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クラウドファンディングで加速する“みんなで支える医療”

19.04.23
業種別【医業】
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国や自治体の補助金によって運営を支えられている病院などでは、最新の医療機器や設備への投資費用が十分にないために、最善の治療が患者に行き届かないという問題を抱えています。そこで近年では、“クラウドファンディング”が医療現場で活用されるケースが出てきました。
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クラウドファンディングとは? 

クラウドファンディングとは、『群衆(Crowd)』と『資金調達(Funding)』という言葉を組み合わせた造語で、目的を持ってお金を必要としている人に対し、共感した人がインターネットを通じて出資し支援をする仕組みのことです。 

クラウドファンディングは、大きく4種に分類されます。 

寄付型・・・全額寄付として受け取り、リターンなし 
投資型・・・利益が出たら配当としてリターンを渡す 
融資型・・・利子として一定のリターンを渡す 
購入型・・・お返しとして物品やサービスを渡す 

個人や企業が直接病院へ寄付する方法はかねてからありますが、クラウドファンディングであれば、インターネットで手軽に寄付ができるため、世界中の多くの人からの支援が期待できます。 
また、支援団体に寄付するケースでは、どこの病院や被災地で、どのように役立てられているかまではわかりません。
医療現場で「患者のために、これを買いたい」と具体的に支援を呼びかけるクラウドファンディングのほうが、寄付する側もより現実味があるといえます。 

 
クラウドファンディング、二つの成功事例 

国は2012年から小児がん治療を中心にした小児がん拠点病院等の整備を進め、全国で15カ所が指定されています。
小児専門の病院は多くの人手が必要となるため、経費が一般の病院よりもかさみ、公的な財政支援だけで運営していくのは厳しいといわれています。 
そんななか、2017年9月に、大阪府和泉市の大阪府立病院機構 大阪母子医療センターが、重篤な新生児搬送に必要な保育器の購入に向けて、300万円を目標にクラウドファンディングを実施。
老朽化が進む保育器を最新のものに買い替え、命の危険がある新生児に最善の治療を施せるようにと出資を呼びかけました。 
目標額であった300万円はスタートから3日で到達。
終了時の総額は1,000万円を超えて、2018年3月に保育器4台が納品されました。 

また、東京都世田谷区の国立成育医療研究センターは、小児がんの治療に必要とされる無菌室の増設資金にクラウドファンディングを活用しました。 
無菌室とは、小児がんをはじめ、さまざまな難病で免疫力が低下した状態にある闘病中の子どもたちを感染症から守るために、常にきれいな空気を循環させる特殊な空調設備が備わった病室のことです。
当時、同センターでは無菌室のベッド2床に対して、30人の子どもが無菌室を必要としていました。 
結果的に、目標額は1,500万円でしたが、2倍を超える資金が集まり、新しい無菌室2部屋をつくることができました。 

これらの事例では、目標額を達成後、新たに購入した保育器の納品や稼働の様子、無菌室増設の工事着工の様子などが報告されています。 


もし、目標額に達しなかったら?  

“何のために(目的)、いくら必要なのか(目標額)”を伝えたうえで支援を募るわけですから、期間内に目標額を達成しなければ、その目的を実行に移すことはむずかしいでしょう。 
クラウドファンディングが必ずしも成功するとは限りませんし、なかには批判を受けるようなこともあるかもしれません。
インターネットを活用することは、広く支援を呼びかけられるメリットがある一方で、マイナスのイメージがついてしまうとなかなか手に負えないというデメリットもあります。 
目標額に達成した場合には、目的が実行されるまでの経過や報告をして、支援者に誠意を見せていくことが重要です。 
目標額を達成しなかった場合には、支援者に返金されるタイプのクラウドファンディングであれば、感謝の気持ちだけはきちんと伝えなくてはいけません。 
目標額に満たなくても資金調達されるタイプのクラウドファンディングであれば、“患者さんたちのためになるなら”という思いで寄付してもらったことになります。
不足している金額を病院側で工面するなどして目的を果たしたり、それがどうしてもむずかしい場合には、患者のために役立てられる別の方法を考えたりする必要があるでしょう。 

クラウドファンディングは、今後、医療水準向上のための効果的な手法になると期待が高まっています。 
患者のために、支援者の力を借りて新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。