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今から知っておくべき、相続財産の調査方法と遺産の探し方

23.10.03
業種別【不動産業(相続)】
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親が突然亡くなったとき、親の財産がどこにいくらあるのかまったく分からなければ、相続の手続を進めることができません。
そのような場合に必ず行わなければならないのが、亡くなった方(被相続人)の相続財産の調査です。相続財産を確定できなければ、遺産分割や遺言の執行を進めることができないため、入念な調査が必要です。
相続が起きた際に慌てないよう、相続財産の調査方法と遺産の探し方について知っておきましょう。
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まずは相続財産の所在を調査する

相続は突然起こるものです。
それゆえ、被相続人が残した財産がいくらあるのか、どこにあるのかをすぐに把握するのは困難といえます。
何から調査すべきか、どのように探せばいいのかわからなければ、遺産分割を進めることもできず、相続トラブルも起こりかねません。
まずは現状を理解したうえで、相続財産を調査していくことが大切です。

被相続人が亡くなり、相続が開始したら、最初に被相続人の自宅や勤務先、貸金庫などを見て、被相続人の財産状況が分かる資料や手がかりがないかを確認します。
被相続人宛に届く郵便物や、可能であれば被相続人のメールなども確認して、調査の対象となる財産を特定していきます。
また、厳密には相続財産ではないものの、相続人がその地位に基づいて請求できる可能性もあります。
そのため、被相続人以外の第三者が受取人に指定された生命保険金、損害保険金や退職金、未支給年金などがないかも確認しておきましょう。

次に、金融機関や法務局などの関係機関に問い合わせる際に必要となる資料を収集します。
特に求められることが多い、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本は、被相続人の戸籍が複数の役所に存在することが多く、また、複数の関係機関に提出する必要があるため、時間も手間も費用も非常にかかり、煩雑になりがちです。
そのような場合は、法務局に法定相続情報一覧図の保管および交付の申請手続きを行い、法定相続情報一覧図を取得しておくと便利です。

主な財産の具体的な探し方

被相続人の自宅に、権利証や登記情報通知書、固定資産税納税通知書、課税明細書などの不動産に関する資料がないかを探します。
預金通帳から固定資産税などの引き落しがあれば、被相続人が不動産を有していることの手がかりになります。
また、不動産の賃貸借がなされている場合には、借地などに関する契約書、貸家に関する契約書があるかどうかも確認し、不動産の所有者や使用者に直接問い合わせてもよいでしょう。

なお不動産は、一定の評価額を下回る場合は固定資産税がかからないため、固定資産税納税通知書の記載がすべてとは限りません。
その場合は、固定資産税の課税・非課税を問わず、所有不動産を一覧にした『名寄帳』を取り寄せて確認する必要があります。
名寄帳は、不動産の所在する市区町村ごとに作成されており、その市区町村または都税事務所に請求をかけて取り寄せることが可能です。

続いて、預貯金です。
被相続人の持ち物に、金融機関の預金通帳やキャッシュカードがないかを確認します。
通帳やカードが見当たらなくても、被相続人宛の郵便物のなかに金融機関からの通知や取引報告書が届いていれば、これも手がかりになります。
また、最近はインターネット上で取引したり資産を管理していたりすることも多いので、可能であれば、被相続人のスマートフォンやパソコンにログインして、資産に関する情報がないかも確認しましょう。

さらに、通帳やキャッシュカードなどが見つからない場合でも、思い当たる金融機関に直接問い合わせれば、口座の有無について教えてくれることがあります。
具体的な金融機関に口座を保有していることが判明したら、被相続人が亡くなった時点、つまり相続開始時点での預金残高の証明書や定期預金証、利息計算書を開示してもらいましょう。
また、預金の取引履歴からほかの相続財産の存在が判明することもありますので、取引履歴も取り寄せることが大切です。

マイナスの財産についても調べよう

目に見えにくい財産として、上場株式・国債・投資信託などもあります。

まずは被相続人宛に届いた、証券会社や信託銀行、ゆうちょ銀行そのほかの金融機関の取引明細書や年間取引報告書、株主総会に関する連絡などの郵便物がないかを確認します。
もし、被相続人の株式などにかかる口座の開設先がまったく分からない場合は、株式会社証券保管振替機構に所定の書類を提出して、登録済加入者情報の開示請求を行うことができます。

そして、借金や債務といったマイナスの財産がないかを調べることも忘れてはなりません。
被相続人の自宅に、借用書や借入残高を示す書類、消費者金融などからの郵便物がないかを確認します。
通帳上に借入れや弁済の履歴がある場合もあります。
ローンや奨学金もマイナスの相続財産ですから、残高を調査する必要もあるでしょう。
税金や健康保険料などの未納がないかも確認のうえ、所定の機関に連絡する必要があります。
借入先などがまったく分からない場合には、全国銀行個人信用情報センター、日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)などの信用情報登録機関に所定の書類を提出して手続きをすれば、借入先が判明することもあります。

被相続人の財産を調査した結果、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合、相続人は相続放棄をすることも検討しなければなりません。
相続放棄は、相続が開始したことを知ってから3カ月以内に、家庭裁判所に申述して行います。
しかし、相続財産の全容がわからなければ、財産を承継すべきか、相続放棄をすべきかの判断がつきません。
そのため、調査に3カ月以上の時間がかかるなど、調査や判断に時間を要することが見込まれる場合には、家庭裁判所に相続放棄申述期間の延長手続を行うことをおすすめします。

相続が開始してから慌てることのないよう、被相続人が存命のうちに相続財産について話し合っておきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年10月現在の法令・情報等に基づいています。