藤垣会計事務所

人手不足も解消!? セルフサービスを導入する方法

23.10.31
業種別【飲食業】
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コロナ禍では人と接触することのないセルフサービスの需要が高まり、特に飲食業ではさまざまな形で導入が加速しました。
配膳や食器の返却、タブレット端末を使用したオーダーシステムなど、セルフサービスがコロナ禍を経て当たり前になりつつあります。
人手不足の解消や人件費の削減にもつながるセルフサービスですが、導入の際には客層や店内の動線、ランニングコストなどを考慮しなければいけません。
メリットとデメリットを交えながら、セルフサービスのあり方について考えていきます。
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人手不足の解消とスタッフの負担を減らす

コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食業は、離職率の高さも相まって、慢性的な人手不足が起きており、今後もその傾向は続くといわれています。
必要な人員を確保できない飲食店は、限られたスタッフで営業しなければなりません。
深刻な人手不足のなかで、お客の満足度を下げずに適切なオペレーションを行うには、セルフサービスを導入するのも方法の一つです。
商業施設のフードコートや一部のチェーン店などでは、ほとんどのオペレーションをセルフ化しているところもあり、少ない人員での接客を実現しています。

すべてとはいかなくても、一部をセルフサービスにしている飲食店も多く、お客自身に注文や配膳などを担ってもらうことで、スタッフの負担を減らしています。
スタッフの負担軽減は離職防止にもなり、結果として人手不足解消の一助になるでしょう。

また、お客が注文や配膳を行うということは、注文ミスや配膳ミスを減らすことにもつながります。
たとえば、ラーメン店や牛丼チェーンなどでおなじみの食券機は注文をお客に任せるセルフサービスの一種です。
お客自身が食券機でメニューを選んで食券を買うため、店側が注文を間違える確率はおのずと減ることになります。

こうしたセルフサービスの導入によって、これまで起きていたミスやスタッフの負担が減少します。
また、オペレーションに必要だった分の人件費を削減できます。
業務の効率化を図り、人件費を削減することによって、その分の時間や費用をお客へのサービスに注力できます。
セルフサービスの導入は、結果として顧客満足度を高めることにもつながるでしょう。

ただし、なんでも導入すればよいというものではありません。自店に合わせたセルフサービスを導入しないと、期待した効果が得られない可能性もあります。

自店に合わせたセルフサービスの導入がカギ

セルフサービスを導入するのであれば、最初に自店の課題を洗い出す必要があります。
注文を取るスタッフの人数が足りないのか、配膳に時間がかかっているのか、会計がもたついてしまうのか、課題によって導入するべきセルフサービスは異なります。

たとえば、注文を取るオペレーションに問題があれば、タブレット端末やお客自身のスマートフォンを使用したセルフオーダーシステムを導入する方法があります。
ある飲食店では、セルフオーダーシステムを導入することで、お客の注文を聞き、伝票に記入し、オーダーの内容を厨房に伝えるという一連の工程をなくしました。
コロナ禍では非接触で注文できるセルフオーダーシステムが普及し、多くの店で導入が進んでいます。

タブレット端末やスマートフォンを使用したセルフオーダー式はメニュー画面を簡単に差し替えたり、多言語化できたりといった、店側のニーズに合わせたカスタムが可能です。
ただし、自由度が高いというメリットがある一方で、デジタル機器が苦手なお客が来店しづらくなってしまったり、ネットワークトラブルで端末が使えなくなってしまったりといったデメリットもあります。
新たにセルフオーダーシステムを導入するのであれば、従来の注文方式と併用するなど、トラブル対策を講じておきましょう。

また、配膳や食器返却、水などのセルフ化も、店内の動線が確保されていないと、お客が行き来しづらくなってしまいます。
キッチン前・食器返却口や給水器前に十分なスペースを確保できないようであれば、セルフオーダー式システムの導入のみに絞るのも選択肢の一つです。

セルフサービスで店をうまく回している飲食店の多くは、開業時からセルフサービスを組み込むことを前提に店作りを行っています。
もし、新たにセルフサービスを導入する場合は、動線を確保するための改装などを行う必要があるかもしれません。
イニシャルコスト(初期費用)やランニングコスト(維持費用)などを考慮しながら、どのようなセルフサービスが自店に適しているのか、本当に導入する必要があるのか、よく検討したうえで導入することが重要です。


※本記事の記載内容は、2023年11月現在の法令・情報等に基づいています。