などの表示について最低限の基準を定めた法律です。
消費者庁のHPによると、商品の包装やチラシのほか、広告や電話、Webによる広告も該当します。
規制される不当表示は、以下の二種類です。

(1)品質、規格などについての不当表示(優良誤認)
(2)価格や取引条件についての不当表示(有利誤認)

(1)は、『10日間で7キロ減量』など、実際より著しく優良であると示した場合に適用されます。
競争業者より優れているかのように偽って『このサービスは当社だけ!』などと宣伝する行為も対象です。
(2)は、実際は違うのに『お得!』と思わせる表示を指します。
たとえば、他社と同程度にもかかわらず『内容量2倍』と多く表示したり、半額キャンペーンをずっと『今だけ』と偽ったりする広告があります。

一方、薬機法は2014年に薬事法から名称変更された法律で、医薬品だけでなくシャンプーやコスメ、サプリメントといった商品にも適用され、虚偽や誇大な広告を禁止しています。
広告には、チラシ以外にも口頭やWebによるPRが含まれるため注意が必要です。


エイジングケア広告のNG表現をチェック!

ここからは、問題となる広告表現の具体例をみていきましょう。
まず、『エイジングケア』を説明する際の注意点です。
年齢に応じた手入れを指す言葉であるため、『若返り』『老化防止』『加齢によるシミ・シワの防止』といった表現は認められていません。
次に、化粧品は『安心』『安全』とPRできず、『お肌の弱い方』『アレルギー性肌の方』もNGです。
シャンプー等の『低刺激性』『刺激が少ない』といった表現も安全性について誤認される恐れがあり、キャッチフレーズには使えません。
また、スキンケア用の商品説明で目にすることの多い『浸透』も注意が必要です。
角質層と毛髪にのみ使用できるため、ハンドケアで『肌の奥深くまで浸透』と説明すると、許容範囲を超えてしまいます。
最後に、顧客の体験談を紹介する際にNGとなるのが『完治しました』などの主観です。
化粧品等の効能や効果、安全性に対する経験は、『個人の感想です』という注釈付きでも認められていないのが現状です。

美容関係の広告は接客と密接にかかわるため、ついつい過剰な表現になりがちです。
これらの定められたルールを意識しつつ、アクティブシニア層に伝えたいことが伝わるような工夫をして、集客アップに取り組んではいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2022年11月現在の法令・情報等に基づいています。