不動産が含まれていた場合の遺産相続で揉めないために
故人(被相続人)が不動産を所有していたとき、その不動産の市場価値が高いか低いかによって、相続人として取るべき対応が大きく変わります。
今回は、不動産の市場価値が高かった場合と低かった場合、それぞれのケースにおいて、遺産分割協議で揉めないために相続人が取るべき適切な対応と注意点について解説します。
今回は、不動産の市場価値が高かった場合と低かった場合、それぞれのケースにおいて、遺産分割協議で揉めないために相続人が取るべき適切な対応と注意点について解説します。
遺産分割で不動産を売却するときの注意点
被相続人が所有していた不動産の市場価値が高かった場合、遺産分割協議の結果、同不動産を売却するケースが多くなるでしょう。
その理由の一つとして、市場価値が高いと同不動産の評価額が上がってしまい、同不動産を取得する際に、市場価値に相応しい代償金をほかの相続人に支払う必要があるからです。
そのため、代償金の支払いができず、同不動産の取得を断念する場合が多く見られます。
また、評価額によって有利になる人、不利になる人が出てくるため、相続人の間で利害が一致せず、紛争性が高まってしまう可能性もあります。
一方、相続人全員で同不動産を第三者に売却する場合には、相続人全員の利害は一致するのが一般的です。
売却益の分配方法で揉める可能性はありますが、より高値で売却したいという点では、全員で同じ方向を向くことができるからです。
ただし、全員の利害が一致するとはいえ、全員で不満のない売却方法を選択するよう調整しなければなりません。
売却益の分配方法で揉めてしまった場合、散々揉めた後に、全員で同じ方向を向くのは感情的にむずかしい場合があるので、要注意です。
こうしたトラブルを防ぐためにも、不動産を売る前に、売却条件について相続人全員で十分な合意を取っておくことが大切です。
具体的な検討事項は、売り出す時期や依頼する業者、多少安くなっても契約不適合責任を負わない形で売るのか否か、買い手を募集する期間などについてです。
これらの売却条件も含めて、遺産分割協議を成立させておきましょう。
いざ売り出そうとしたときに揉めてしまっては、遺産分割協議が成立していても、売却を完了まで進めることがむずかしくなってしまいます。
不動産を共有するか、誰かに所有させるか
遺産の不動産の市場価値が低く、誰にも買ってもらえないような場合には、どうすべきでしょうか。
第三者への売却がむずかしい場合、往々にして相続人の間で同不動産の押しつけ合いが生じるものです。
というのも、不動産を所有していると、毎年の固定資産税の納付に加え、諸業務も発生するためです。
そうした煩わしさを避けるために、多くの人は価値の低い不動産を取得したくないと考えます。
誰も取得を希望せず、協議が整わない場合には、相続人全員で不動産を共有することが考えられます。
この場合、同不動産の固定資産税は、全員で連帯して義務を負う形にはなるものの、自分の持ち分となった税金のみを納付すればよいことになります。
ただ、実際には「誰がまとめて払い、立て替えた分をどのように処理するのか」などの事務的な処理で揉める場合もあります。
そうした不都合や次の代への相続について考えると、相続人全員で共有することはあまり得策とはいえません。
おすすめの方法としては、不動産を誰か一人が取得し、同不動産の固定資産税の納付や管理を続けることと引き換えに、そのほかの遺産を少し多めに取得するといった形です。
もし交渉が決裂してしまえば、原則に立ち返って相続人全員での共有ということになってしまいますが、共有することは誰にとってもメリットがないことは明らかです。
可能な限り、共有状態は避ける方向で、遺産分割協議を進めていきましょう。
不動産が遺産に含まれる場合の相続は、遺産分割協議自体も検討すべき事項が多くあるうえ、その後も煩雑な手続きが多数発生します。
今回解説したように、不動産の市場価値によって注意すべき点や発生しやすいトラブルが異なります。
遺産分割協議についてスムーズに協議を進め、全員が納得できるよう、専門家に早めに相談するなどして、協力を仰いではいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。
被相続人が所有していた不動産の市場価値が高かった場合、遺産分割協議の結果、同不動産を売却するケースが多くなるでしょう。
その理由の一つとして、市場価値が高いと同不動産の評価額が上がってしまい、同不動産を取得する際に、市場価値に相応しい代償金をほかの相続人に支払う必要があるからです。
そのため、代償金の支払いができず、同不動産の取得を断念する場合が多く見られます。
また、評価額によって有利になる人、不利になる人が出てくるため、相続人の間で利害が一致せず、紛争性が高まってしまう可能性もあります。
一方、相続人全員で同不動産を第三者に売却する場合には、相続人全員の利害は一致するのが一般的です。
売却益の分配方法で揉める可能性はありますが、より高値で売却したいという点では、全員で同じ方向を向くことができるからです。
ただし、全員の利害が一致するとはいえ、全員で不満のない売却方法を選択するよう調整しなければなりません。
売却益の分配方法で揉めてしまった場合、散々揉めた後に、全員で同じ方向を向くのは感情的にむずかしい場合があるので、要注意です。
こうしたトラブルを防ぐためにも、不動産を売る前に、売却条件について相続人全員で十分な合意を取っておくことが大切です。
具体的な検討事項は、売り出す時期や依頼する業者、多少安くなっても契約不適合責任を負わない形で売るのか否か、買い手を募集する期間などについてです。
これらの売却条件も含めて、遺産分割協議を成立させておきましょう。
いざ売り出そうとしたときに揉めてしまっては、遺産分割協議が成立していても、売却を完了まで進めることがむずかしくなってしまいます。
不動産を共有するか、誰かに所有させるか
遺産の不動産の市場価値が低く、誰にも買ってもらえないような場合には、どうすべきでしょうか。
第三者への売却がむずかしい場合、往々にして相続人の間で同不動産の押しつけ合いが生じるものです。
というのも、不動産を所有していると、毎年の固定資産税の納付に加え、諸業務も発生するためです。
そうした煩わしさを避けるために、多くの人は価値の低い不動産を取得したくないと考えます。
誰も取得を希望せず、協議が整わない場合には、相続人全員で不動産を共有することが考えられます。
この場合、同不動産の固定資産税は、全員で連帯して義務を負う形にはなるものの、自分の持ち分となった税金のみを納付すればよいことになります。
ただ、実際には「誰がまとめて払い、立て替えた分をどのように処理するのか」などの事務的な処理で揉める場合もあります。
そうした不都合や次の代への相続について考えると、相続人全員で共有することはあまり得策とはいえません。
おすすめの方法としては、不動産を誰か一人が取得し、同不動産の固定資産税の納付や管理を続けることと引き換えに、そのほかの遺産を少し多めに取得するといった形です。
もし交渉が決裂してしまえば、原則に立ち返って相続人全員での共有ということになってしまいますが、共有することは誰にとってもメリットがないことは明らかです。
可能な限り、共有状態は避ける方向で、遺産分割協議を進めていきましょう。
不動産が遺産に含まれる場合の相続は、遺産分割協議自体も検討すべき事項が多くあるうえ、その後も煩雑な手続きが多数発生します。
今回解説したように、不動産の市場価値によって注意すべき点や発生しやすいトラブルが異なります。
遺産分割協議についてスムーズに協議を進め、全員が納得できるよう、専門家に早めに相談するなどして、協力を仰いではいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。