デジタルマーケティングはどうなる? Cookie規制とその影響
Cookie(クッキー)とは、ユーザーがWebサイトなどを見た際に保存される情報のことで、Cookieを使えば、ECサイトの購入履歴を保存したり、ユーザーにあった広告を適切に表示したりすることができ、企業のデジタルマーケティングに役立ってきました。
このCookieを使った情報の取得を、規制する動き、いわゆる『Cookie規制』は、デジタルマーケティングに大きな影響を与えるといわれています。
そこで今回は、Cookie規制の背景や、デジタルマーケティングの未来などについて考察します。
このCookieを使った情報の取得を、規制する動き、いわゆる『Cookie規制』は、デジタルマーケティングに大きな影響を与えるといわれています。
そこで今回は、Cookie規制の背景や、デジタルマーケティングの未来などについて考察します。
サードパーティークッキーとは?
Webサイトを閲覧する際には、Webブラウザを使用します。
Webブラウザとは、Windowsの標準ブラウザであるMicrosoft Edgeのほか、Googleが提供するGoogle Chromeや、AppleのSafariなどのサイトを閲覧するソフトのことです。
ユーザーは自分の好みやOSに合ったブラウザを使用しています。
このブラウザでサイトを閲覧すると、水面下ではサイト側から識別情報のCookieが発行され、以降はこのCookieのやり取りによって、サイトを移ったり、再訪したりした際に、サイト側は同じブラウザからのアクセスかどうかを判断できるようになります。
たとえば、ECサイトで商品を買い物かごに入れた際、時間をあけて別のサイトから再訪したとしても、買い物かごが空になっていることはありません。
これは、Cookieでユーザーを識別しているためです。
Cookieでは、再訪者の判断のほかにも訪問回数やアクセス履歴などの情報を得ることができます。
デジタルマーケティングの世界では、このCookieから得た情報をベースに、個々のユーザーの興味を引きそうな広告を表示させるという施策が行われてきました。
趣味趣向や生活パターンは個人によって異なるため、ターゲットに合わせた広告を表示させることで購買行動につなげていくのです。
この広告展開のことを、『リスティング広告』や『リターゲティング広告』と呼びます。
しかし、ユーザーに適した広告を表示させるためには、1つのサイトのCookieから得られる情報では十分ではありません。
そこで、各サイトの広告を配信している広告ネットワークなどがCookieを発行し、複数のサイトを横断してユーザーのトラッキング(追跡)を行える『サードパーティークッキー』が誕生しました。
サードパーティークッキーであれば、複数のサイトからユーザーの情報を得ることができ、より高い精度での広告表示が可能になります。
訪問したサイトがまったく趣味とは無関係のサイトであるにも関わらず、自分の趣味に関する広告が表示された経験は、インターネット利用者であれば誰もがあるでしょう。
それは、サードパーティークッキーで収集した個人情報を元に、ユーザーに最適化された広告が選ばれていたからです。
ブラウザ側のCookie規制と法的な整備
しかし近年、個人情報保護の観点から、このサードパーティクッキーの機能が、問題視され、規制されることになりました。
閲覧しているサイトが発行するCookieは『ファーストパーティークッキー』と呼ばれ、閲覧している範囲内の情報しか取り扱いません。
しかし、サードパーティークッキーは複数のサイトにまたがってユーザーの訪問回数や閲覧履歴を把握できるため、情報を集約することで、ユーザーの住んでいる地域や行動範囲、年収や趣味趣向など、かなり細かい個人情報を集めることができるのです。
サードパーティークッキーを活用した個人情報の流出が増加したため、ブラウザを提供している各企業は、プライバシー保護の観点から、段階的にサードパーティークッキーの規制を進めています。
Googleもこのプライバシー保護の流れをくみ、Google Chromeでは、トラッキング用のサードパーティークッキーのサポートを2023年に打ち切る方針を示しています。
また、Appleが提供するSafariでもサードパーティークッキーを完全にブロックしています。
そして、法的な面でも整備が進んでいます。
2022年4月1日から施行された改正個人情報保護法では、Cookie単体では個人を識別できないものの、特定の個人に関連する情報であることから、Cookieを『個人関連情報』と定義しました。
自社のサイトで取得したCookieの利用に、ユーザーの同意は必要ありません。
ただし、Cookieを第三者に提供し、その第三者が他の情報と紐づけることでユーザーの識別が可能になる場合は、ユーザーの同意が必要になります。
ブラウザ側や法的な規制により、リスティング広告やリターゲティング広告で収益を得ていた企業は大きな影響を受けることになります。
もちろん、広告を出稿していた企業も、別の広告戦略を打ち出していく必要があるでしょう。
規制が進むCookieですが、プライバシーを保護しながら、ユーザーに合わせた広告を表示させる技術などの開発も進められています。
業界の動きを注視しながら、自社のマーケティング活動について考えていきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。
Webサイトを閲覧する際には、Webブラウザを使用します。
Webブラウザとは、Windowsの標準ブラウザであるMicrosoft Edgeのほか、Googleが提供するGoogle Chromeや、AppleのSafariなどのサイトを閲覧するソフトのことです。
ユーザーは自分の好みやOSに合ったブラウザを使用しています。
このブラウザでサイトを閲覧すると、水面下ではサイト側から識別情報のCookieが発行され、以降はこのCookieのやり取りによって、サイトを移ったり、再訪したりした際に、サイト側は同じブラウザからのアクセスかどうかを判断できるようになります。
たとえば、ECサイトで商品を買い物かごに入れた際、時間をあけて別のサイトから再訪したとしても、買い物かごが空になっていることはありません。
これは、Cookieでユーザーを識別しているためです。
Cookieでは、再訪者の判断のほかにも訪問回数やアクセス履歴などの情報を得ることができます。
デジタルマーケティングの世界では、このCookieから得た情報をベースに、個々のユーザーの興味を引きそうな広告を表示させるという施策が行われてきました。
趣味趣向や生活パターンは個人によって異なるため、ターゲットに合わせた広告を表示させることで購買行動につなげていくのです。
この広告展開のことを、『リスティング広告』や『リターゲティング広告』と呼びます。
しかし、ユーザーに適した広告を表示させるためには、1つのサイトのCookieから得られる情報では十分ではありません。
そこで、各サイトの広告を配信している広告ネットワークなどがCookieを発行し、複数のサイトを横断してユーザーのトラッキング(追跡)を行える『サードパーティークッキー』が誕生しました。
サードパーティークッキーであれば、複数のサイトからユーザーの情報を得ることができ、より高い精度での広告表示が可能になります。
訪問したサイトがまったく趣味とは無関係のサイトであるにも関わらず、自分の趣味に関する広告が表示された経験は、インターネット利用者であれば誰もがあるでしょう。
それは、サードパーティークッキーで収集した個人情報を元に、ユーザーに最適化された広告が選ばれていたからです。
ブラウザ側のCookie規制と法的な整備
しかし近年、個人情報保護の観点から、このサードパーティクッキーの機能が、問題視され、規制されることになりました。
閲覧しているサイトが発行するCookieは『ファーストパーティークッキー』と呼ばれ、閲覧している範囲内の情報しか取り扱いません。
しかし、サードパーティークッキーは複数のサイトにまたがってユーザーの訪問回数や閲覧履歴を把握できるため、情報を集約することで、ユーザーの住んでいる地域や行動範囲、年収や趣味趣向など、かなり細かい個人情報を集めることができるのです。
サードパーティークッキーを活用した個人情報の流出が増加したため、ブラウザを提供している各企業は、プライバシー保護の観点から、段階的にサードパーティークッキーの規制を進めています。
Googleもこのプライバシー保護の流れをくみ、Google Chromeでは、トラッキング用のサードパーティークッキーのサポートを2023年に打ち切る方針を示しています。
また、Appleが提供するSafariでもサードパーティークッキーを完全にブロックしています。
そして、法的な面でも整備が進んでいます。
2022年4月1日から施行された改正個人情報保護法では、Cookie単体では個人を識別できないものの、特定の個人に関連する情報であることから、Cookieを『個人関連情報』と定義しました。
自社のサイトで取得したCookieの利用に、ユーザーの同意は必要ありません。
ただし、Cookieを第三者に提供し、その第三者が他の情報と紐づけることでユーザーの識別が可能になる場合は、ユーザーの同意が必要になります。
ブラウザ側や法的な規制により、リスティング広告やリターゲティング広告で収益を得ていた企業は大きな影響を受けることになります。
もちろん、広告を出稿していた企業も、別の広告戦略を打ち出していく必要があるでしょう。
規制が進むCookieですが、プライバシーを保護しながら、ユーザーに合わせた広告を表示させる技術などの開発も進められています。
業界の動きを注視しながら、自社のマーケティング活動について考えていきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。