ひかり税理士法人

価値が高まる『ファーストパーティデータ』の収集方法

24.09.10
ビジネス【マーケティング】
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氏名や住所、購入履歴から契約内容まで、顧客に関するさまざまな情報を「顧客データ」と呼びます。
顧客に合わせたアプローチやサービスの提案など、マーケティング活動においては、必要不可欠ともいえる顧客データは取得方法ごとにいくつか種類があり、特にマーケティングの観点から重要視されているのが『ファーストパーティデータ』です。
ファーストパーティデータとは、自社で収集・保有している顧客データのことを指します。
マーケティング担当者であれば理解しておきたい、ファーストパーティデータの基礎について説明します。

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『ファーストパーティデータ』が重要な背景

顧客データには入手方法などにより、さまざまな種類があります。
自社で収集・保有しているデータが『ファーストパーティデータ』です。
一方、『セカンドパーティデータ』とは、他社が顧客の同意に基づき収集した顧客データのことです。
他社にとっての「ファーストパーティデータ」にあたり、一般的には企業間の合意に基づいて、取引先やパートナー企業から提供を受けるケースが多くみられます。
セカンドパーティデータは、収集や分析などは提供元の方法で行われるため、信頼性や正確性などはファーストパーティデータよりも劣る可能性があります。
また、データの所有権は提供元の企業が持ちます。

そして、完全な第三者が収集した顧客データのことを『サードパーティデータ』と呼びます。
たとえば、国や自治体が公表しているデータや、企業情報を収集する専門のリサーチ企業が提供するデータなどが、サードパーティデータに該当します。
サードパーティデータはセカンドパーティデータと同様に、収集や分析などは提供元の方法で行われます。
自社のみが利用できるファーストパーティデータと違い、サードパーティデータは多くの企業が市場調査やターゲティング広告などで同じデータを利用する可能性があります。

また、ウェブブラウザから取得されるデータのなかにも、サードパーティデータが含まれています。
サイトの利便性を高める目的で、サイトに訪問したユーザーの情報を一時的に保存しておく仕組みのことを「クッキー」といいます。
近年はプライバシー保護の観点から、ユーザーが訪問しているサイトとは異なるドメインから取得した、いわゆる「サードパーティクッキー」が規制の対象となり、クッキーの利用にあたり必ずユーザーに許可をとることになりました。

一方、自社のサイトで収集した「ファーストパーティクッキー」は、ユーザーの利便性向上が主な目的のため、規制の対象とはならず今後も継続して利用できます。

ファーストパーティデータ以外にも、セカンドパーティデータやサードパーティデータは、マーケティング活動において補助的に使われることも多いですが、メインの顧客データとして活用されているのは、やはりファーストパーティデータです。

ファーストパーティデータは自社で顧客や見込客から直接収集した顧客データのため、信頼性や正確性が高く、他社から提供を受けるよりもコストがかかりません。
また、自社でデータを収集・分析しているため、プライバシーの侵害やコンプライアンス違反といったリスクも避けることができます。
情報伝達のラグがなく、リアルタイムでデータを収集できるのも、ファーストパーティデータの大きな利点です。

オンラインとオフラインの両軸で収集が可能

サードパーティクッキーの規制によって、ますます重要性が高まるファーストパーティデータですが、どのように収集できるのでしょうか。
方法はいくつかあり、代表的なものとして、ウェブサイトやアプリ上でユーザーの行動を追跡する「Webトラッキング」での収集があげられます。
Webトラッキングは、ページビュー(PV)や訪問履歴、検索ワード、滞在時間といった顧客データを収集することが可能で、収集したデータは広告の効果測定やアクセス解析、ユーザーのターゲティングなどに活用することができます。
前段でも述べたように、自社のウェブサイトから発行される「ファーストパーティクッキー」は、サードパーティクッキーのように規制されていません。

また、顧客からの問い合わせやアンケートなども、ファーストパーティデータの重要な収集経路といえます。
問い合わせやアンケートの回答などによって、顧客が能動的に提供する顧客データは『ゼロパーティデータ』と呼ばれ、ファーストパーティデータのなかでも特に価値があるデータとされています。
ゼロパーティデータは顧客がみずからの意思で提供したデータのため、信頼性や正確性が非常に高く、また個人の嗜好や意思、行動の背景にある本音(ユーザーインサイト)など、よりパーソナルな情報も含まれています。

ほかにも、名刺交換や実店舗でのメンバーカードの発行、展示会やセミナーでのアンケート、電話や郵送による注文情報など、デジタルやオンラインではないオフラインの手法でもファーストパーティデータの収集が可能です。

適切なマーケティング施策を行うには、こうしたファーストパーティデータの収集が欠かせません。
データの管理や運用方法なども考えながら、収集を進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。