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2018年度診療報酬プラス改定の恩恵とは② ―遠隔医療の導入について―

18.02.09
業種別【医業】
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ICTやスマートフォンなどの情報テクノロジーを上手く活用していくことで、患者のアドヒアランスの改善や、それに伴う治療成績の向上など多くのメリットが考えられる“遠隔医療”。 

前回、診療報酬プラス改定の記事でご紹介した“遠隔医療”について、今回は、もう少し掘り下げていきたいと思います。
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遠隔医療とは? 

厚生労働省のホームページによると“遠隔医療”とは、以下のものをいいます。 

遠隔病理診断(テレパソロジー):遠隔による体組織の画像などの診断 
遠隔画像診断(テレラジオロジー):遠隔によるX線写真やMRI画像などの診断 
遠隔相談(テレコンサルテーション):遠隔地の医師との症例会議など 
在宅医療(テレケア):遠隔診断による、受診が困難な患者への医療の提供 

遠隔病理診断は、手術中に専門医の診断をリアルタイムに仰ぐことで、手術範囲の決定に役立てることができます。 

また、在宅医療については、患者の映像や音声、生態情報(体温・血圧・脈拍・尿糖値など)を情報通信端末やテレビ電話を通じて遠隔地の医師へ情報提供することで、近くに診療所がないなど、受診が困難な慢性期疾患患者に対する医療の提供が可能となります。 


中医協での遠隔診療と対面診療をめぐる議論 

遠隔医療については、2015年8月に厚生労働省により事務連絡『情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について』が出され、離島やへき地等に限定されていた遠隔医療の適用範囲が事実上解禁となりました。 

さらに、2017年7月の通知(医政発0714第4号)において、“禁煙外来は対面診療を行わなくとも、遠隔診療だけで完結すること”が認められ、“遠隔診療における電子メールやSNSの利用”なども明確化されました。 

こうした流れを受け、前回ご紹介したように、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)で遠隔医療の診療報酬上の評価が議論されたのです。 

ここでいう遠隔医療とは、いわゆる“テレビ電話”を実現するビデオチャットアプリをスマートフォンなどにインストールし、オンライン上で行う医師と患者のコミュニケーション”が想定されています。 

また、禁煙外来以外の初診については、必ず対面診療を行い、遠隔診療に入っても一定の間隔で対面診療を入れていくことが規定されています。 
なお、実施には計画書の策定と患者の同意も必要となります。 

中医協では、遠隔診療の積極的な推進を主張する支払側委員に対し、診療側委員は“あくまでも対面診療がメイン”だという慎重な姿勢を崩していません。 
しかし、適切な運用をすれば、患者と診療所双方にとってメリットの多い診療システムを構築できるでしょう。 


遠隔医療の導入は患者目線の検討がカギ 

遠隔医療における患者にとっての最大のメリットは、通院する手間が省け、自宅に居ながら診察を受けられることでしょう。 

処置などが頻回に必要な外科系の診療科では遠隔診療は不向きですが、指導やカウンセリングが中心の生活習慣病やうつ病など精神疾患領域は、遠隔診療との親和性が高いといわれています。 
通院というハードルが軽減されることで、患者の治療意欲や治療の継続率を高めることができるでしょう。
それが結果として、重症化予防にもつながっていくと考えられます。 

さらに診療所のメリットとしても、治療中断による患者の減少を防ぐことができます。 

一般的に遠隔診療は予約制で行われますが、オンラインで簡便かつ即座にアクセスできるため、ある意味、患者を逃さないシステムになっているのです。 
検査などが頻回に必要な患者は“対面診療”を行っていくことが必要でしょう。 
しかし病状が比較的安定し、かつ通院による治療意欲が乏しい患者には“遠隔診療”を勧めることで、効率的な診療体制と治療成績向上の両立が図れるかもしれません。 
ただし、遠隔診療の安易な運用によって患者の不利益が生じるような事態は避ける必要があります。 

都心で2年前から遠隔診療を積極的に展開している精神科クリニックによると、対象者の選定は患者に治療上の恩恵があるかどうかを基準にしているそうです。 
“同じ疾患だからといって、誰でも遠隔診療の対象になるわけではない”ということでしょう。 

診療報酬上の評価で遠隔診療の普及が見込まれるなか、一人ひとりの患者に対して診療方法を見極める目も重要になってきそうです。 



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