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【代表 鈴木宏典のコラム】経営とは何か?〈後編〉

20.06.12
【代表コラム】
『経営とは何か?』の前編では、
・ほとんどの中小企業の社長は、日々目の前の仕事をこなす「もぐらたたき経営」をしている
・自社の経営全体を把握できず、経営課題が見えないから恐怖をもっている
・そのためには「見える化」が必要

以上
見える化するためにできる3つのこと

をお伝えしました。

本日はその後編です。


経営とは相反する2つの事象を同時並行的に統合する作業

 

誰もが知っている経営の神様ピータードラッガーは「マネジメント 基本と原則」で経営について次のように述べています。

マネジメントの重要なファクターとして時間を挙げています。すなわち、「マネジメントとは、常に現在と未来、短期と長期をみていかなければならない」と。

 

確かに、経営には、長期的視点と短期的視点の両方を見ていかなければいけませんよね。例えば、利益に関して言えば、短期的利益だけを追えば、損得勘定の度が過ぎるようになり、理念経営ができなくなります。でも長期的利益だけ追って短期的利益をないがしろにすれば、たちまち目の前のキャッシュがなくなり、倒産してしまうでしょう。

 

また、ドラッカーは、マネジメントの役割として管理的活動と起業家的活動を上げています。

マネジメントは、管理する。と同時にマネジメントは起業家とならなければならない。成果の小さな分野、縮小しつつある分野から成果の大きな分野、しかも増大する分野に資源を向けなければならない。そのために昨日を捨て、すでに存在しているもの、知られているものを陳腐化しなければならない。明日を創造しなければならない。」と。

 

つまり、経営とは、顧客に対して独創的な商品サービスを開発し、ブラッシュアップすること、ないものを生み出すこと。すなわちアートフルである。と同時に、独創的な商品サービスを意図的に、そして効率的に販売していく仕組み=管理的機能が必要である、つまりサイエンスも必要であると言っているのです。経営とは、アートとサイエンスの融合であると言えますよね。

 

㈱日本能率強化コンサルティングでは、「経営とは何か」について、「社会における経営の在り方」と「企業内部における経営の在り方」という2つの側面があり、この2つの経営の在り方をバランスよく両立させる必要があると述べています。

 

最近ではCS(顧客満足)が先かES(従業員満足)が先かという議論がありますが、まさにこのことですよね。2つのバランスをとることは経営の課題と言えるでしょう。

 ㈱ファーストリテイリングの社外取締役である公認会計士の安本隆晴さんは、経営とは他人を通じて事(事業)をなすこと、したがって「人を動かす」ことが経営の本質である。と述べた上で、会社とは「感情のない、効率性で判断できる仕事の集合体」であると同時に「感情のある、効率性とは無縁の人の集合体」であり、この矛盾する2つの統合するのが経営者の役割であると言っています。とても深い見識ですね。

 

 これら見解をまとめると・・・

 

長期的利益と短期的利益
社会穂貢献と企業内部
創造性と合理性
現在と未来
人と仕事
ミクロとマクロ
制約と自由
決断と感謝

 

すなわち、経営とは、このような相反する2つの事象を同時並行的に統合する作業のことなのです。

こういった矛盾する難解で複雑な案件は、次々と経営者には降りかかってきます。

 例えば・・・
長期的に利益を出すために投資をしたいが、今利益が出ていないからお金がない・・・。
社員のモチベーションを上げるために長所を見つけて褒めて伸ばそうとするが、全然仕事ができないので、褒めようとしてもすぐにイライラしてしまう・・・。
従業員第一主義か、顧客第一主義か・・・。
明日の仕事を生み出すためにイノベーションを起こすべきか?今の仕事の生産効率を上げるべきか・・・。

 

実際に現場で中小企業のコンサルティングをしていると、こういった矛盾に社長はかなり苦しみます。そういう意味では、経営は実に複雑怪奇でアクロバティックなものなのです。だから社長は混乱して当たり前ですよね。

 

では、一体、この事象を何で統合すればよいのでしょうか?

 

それは、ズバリ経営理念です。経営理念という一つの目的に向かって、すべての事象を統合していくことが経営者に求められているのです。

 すなわち、私が思うに経営とは・・・

 「企業の目的(経営理念)のために、相反する事象(未来・現在・長期的利益・短期的利益・人・組織・創造性・仕組管理等)を同時変更的に統合しながら永続的に成長発展し続けること」であると言えます。

 

 ということは、経営者は、意図的に時間をとってこういった事象を把握し、熟考し、経営全体をデザインしていかなければならないのです。

 

経営全体をデザインするのに、最も優れたツールとは

 

さあ、ここで一番の確信に触れますね!
経営全体をデザインするのに、最も優れたツールはいったい何でしょうか?

それは・・・

経営計画書なんです!

 

 経営計画書を策定することは、経営者自身の頭にある漠然とした経営課題をすべて書き出し、整理し、見える化することなのです。すなわち、経営計画書策定の目的は、課題を明確にすることなのです。決して課題を解決することではないのです。会社の問題とは何かを明確にして、この厳しい経済環境の中で、会社全体を巻き込み戦う準備をすることなのです。そういう意味では、経営計画書は、決して経営を楽にする魔法のツールではないのです。経営計画書は、いわば目の前の課題に立ち向かう勇気と情熱に火をつける炎のブースターだと言えるのです!

 

 では、その経営計画書はどのように策定したらいいのでしょうか?

 

経営計画書策定の手順は次の通りになります。

①    経営理念を策定する。

②    現状を分析する

③    長期ビジョン(定性ビジョン・定量目標)を立てる

④    事業戦略(事業コンセプト)を立てる

⑤    機能戦略を立てる

⑥    マネジメントシステム(実行管理の仕組)を決める。

⑦    アクションプランを立てる

 

皆様は、経営理念をきちっと立てていますか?

皆様は、自社を取り巻く環境をきちっと分析できていますか?

皆様は、ビジョンがありますか?

皆様は、顧客を惹きつける強烈なビジネスモデルがありますか?

皆様は、組織をデザインしてますか?

皆様は、経営課題をアクションプランに落とし込んでますか?

皆様は、上記を実行管理(PDCA管理)してますか?

 

そして、皆様は、経営計画書をもって混乱しそうな現状を意図的に統合できていますか?

 

これができている中小企業の経営者はいったい何人いるでしょうか?

自分の肌感覚ではほとんどできていないと思います。

いや、こんなことを一人で策定するのは無理なんです。

 

でも大丈夫です。安心してください。だからこそ、我々が存在しているのです。

経営計画書を一緒に描き切るとどうなるか?

社長は自然と笑顔になります。ものすごいスッキリしたいい笑顔になるのです。

そしてやる気がみなぎってきます。

面白いほどすべての経営者が同じパターンになります。

 

私達SS総合会計の使命は、漠然とした不安を抱えた経営者を救うことなのです。

 

そのためのサービスは・・・

まずは、経営全体を学ぶことができる「経営輝塾」があります。10名限定でワーク形式になっているため、受講生同士悩みを共有することで絆がものすごく深まります。すでに16期生が学んでおり、人気の講座になっております。

 

そして、個別に経営計画書を一緒に描き切る「将軍の日」というプログラムがあります。これは、我々メンバーがマンツーマンで社長の横について、1日かけて、経営計画書を一緒に策定していきます。

 

若手経営者や後継者といった次世代経営者の方は是非受講して、経営の不安を取り除き、利益を出していきましょう。

 

 SS総合会計 代表 鈴木宏典


次回は『なぜ今経営理念なのか?』についてお知らせします。