経理アウトソーシングの罠
今、アウトソーシング(外部委託)って流行っていますよね。例えば、見込み顧客の開拓(テレアポなど)、営業企画に関する事務作業(電話対応、商品カタログや提案資料などの作成など)コールセンターやカスタマーサポートサービスの運営、工場での商品製造(OEM)、商品の在庫管理や梱包、発送、店舗や事務所の運営(店員の派遣、ショップ経営、清掃など)、社内のネットワーク環境の構築やシステムの設定、運用、保守などがありますよね。我々の業界でいえば、経理代行、記帳代行だったり労務管理、給与代行だったりします。
本当になんでもかんでも外部に任せていいのでしょうか?
今回は、経理のアウトソーシングについてお話します。
目次
1.経理はアウトソーシングすべきか?
2.タイムリーな経営数字を出すとは?
3.経営数字って何か?
4.自社で経理体制構築する大切さと手順
5.アフターコロナに向けて
本当になんでもかんでも外部に任せていいのでしょうか?
今回は、経理のアウトソーシングについてお話します。
目次
1.経理はアウトソーシングすべきか?
2.タイムリーな経営数字を出すとは?
3.経営数字って何か?
4.自社で経理体制構築する大切さと手順
5.アフターコロナに向けて
1.経理はアウトソーシングすべきか?
こういう事務に関しては、どのサイトをみてもアウトソーシングすべきと書いてありますよね。間接部門はできる限り軽くすべきであり、こういう手間のかかる分からない仕事は、その道の専門家に任せたほうが安心だ。そういう考えも理解はできますよね。記帳代行や経理代行を専門にしている会社もたくさんあります。
では、今から私たちのスタンスについてお話しますね!はっきりいいますね!答えを先に言いますと、経営のことを真剣に考える社長であれば、経理のアウトソーシングはできる限りやめたほうがいいと思っております。経理機能は自社でしっかり固めるべきです。このことを自計化と呼びます。経営はどんぶりでいいという社長様は、どうぞアウトソーシングしてください。流行りですから。そんな業者は五万とありますから。では、そこまで私たちが強く言い切る理由は何かということです。それは、経営者は経営数字に強くなるためにタイムリーに経営数字を見るべきだからだと考えているからです。そして、数字をタイムリーに把握するためには、自計化が最も効果的だからです。
では今から、①タイムリーに経営数字を出すとは?②経営数字とは?③自分で経理することの重要性について説明していきたいと思います。
2.タイムリーな経営数字を出すとは?
タイムリーとはどれくらいのことをいうのでしょうか?まずは、最低限毎月1回は必ず経営数字が出せるようにしたいですね。できれば毎月15日までに出せればなおよしです!真剣に経営のことを考えている企業ほど、このタイムリーさにシビアさが増してきます。例えば、飲食業等であれば、ITを駆使して簡易損益計算書(売上・材料費・直接人件費・粗利)を毎日出力できるようにしているところもあります。気になったらすぐに出せる。すぐに調べられるような状態にしておくことが大事です。つまり、早いチェックが利益を捻出し、企業を筋肉質にしていきます。はっきり言いますね。数字のチェックをするだけで利益がでます。えっ?数字のチェックが早いだけでなんで利益がでるんですか?利益を生み出すのは、売上を作るための戦略だったり営業力じゃないんですか?という質問がきそうですね。それは間違いではないのですが、正直タイムリーに数字をチェックするだけで、利益って出てしまうのです。なぜか?例えば、ダイエットを思い出してください。がんばってダイエットしたら、当然体重が本当に落ちているかどうか体重計でチェックしますよね。そして毎日チェックしますよね。でも、どうでもよくなってくると、人は体重計に乗らなくなります。1週間とかチェックしないでおくと、たまにあり得ないほど体重が増えていることがありますよね。だんだん怖くなってもう体重計に乗るのはやめようってなるのです。半年くらい乗らなかったりするとどうでしょうか?もう地獄ですよね。リバウンドどころか、ダイエット前より増えていたりします。結論から言いますね。毎日体重計に乗るだけで体重は減るのです。いや、減らなかったとしても維持することはできるのです。なぜでしょうか?簡単なメカニズムを説明すれば、すぐに気づいて、その日の行動を改められるからです。そうなんです。チェックし、反省し、次の行動に生かす!つまりPDCAが早ければ早いほど結果として物事はうまくいくに決まっているのです。これは、経営も全く同じです。タイムリーに経営数字をチェックすれば、利益は必ず捻出できるようになります。にもかかわらず、経理に関しては、完全に丸投げにしている中小企業が実に多いです。するとどうなるか?いわゆる試算表が出てくるのは、3か月に1回、ひどいところだと年に1回とかいう場合もあります。タイムリーにチェックすることがまったくできない。こうなると、経営も出たとこ勝負になります。決算を迎えないと正確な着地もわからない。まさに綱渡り経営。1年間もあれば、いろんな変化があるでしょうに、数字をもとにした軌道修正を全くすることなく経営をしたことと同じになります。これで経営がよくなるはずがありませんよね。まずは、少なくとも月次で経営数字を確認できる体制作りをしていきたいところです。3.経営数字って何か?
次に経営数字です。経営数字って何でしょうか?まずは、当然、試算表における貸借対照表や損益計算書となりますよね。まずは最低限、月次で試算表をチェックするようにしてください。次にどのような数字があるでしょうか?経営を真剣に考えれば考えるほど、どの部門がどれだけ儲かっているのだろうか?各人がどれだけの利益をあげたのだろうか?得意先別損益はどうなっているのだろうか?工事別に儲けがでているのだろうか?ということが当然気になってきます。つまり、部門別採算管理です。では、それが分かるためには何を作成したらよいのでしょうか?答えは簡単です。部門別損益計算書です。例えば、私たちは、事業再生案件に携わらせていただくことがあるのですが、その場合には、真っ先にこの部門別損益計算書を作っていきます。部門別採算が分からないことが原因で赤字になっていることが非常に多いからです。正直、よくこんなんでやってこれたなと冷や冷やすることがあります。つまり、部門別損益計算書を作ることで、経営がどれだけ危なかったかが丸裸になるのです。ちなみに、企業を短期的に利益体質にする施策は、イノベーションではありません。売上を上げるには少なくとも3年かかりますし、そのために投資コストもかかります。利益を上げるのに最もスピーディーで効果的なのは不採算部門とお別れをすることです。不採算部門の切り離すとどうなるでしょうか?たちまち利益体質に生まれ変わります。1か月ぐらいで損益計算書が変わってきます。だからこそ、待ったなしの事業再生案件には、急務のタスクになるのです。
また、儲けを生み出す源泉を経営数字で表すのに適したもう一つのツールに変動損益計算書というものがあります。皆さんが毎年一度財務数字として作成するものとして、いわゆる決算書というものがありますよね。これは、過去会計であり目的は税務署に提出するためのものになります。これに対して、変動損益計算書は、未来会計になります。目的は経営に生かすことであり、どこに手を打てば儲けが出るかが明らかとなります。変動損益計算書では、損益計算書における経費が、変動費と固定費とに分けられ、それにより目標経常利益を生み出すためには一体いくらの限界利益(粗利)を生み出すべきでいくらの売上を上げるべきかが一目でわかるようになります。
まだあります。経営数字には、目標数字というものもありますよね。すなわち、予算数字のことです。この数字が生きた数字になるためには経営者自らの意思でこの数字にコミットし、さらに社員全員でコミットする必要になります。そして目標を管理し達成に導くには、タイムリーに予算と実績を比較し、素早く課題抽出と解決を繰り返していく必要があります。実は、予算必達にコミットすると、前期と実績の比較が気にならなくなります。試算表をいつも過去とだけ比較している中小企業が多いのですが、これは単なる分析に過ぎないので、本当の課題は見つかりません。毎月前期比較分析してもいつも同じ結果となり、正直だんだん飽きてきます。予算実績比較こそ、経営の本質なのです。もし、数字の予算管理を本気で考えている中小企業の社長様は、是非SS総合会計の先行経営サービスを受けていただきたいと思っております。
4.自社で経理体制構築する大切さと手順
さて、ここまで、数字をタイムリーに出すことの大切さと経営数字の意味をお話してきましたが、いかがだったしょうか?さて、これだけのことがアウトソーシングでできるのかという話です。実際は、ほぼ不可能です。「予算策定を行い、部門別変動損益計算書を作れる体制を整え、毎月タイムリーに正確な実績値を出せるようにした上で、毎月チェックできる体制にしていく。時には、不明な数字がある場合にはすぐに調査して報告できる体制を整えておく」これらは、アウトソーシングでできる代物では到底ないのです。もし、規模が小さくそれがたとえできたとしても、数字が経営者の血肉になっていきません。ですから事業が成長していくとだんだん経営者はわかってくるのです「こんなんではダメだ」と。
はっきり言いますと、経理の体制がきちんと整っていないと、タイムリーな経営数字を作り上げることなんて到底不可能なのです。クラウド会計とか経理の自動化というトレンドがありますよね。大概の経営者は、経営数字がでない理由をみなツールのせいだと勘違いしています。うちはペーパレスでないために非効率だから遅いのだとか、クラウドにすれば、全自動にすれば、一瞬で解決するのではないかとか。しかしながら、プロの目から見ると機能不全の原因はあまりツールの選択ミスによらないことが多いです。つまり、トレンドとリアルは違うのです。ペーパレスでなくても、経理がしっかりしている企業は、タイムリーに経営数字を出してきます。私たちは、現場であらゆる会計システムや販売管理システムを駆使して経理体制改善コンサルティングを行っていますが、経理機能不全の根本理由は、2つあると思っております。一つは、経理体制の仕組みやルールが整っていないことにあります。もう一つは、領収書、売上請求書や日報等の営業数字を現場の社員がきちんとタイムリーに正確な数字を上げてこないといった現場と経理の連携の悪さにあります。つまり、数字への意識が低いためにコミュニケーション不足が発生し、経理の機能不全が起こるのです。ほぼほぼこの2つが原因となって、タイムリーな経営数字把握ができない状態となっているのです。
では、どのようにして経理体制を整えていくのでしょうか?まずは、ビジネスそのもののフローを聞いていきます。そしてどこで数値管理をしていく必要があるかを見える化していきます。そして、どのような経理体制を構築していくべきで、どのようなルールにするかを決めていきます。さらにそこに必要な人員配置を行います。最後にそれにあったクラウド管理を含めた会計システムやときには販売管理システム、原価管理システムの導入指導をしていくという流れになっていくのです。それなりに時間はかかりますが、最終的には自立して経理ができる状態までもっていきます。構築しきった後に、社長は初めて気づくのです、今まで、いかに数字にだらしなくどんぶり経営であったか、いかに経理機能を正常化させることが大切であるかを、そして、社長自身が本業に集中できることがいかに幸せであることかを。
よくどれくらいの規模になったら経理機能を自社で置いたほうがいいですか?と聞かれることがあります。自分は、本当は社長一人でやっているときから自計化したほうが申し上げます。財務は経営における血液ですから、社長が一つ一つ把握したほうがいいに決まっているからです。数字が血肉となるのです。また、社員が5人以上いる、もしくはこれから事業をどんどん成長させていきたいというビジョンを持っている中小企業の経営者は、かなり早い段階で経理をしっかりと機能させることをお勧めします。経理がしっかりしないまま売上だけをどんどん伸ばし、組織が大きくした結果、損失がどんどん膨らんでしまった中小企業はたくさんありますから。サッカーでいうと、5得点6失点といった形です。あとは、経理の人間は、経験者で正社員でないとダメですよね?という質問もあります。答えはNOです。経験者でなくても素直な方であれば、仕事をどんどん覚えますし、正社員でなくてもパートスタッフで十分に機能します。
5.アフターコロナに向けて
今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、金融機関は、緊急特別貸付をたくさんの中小企業に行い、一時はパンク寸前の状態であると聞いておりました。緊急事態であり金融庁からの命令もありますから、金融機関が融資を断るということはほぼありません。ですから、中小企業も有事は借りられるだけ借りて、据置期間はできるだけ長く、返済期間も目一杯長くするのが正解ですので、資金対策は、今のうちにきっちりやっておかないといけません。問題は、アフターコロナです。さあここからです。どうやって返すのか?ここに何の施策もない企業はたちまち淘汰されていきます。まずタイムリーに経営数字が出ないところは困りますよね。少なくとも毎月試算表がでないようなところは、金融機関から信用されなくなります。間違いなくされなくなります。正確な会計データが信用の証ですから。まずはきちんとタイムリーな経営数字を出すべく経理体制を整えることから始めていきましょう。私たちSS経営コンサルティンググループでは、中小企業の経理体制改善をコンサルすべく、一丸となってバックアップしていきます。本気で経営を考えている中小企業の社長様は、是非当社までご連絡いただきたいと思います。一緒に経営をよくしていきましょう!