ひかり税理士法人

痴漢冤罪に巻き込まれないための予防策と、万が一の対応策

22.05.24
ビジネス【法律豆知識】
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痴漢行為とは、相手の同意を得ずに行われる性的な嫌がらせや、わいせつな言動のことを指します。
痴漢行為をした場合、各都道府県の迷惑防止条例に基づく取り締まりを受けたり、処罰されることが決められています。
もちろん、これは痴漢行為が認められ、有罪になった場合です。
ところが最近では、痴漢行為をしていないにも関わらず、痴漢行為を疑われて冤罪事件に巻き込まれるケースが後を絶ちません。
また、一旦嫌疑をかけられると、その疑いを覆すのは容易ではなく、社会的なダメージも計り知れません。
今回は、『痴漢冤罪』に巻き込まれないための対策と、万が一痴漢として扱われてしまった場合の対処法についてお伝えします。
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痴漢に遭った場合の対処法と冤罪の問題点

警視庁の発表によれば、東京都における2020年の痴漢行為(迷惑防止条例違反)の検挙数は、約1,300件にのぼりました。
その半数以上は電車内および駅構内で発生しており、時間帯は朝のラッシュ時がもっとも多く、年齢別被害状況では20代が36.9%とトップで、10代が25.7%、30代が11.3%と続きます。

痴漢対策としては、『満員電車を避ける』『女性専用車両に乗る』『警視庁の防犯アプリ“Digi Police”をインストールする』といった対策が推奨されています。

また、何度も同じ電車内で被害に遭っていたり、同じ人物からの被害を受けていたりする場合は、警察官が共に電車に乗る『同行警乗』によって検挙するケースもあります。

一方で、痴漢行為には冤罪も少なくありません。
社内の防犯カメラにある程度、状況が映っているとはいえ、痴漢犯罪のすべてがカメラに映る範囲内で起きているわけではないため、冤罪もまた防ぎきれないというのが現状です。

痴漢冤罪が起きる原因としては『被害者の勘違い』『被害者による犯人の錯誤』『駅員や捜査員の思い込み』、悪質なケースでは『示談金を目的としたでっち上げ』などが挙げられます。

一度、痴漢の犯人として逮捕されてしまうと、冤罪であっても『痴漢をした』という疑惑が晴れず、社会復帰が困難になってしまい、退職に追い込まれてしまう人も少なくありません。
また、目撃証人が確保しづらく、被害者の証言をもとに裁判が進むこともあるため、起訴されると有罪になる確率は99%以上ともいわれているのです。

近年は痴漢冤罪の増加が問題になっており、被害者の衣服に残った繊維や汗や皮脂のDNAなど、物的証拠が重要視されるようにもなりました。
とはいえ、痴漢をしたと思われないように細心の注意を払うことが最大の自己防衛だといえるでしょう。


痴漢冤罪に巻き込まれてしまったら

痴漢冤罪を防ぐには、たとえば電車通勤時であれば、『できるだけ満員車両に乗らない』『(男性の場合は)女性の近くに立たない』『両手は顔よりも高い位置に上げておく』などが効果的だとされています。
もし自転車や自動車での通勤が可能であれば、公共交通機関を使わない通勤手段に切り替えるという方法もあるでしょう。

では、これらの予防策を講じていたとしても、痴漢冤罪に巻き込まれてしまったら、どのように対処したらいいのでしょうか?

「走って逃げればなんとかなるのでは」など、さまざまな意見があるとは思いますが、いかなる状況でもその場から立ち去るのはおすすめできません

本来なら勾留されないケースであったとしても、裁判所が『逃亡の恐れあり』と判断し、勾留請求が認められてしまう可能性があるからです。
また、裁判になった場合も、「やましいことがないのであれば、なぜその場から去ったのか」という質問を受けることにもなります。

基本的には、その場から立ち去らずに、まずは第三者である目撃者を探すことをおすすめします。
たとえば、目撃者に自分が両手をつり革にかけていたことを証言してもらえれば、疑いを晴らすことができます。
周囲の乗客に声をかけ、自分の手の位置や挙動を目撃していないか尋ねてみましょう。

理想的なのは、駅員や警察官に同行を求められた際に、目撃者にも一緒に来てもらって証言してもらうことです。
それが難しいのであれば連絡先を聞いて、証言をスマートフォンなどで録音させてもらいましょう。

また、弁護士に連絡することも忘れてはいけません
知り合いの親身になってくれる弁護士や、刑事事件に慣れている弁護士に電話をして、担当になってもらうとよいでしょう。
ちなみに、近年は痴漢に間違われた際に、専門の弁護士がサポートしてくれる『痴漢冤罪保険』などの保険商品も出てきています。
毎日、満員電車に乗っている人は、調べてみてもよいかもしれません。

痴漢冤罪は、自分自身の社会的信用を落とし、会社や家族にもダメージを与えます。
身に覚えのない罪をかぶることのないよう、日頃から対策をしておきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年5月現在の法令・情報等に基づいています。