あおりはご法度? 消費者を操作するECサイトの『ダークパターン』
ECサイトやオンラインサービスの広がりと共に、『ダークパターン』と呼ばれるUX/UI(ユーザーエクスペリエンス/ユーザーインターフェイス)が問題視されるようになりました。
ダークパターンは、ユーザーをサイト側に都合のよい方に誘導し、不利益な選択をさせる目的で作られています。
解約や退会のプロセスをわかりづらくしたり、ユーザーに偏った情報を与えて特定の選択に導いたりするなど、多くのパターンがあり、本格的な規制に向けて動き出している国もあります。
今回は、こうしたダークパターンがどのようなものかについて説明します。
ダークパターンは、ユーザーをサイト側に都合のよい方に誘導し、不利益な選択をさせる目的で作られています。
解約や退会のプロセスをわかりづらくしたり、ユーザーに偏った情報を与えて特定の選択に導いたりするなど、多くのパターンがあり、本格的な規制に向けて動き出している国もあります。
今回は、こうしたダークパターンがどのようなものかについて説明します。
世界中で問題視されているダークパターン
ダークパターンとは、ユーザーの不利になるように誘導する表記や、意図していない選択をさせるサイト設計のことで、イギリスのWebデザイナー、ハリー・ブリヌル氏が2010年に名付け親となりました。
ダークパターンは、消費者保護という観点で問題視されています。
2019年に行われたアメリカのプリンストン大学とシカゴ大学による大規模調査では、1万1,000件のショッピングサイトを分析してダークパターンを抽出、分類しました。
成果の一部として、以下のようなものがダークパターンであるといわれています。
●ユーザーのカートに商品をこっそり忍ばせ、会計額を増やす
●在庫に関係なく「在庫切れになる可能性がある」と表示して、ユーザーを焦らせる
●「〇〇在住の〇〇さんがこの商品を購入したばかりです」などと勝手に表示する
●「メールが不要なら、チェックボックスにチェックが入っていないことを確認してください」にチェックを入れるなど、誤誘導を行う
●勝手にアップグレート商品を提案する、アップグレードする
この調査に基づく論文では、これらを分析し、問題提起を行っています。
このようななか、欧米では、個人情報の保護を目的として、ダークパターンの規制が始まりました。
一方、日本ではまだ、多くのダークパターンが合法とされ、規制もありません。
そのため、ユーザーを欺くUX/UIを導入しているECサイトへの対応が遅れています。
しかし、ユーザーにとっては、買い物の全体像が見えず、不利になる選択に誘導されてしまうこともあり、ダークパターンを使用しているWebサイトは、自覚のあるなしに関わらず、ユーザーを騙して操り、利益を得ようとしているという印象を与えるものになってしまうのです。
ダークパターンは、国際社会では規制が進んでおり、いずれ国内でも法律違反になる可能性があります。
マーケティング担当者は自社サイトについて、よく確認する必要があるでしょう。
ユーザーを欺くダークパターンの種類
前述の調査では、抽出されたダークパターンを、15種類にカテゴリー分けしています。
そのうちのいくつかを紹介します。
●Misdirection(ミスディレクション・注意そらし)
退会ボタンを小さく目立たないものにして、退会させづらくしたり、ボタンなどのデザインに注目を集めさせるように仕向け、特定の選択に誘導したりするパターンです。
●Sneaking(スニーキング・こっそりする)
これは、支払いの最後の段階で、これまで提示されていなかったサービス料などの、予想外の追加料金を表示させたり、ユーザーの同意を得ずに、グリーティングカードなどの商品をショッピングカートに追加させたりするものです。
●Urgency(アージェンシー・緊急性)
ウソの販売期限やカウントダウンなどを提示してユーザーに商品の購入を迫る行為です。
「機会を逃したくない」と思わせるため、期間限定のクーポンの期限切れを理由に、購入を急かす場合もあります。
●Scarcity(スケアシティ・希少性)
“残りわずか”や“売り切れ間近” “製品の需要が高く、間もなく売り切れてしまいます”などと、在庫が少なく、売り切れてしまうことを過剰にアピールし、ユーザーを焦らせるパターンです。
この研究以外でも、入会はネット上で行えたにも関わらず、解約は電話でしか受け付けないなど、解約プロセスをわざと複雑化を困難にさせる『Obstruction(オブストラクション・妨害)』や、商品の単位を『個』と『kg』などバラバラにして、商品同士の価格比較を困難にさせるなどの『Price Comparison Prevention(プライス・コンパリゾン・プリヴェンション、価格の比較防止)』などがあります。
これらのダークパターンには、ECサイトでは慣習的になっているようなものもあり、知らず知らずのうちに作ってしまっていた、ということもありがちです。
わが国ではまだ、ダークパターンは、違法行為というより、商売の工夫であるかのように受け入れられており、先日も日本経済新聞が、日本の主要サイトの6割が、ダークパターンを取り入れていると報じました。
しかし、消費者に喜んでもらうための通販ページで、不利益を被らせてしまうようでは、本末転倒といえるのではないでしょうか。
ダークパターンをいつまでも利用していると、悪質なサイトにも見られかねません。
信頼性を保ち、なるべくクリーンな企業活動をしていくためにも、ぜひ、自社のサイトを一度見直してみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2021年6月現在の法令・情報等に基づいています。
ダークパターンとは、ユーザーの不利になるように誘導する表記や、意図していない選択をさせるサイト設計のことで、イギリスのWebデザイナー、ハリー・ブリヌル氏が2010年に名付け親となりました。
ダークパターンは、消費者保護という観点で問題視されています。
2019年に行われたアメリカのプリンストン大学とシカゴ大学による大規模調査では、1万1,000件のショッピングサイトを分析してダークパターンを抽出、分類しました。
成果の一部として、以下のようなものがダークパターンであるといわれています。
●ユーザーのカートに商品をこっそり忍ばせ、会計額を増やす
●在庫に関係なく「在庫切れになる可能性がある」と表示して、ユーザーを焦らせる
●「〇〇在住の〇〇さんがこの商品を購入したばかりです」などと勝手に表示する
●「メールが不要なら、チェックボックスにチェックが入っていないことを確認してください」にチェックを入れるなど、誤誘導を行う
●勝手にアップグレート商品を提案する、アップグレードする
この調査に基づく論文では、これらを分析し、問題提起を行っています。
このようななか、欧米では、個人情報の保護を目的として、ダークパターンの規制が始まりました。
一方、日本ではまだ、多くのダークパターンが合法とされ、規制もありません。
そのため、ユーザーを欺くUX/UIを導入しているECサイトへの対応が遅れています。
しかし、ユーザーにとっては、買い物の全体像が見えず、不利になる選択に誘導されてしまうこともあり、ダークパターンを使用しているWebサイトは、自覚のあるなしに関わらず、ユーザーを騙して操り、利益を得ようとしているという印象を与えるものになってしまうのです。
ダークパターンは、国際社会では規制が進んでおり、いずれ国内でも法律違反になる可能性があります。
マーケティング担当者は自社サイトについて、よく確認する必要があるでしょう。
ユーザーを欺くダークパターンの種類
前述の調査では、抽出されたダークパターンを、15種類にカテゴリー分けしています。
そのうちのいくつかを紹介します。
●Misdirection(ミスディレクション・注意そらし)
退会ボタンを小さく目立たないものにして、退会させづらくしたり、ボタンなどのデザインに注目を集めさせるように仕向け、特定の選択に誘導したりするパターンです。
●Sneaking(スニーキング・こっそりする)
これは、支払いの最後の段階で、これまで提示されていなかったサービス料などの、予想外の追加料金を表示させたり、ユーザーの同意を得ずに、グリーティングカードなどの商品をショッピングカートに追加させたりするものです。
●Urgency(アージェンシー・緊急性)
ウソの販売期限やカウントダウンなどを提示してユーザーに商品の購入を迫る行為です。
「機会を逃したくない」と思わせるため、期間限定のクーポンの期限切れを理由に、購入を急かす場合もあります。
●Scarcity(スケアシティ・希少性)
“残りわずか”や“売り切れ間近” “製品の需要が高く、間もなく売り切れてしまいます”などと、在庫が少なく、売り切れてしまうことを過剰にアピールし、ユーザーを焦らせるパターンです。
この研究以外でも、入会はネット上で行えたにも関わらず、解約は電話でしか受け付けないなど、解約プロセスをわざと複雑化を困難にさせる『Obstruction(オブストラクション・妨害)』や、商品の単位を『個』と『kg』などバラバラにして、商品同士の価格比較を困難にさせるなどの『Price Comparison Prevention(プライス・コンパリゾン・プリヴェンション、価格の比較防止)』などがあります。
これらのダークパターンには、ECサイトでは慣習的になっているようなものもあり、知らず知らずのうちに作ってしまっていた、ということもありがちです。
わが国ではまだ、ダークパターンは、違法行為というより、商売の工夫であるかのように受け入れられており、先日も日本経済新聞が、日本の主要サイトの6割が、ダークパターンを取り入れていると報じました。
しかし、消費者に喜んでもらうための通販ページで、不利益を被らせてしまうようでは、本末転倒といえるのではないでしょうか。
ダークパターンをいつまでも利用していると、悪質なサイトにも見られかねません。
信頼性を保ち、なるべくクリーンな企業活動をしていくためにも、ぜひ、自社のサイトを一度見直してみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2021年6月現在の法令・情報等に基づいています。