患者に『代替医療』の利用を確認しておくことの重要性
実験や臨床研究と、そのデータの統計学的分析評価によって発展した現代西洋医学は、世界の医療の本流となっています。
現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称として代替医学・医療と呼ばれるものがあります。
がん治療の現場などでは、患者から代替医療の利用を相談されるケースも増えているようです。
近年では、治療方法についてさまざまな情報が得られるようになっているため、医師は代替医療について積極的に確認しておく必要があるでしょう。
今回は、関心の高い代替医療にどのように対応すればよいのか、考えていきます。
現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称として代替医学・医療と呼ばれるものがあります。
がん治療の現場などでは、患者から代替医療の利用を相談されるケースも増えているようです。
近年では、治療方法についてさまざまな情報が得られるようになっているため、医師は代替医療について積極的に確認しておく必要があるでしょう。
今回は、関心の高い代替医療にどのように対応すればよいのか、考えていきます。
多くのがん患者が補完代替医療に興味を持つ
代替医療はさまざまな種類があり、すべてを把握することは難しいといわれています。
ドイツで生まれた「似たものが似たものを治す」という原則に基づくホメオパシーや、体の中にある『気』を重視する中国伝統医学、マインドフルネスやカイロプラクティック、ハーブなど、独自の発展を遂げている代替医療も少なくありません。
健康促進やリラクゼーションを目的とした健康食品や漢方薬、アロマセラピーや湯治なども、代替医療に分類されます。
代替医療は、病院で行われる通常医療とは異なり、科学的な検証や臨床試験が行われていないことがほとんどです。
現代西洋医学に基づく治療は、安全で効果があると証明されたエビデンスが確かなものですが、代替医療における治療にはエビデンスが少なく、利用者の経験則によって発展してきました。
代替医療は、一般的な通常医療とはみなされません。
しかし、医療現場では通常医療とあわせて代替医療の利用を考えている患者も多く存在します。
代替医療は、西洋医学を補う補完医療とあわせて『補完代替医療』と呼ばれることもあります。
厚生労働省のがん研究助成金・研究班の報告では、がん患者3,100名のうち45%が1種類以上の補完代替医療を利用していることを明らかにしました。
また、補完代替医療の利用にあたって、平均して月に5万7,000円を出費していることもわかっています。
さらに、補完代替医療を利用していなくても、その利用を考えている人は多く、利用している人と興味を持っている人をあわせると、およそ80%以上のがん患者が補完代替医療への興味を持っていることがわかりました。
しかし、十分な情報を得ずに補完代替医療を利用している患者も多く、61%の患者が主治医に相談しないまま、補完代替医療を利用しています。
補完代替医療の確認をしておくことが大切
代替医療の大部分は健康保険が適用されず、種類によっては、何かしらの治療などに悪影響を与えることもあります。
医師としては、患者から補完代替医療の利用を相談された際はもちろん、相談されなくても補完代替医療の利用について確認しておくほうが賢明といえます。
これまでの患者の病歴や通院歴を確認するのと同様に、補完代替医療の利用を確認することで、患者の治療を適切に管理することができます。
まずは、サプリメントや健康食品などの利用があるか、病院で受けた治療のほかに利用しているものはあるかなどを尋ね、代替医療を利用していたり、利用を希望していたりするのであれば、なぜそう思うのかをヒアリングしておきましょう。
また、初診時のヒアリングのほか、問診票に記入してもらったり、看護師や薬剤師、栄養士などを介したコミュニケーションも有効な手段です。
患者の希望を聞き取ったうえで、補完代替医療の定義や信頼できる情報の入手方法や調べ方など、丁寧に説明しましょう。
治療に使用する医薬品との薬物相互作用や副作用などを起こす場合もあるため、情報を共有することが大切です。
代替医療のなかには費用が高額になるものもあり、効果に見合わないものもあります。
最終的には患者の判断に委ねられますが、主治医として患者の治療を適切にマネジメントすることも大切な役割であることを念頭に置いておきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年12月現在の法令・情報等に基づいています。
代替医療はさまざまな種類があり、すべてを把握することは難しいといわれています。
ドイツで生まれた「似たものが似たものを治す」という原則に基づくホメオパシーや、体の中にある『気』を重視する中国伝統医学、マインドフルネスやカイロプラクティック、ハーブなど、独自の発展を遂げている代替医療も少なくありません。
健康促進やリラクゼーションを目的とした健康食品や漢方薬、アロマセラピーや湯治なども、代替医療に分類されます。
代替医療は、病院で行われる通常医療とは異なり、科学的な検証や臨床試験が行われていないことがほとんどです。
現代西洋医学に基づく治療は、安全で効果があると証明されたエビデンスが確かなものですが、代替医療における治療にはエビデンスが少なく、利用者の経験則によって発展してきました。
代替医療は、一般的な通常医療とはみなされません。
しかし、医療現場では通常医療とあわせて代替医療の利用を考えている患者も多く存在します。
代替医療は、西洋医学を補う補完医療とあわせて『補完代替医療』と呼ばれることもあります。
厚生労働省のがん研究助成金・研究班の報告では、がん患者3,100名のうち45%が1種類以上の補完代替医療を利用していることを明らかにしました。
また、補完代替医療の利用にあたって、平均して月に5万7,000円を出費していることもわかっています。
さらに、補完代替医療を利用していなくても、その利用を考えている人は多く、利用している人と興味を持っている人をあわせると、およそ80%以上のがん患者が補完代替医療への興味を持っていることがわかりました。
しかし、十分な情報を得ずに補完代替医療を利用している患者も多く、61%の患者が主治医に相談しないまま、補完代替医療を利用しています。
補完代替医療の確認をしておくことが大切
代替医療の大部分は健康保険が適用されず、種類によっては、何かしらの治療などに悪影響を与えることもあります。
医師としては、患者から補完代替医療の利用を相談された際はもちろん、相談されなくても補完代替医療の利用について確認しておくほうが賢明といえます。
これまでの患者の病歴や通院歴を確認するのと同様に、補完代替医療の利用を確認することで、患者の治療を適切に管理することができます。
まずは、サプリメントや健康食品などの利用があるか、病院で受けた治療のほかに利用しているものはあるかなどを尋ね、代替医療を利用していたり、利用を希望していたりするのであれば、なぜそう思うのかをヒアリングしておきましょう。
また、初診時のヒアリングのほか、問診票に記入してもらったり、看護師や薬剤師、栄養士などを介したコミュニケーションも有効な手段です。
患者の希望を聞き取ったうえで、補完代替医療の定義や信頼できる情報の入手方法や調べ方など、丁寧に説明しましょう。
治療に使用する医薬品との薬物相互作用や副作用などを起こす場合もあるため、情報を共有することが大切です。
代替医療のなかには費用が高額になるものもあり、効果に見合わないものもあります。
最終的には患者の判断に委ねられますが、主治医として患者の治療を適切にマネジメントすることも大切な役割であることを念頭に置いておきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年12月現在の法令・情報等に基づいています。