ひかり税理士法人

企業の将来を担う『社員教育計画』のポイント

21.03.30
ビジネス【人的資源】
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会社の将来を担う人材を育てるために、多くの企業で社員教育が行われています。
ただし、人事担当者の全てが人材育成のプロではないため、いまいち効果が出ないと頭を悩ませている企業も少なくありません。
効果の高い社員教育を行うためには、目的や実施時期、内容などを定めた『社員教育計画』を作ってみてもよいでしょう。
企業と社員の成長につながる『社員教育計画』について、説明します。
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まずは社員教育の目的を明確にする

グローバル化やデジタル技術の進展、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大などによる社会環境の変化に対応するために、人材開発や社員教育を重要視する企業が増えてきました。

一方で、必要な社員教育ができていないと感じている企業も多く、一般社団法人 日本経済団体連合会が2020年に発表した『人材育成に関するアンケート調査結果』によると、『自社の人材育成施策が環境変化に対応できていない部分がある』と回答した企業は、88.8%と全体の9割近くにものぼりました。
また、『人材育成の方針や戦略の見直し』に取り組んでいる、もしくは検討中と回答した企業も80.5%にもなりました。

社員教育には、社員のスキルアップのほかに、帰属意識を高め、企業理念やビジョンを共有しながら成長させていくという目的もあります。
また、情報漏えいなどの社内セキュリティに対する意識の向上や、社員同士のトラブル防止などのコンプライアンス教育も最近では必要とされています。

ただ業務内容を教えたり、ビジネスマナーを教えるといった通り一遍の教育を超えて、会社が求める人材を育てるためにも、社員教育計画を立てることは大切です。


課題やターゲットを定め、研修を設定する

社員教育計画の立案は、最初に解決すべき課題を設定するところからスタートします。

課題は、『将来的に業績が伸び悩みそう』などの予測でも構いません。
会社の現状を把握したうえで課題を洗い出し、今後社員がどうなればその課題を解決していけるのかを考えて、目標を設定する必要があります。

明確な目標が決まれば、社員教育の一環である社員研修を行うべきターゲットや、ターゲットに向けた教育内容も見えてきます。

企業が行う社員研修には、内定者や新入社員に対して行う『内定者研修』や『新入社員研修』、中堅社員に対して行う『中堅社員研修』、中途入社社員への『中途社員研修』、さらに、管理職や役員を対象にした『管理職研修』『役員研修』など、さまざまな種類があります。
営業力の強化を掲げている企業が、新入社員に対して行う新入社員研修に力を入れても、あまり意味がないのです。
目標とターゲットが一致するように研修を設定しましょう。

また、社員教育には、社員研修のほかに、職務現場で業務を通して教育訓練を行う『OJT(On The Job Training)』という方法もあります。
OJTは通常の業務のなかで、上司や先輩社員等が教える側となり、部下や新入社員に実践的な知識やノウハウを教えていくため、スキルが身につきやすく、成長が早いというメリットがあります。

社員教育計画では、どちらかに偏ってしまうのではなく、研修とOJTをバランスよく組み込んでいくことが重要といえるでしょう。
そして同時に、全体のスケジュールや実施のタイミング、カリキュラムも具体的に設定していきます。

たとえば、中堅社員の成長に課題を感じているのであれば、全体で2カ月のスケジュールを確保し、前半の1カ月は外部から講師を呼んで週1回程度の社員研修を行い、残りの1カ月は、OJTで実際の業務をしながらスキルを磨くという社員教育計画が考えられます。

また、新入社員教育に力を入れるのであれば、半年ほどの社員教育計画を立ててもよいでしょう。
最初の3カ月でビジネスマナー研修と業務の基本を学ぶ基礎教育を施し、4カ月目からは職務現場でのOJTで仕事を覚えながら、資格取得などを支援するというプランも可能です。

社員教育計画は、自社に合わせた目標を立てないと意味がありません。
社内へのヒアリングや他社の動向も参考にしながら、効果的な計画を立てていきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年3月現在の法令・情報等に基づいています。