藤垣会計事務所

ヘアカラーの流行色はいつ、どう決まる? トレンドの掴み方

22.02.01
業種別【美容業】
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ヘアカラーは、人の印象や雰囲気を大きく左右する重要なポイントです。
世界的な流行色となるカラーも毎年異なり、日本では、日本人にもっとも多いナチュラルな黒髪から、表情や印象全体を明るく見せるブラウンなど、さまざまなカラーが流行しています。
流行に敏感なサロンを目指して、流行色の決まり方を知り、自店のメニューに活かしましょう。
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毎年の流行色は国際的な会議で決定する

ファッションやヘアメイク業界では、毎年必ずその年の“流行色=トレンドカラー”に注目が集まります。
そもそも流行色は、いつ、どこで、誰が決めているのでしょうか。

流行色は、国際的な組織である『インターカラー(国際流行色委員会)』が決めています。
2020年の時点での加盟国は、日本をはじめ、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、インドネシア、イタリア、韓国、スペイン、タイ、アメリカなど17カ国。
これら加盟各国が提案色を持ち寄って、『色彩動向調査』や『社会動向』などを基準に実シーズンの約2年前の6月に春夏、12月に秋冬の流行色を選定しています。
アパレル業界では、流行色を用いたデザインを構想し、ファッションショーなどで具現化させて全世界にPRしたのちに商品化し、店頭に並べます。
そのため、約2年前からの選定とはいえ、ビジネスの観点から見ると意外とタイトなスケジュールともいえるでしょう。

インターカラーによって決まった流行色は、インターカラーに加盟する各国の色彩情報団体が、世間の動向を踏まえてトレンドカラーを選定し、発信します。
日本では、各産業界の専門家で構成される『JAFCA(一般社団法人日本流行色協会)』という機関がそれを担っています。

たとえば、2021年には、インターカラーで『ゼロホワイト』『アルティメットグレイ』『イルミネイティング』の3色が流行色として絞られました。
その後、日本でゼロホワイトがトレンドカラーに設定され、ファッションや美容業界でも白を基調としたデザインやメニューが多く取り入れられました。
ゼロホワイトには、コロナ禍によりたくさんの痛手を負った世の中への想いとして、“希望を胸に、ゼロから考える”という意味合いが込められているそうです。

そして2021年12月上旬、JAFCAにより、2022年の色は『ジョリーコーラル』であると発表がありました。
系統色名はビビッド・イエロイッシュ・ピンクといい、華やかな蛍光色のオレンジです。
選定理由には、コロナ禍により新たな生活スタイルを余儀なくされた人々が、オレンジ色から“前へ進む力”や“楽しみの再確認”を与えてくれるであろうという想いが込められています。

こうした知識も得ておくと、カラーリングの提案をするうえで説得力が増し、接客もしやすくなるでしょう。


カラーの提案力と技術を磨く

2021年は流行色がゼロホワイトであることから、ヘアサロンでも、インナーとしての差し色やグラデーションの一部にするなど、さまざまな方法で取り入れていました。
とはいえ、何度もブリーチをしなければいけないホワイトは、髪の痛みを気にする人にはトライしづらい色だったかもしれません。
その点、2022年のジョリーコーラルは、自髪に馴染みやすいオレンジ色ということで、さらに多様な取り入れ方ができます。
髪色をチェンジして楽しみたいというお客にも、提案しやすい色といえるでしょう。

そこで重要なのが、どんな特殊な色でも実現できるカラーリングの技術です。
また、一人ひとりに合った雰囲気に仕上げる美的感覚も外せません。
髪色はその人の印象を大きく左右するため、どんなカラーの入れ方が似合うのか、また自分に似合うカラーをお客がきちんと理解できているのかを、スタッフ側が正しく判断する必要があります。
そのようなときには、たとえば“ヘアモデル”を積極的に起用して、お客にカラーリング後のイメージを具体的に伝えるのもよいでしょう。
モデル起用費がかけられないサロンは、スタッフ自らが手本となり、実際の施術時間や髪の状態を見せながら説明すると納得が得られやすくなります。

ちなみに日本の美容業界では、海外で流行した髪型や髪色が、1年ほど後になってブームになるという暗黙のルールがあるようです。
ヘアカラーに取り入れる流行色はもちろん、カットやパーマなどの流行を押さえるには、パリやニューヨークのトレンド事情に詳しい美容ディーラーなどから情報を仕入れるのも一つの手です。
自店のスタッフと協力して、海外のトレンドセッターやインフルエンサーのSNSをチェックしておくとよいかもしれません。

自店のメニューがマンネリ化してしまっているサロンにとっては、毎シーズン必ず動く“流行色”に注視することは、サービスの枠を広げるチャンスです。
トレンドを逃さないようスタッフ間の意欲を高め、流行に敏感なサロンを目指しましょう。


※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。