株式を相続する前に知っておきたい手続の流れと注意点
亡くなった方が、生前に株式投資を行っていたり株式会社の経営者だったりした場合、相続財産に株式が存在するケースが多く見られます。
しかし、株の相続は、ほかの財産の相続に比べて注意すべき事柄がいくつかあります。
そこで今回は、株の相続が完了するまでの手順とチェックポイントについて説明します。
しかし、株の相続は、ほかの財産の相続に比べて注意すべき事柄がいくつかあります。
そこで今回は、株の相続が完了するまでの手順とチェックポイントについて説明します。
相続人が複数の場合、株は『準共有』になる
たとえば、相続財産として1,000株が存在するケースで、4人の相続人がいたとします。
これらの株式を相続するとき、4人に平等に分けるのであれば、「1人250株ずつでは?」と思われる方も多いでしょう。
しかし、民法に従って相続した場合は、4人で1,000株を『準共有』(所有権以外の財産権を複数の人が有すること)している状態になります。
そのため、誰に何株を相続させるかを決めるまでは、4人全員の同意がなければ株主としての権利を行使できない、という事態も起こります。
相続財産に株式が存在する場合には、遺言書がない限り、相続人の間で遺産分割協議を行い、誰にどの株を何株相続させるかを決める必要があるのです。
身内が亡くなって株の相続が発生したら、まず、被相続人が取引していた証券会社の取引支店に連絡をしましょう。
証券会社の担当者に、相続税の申告期限や、とらなければいけない手続などについて確認します。
手続の基本的な流れとしては、証券会社から相続手続きに必要な書類が送られてきますので、指示された書類を全て揃えて提出します。
その提出物に不備がなければ、株の引き継ぎが完了となります。
なお、株の相続については、上場株式と非上場株式では異なる部分が多くあります。
次に、その二つを相続する際の違いと注意点についてお話します。
問題点も手続も異なる上場株式と非上場株式
株式は、上場株式と非上場株式に大きく分けることができます。
相続する際はそれぞれに問題点も手続も異なりますので、注意が必要です。
【上場株式の場合】
上場株式は、証券取引所で公表される価格を基準にしていますが、その価格は日々変動するため、遺産分割の際には『いつの時点の価格で評価するか』が問題となります。
一般的には、遺産分割時の価格を基準にすることが多いでしょう。
また、上場株式を相続する場合、窓口となっている証券会社で名義変更を行います。
その際、保有している株式は証券口座で電子的に管理されているため、株式を相続するためには証券口座が必要になります。
したがって、株式を相続する人が証券口座を持っていない場合には、証券口座を開設することになります。
【非上場株式の場合】
非上場株式は、そもそも「どのように評価するか」が問題となります。
相続税申告の際には、株式を取得する人が同族株主等の場合には原則的評価方式(類似業種比準方式、純資産価額方式、または併用方式)で、それ以外の株主の場合には特例的評価方式(配当還元方式)で、それぞれ評価することとされています。
しかし、遺産分割の際にもこれと同じ方法を採用するのか、あるいはどのような評価方法を採用するのかは、相続人間で協議して合意する必要があります。
また、非上場株式を相続する場合、株式を発行している会社に直接問い合わせをして名義変更の方法を確認する必要があります。
相続人ら親族が経営する会社の場合、この手続すらスムーズにいかないという問題も起こり得ます。
上場株式・非上場株式にかかわらず、株式を分ける際には、売却して現金化したうえで、その代金を相続人間で分ける『換価分割』という方法が用いられることも多くあります。
ただし、亡くなった人の名義のままでは株式を売却できないため、相続人の代表者の名義に変更したうえで売却し、遺産分割協議に従って売却代金を分けることになるため、さらに手間がかかるといえるでしょう。
また、株式は売却の時期や方法によって価値が大きく変動するため、そのような細部にわたるまで遺産分割協議で決めておく必要があるのです。
このように、株式は、価格の変動が激しく分割手続も煩雑なため、遺産分割の際にはトラブルの種になりがちです。
上場株式と非上場株式で、その評価方法も手続も大きく異なります。
市場のタイミングによっては評価額が一気に跳ね上がる可能性もあり、相続税額にも大きく影響してきます。
顧客の相続財産に株式があるときは、速やかに専門家に相談するなどして、一つずつ対処してくことが大切です。
※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。
たとえば、相続財産として1,000株が存在するケースで、4人の相続人がいたとします。
これらの株式を相続するとき、4人に平等に分けるのであれば、「1人250株ずつでは?」と思われる方も多いでしょう。
しかし、民法に従って相続した場合は、4人で1,000株を『準共有』(所有権以外の財産権を複数の人が有すること)している状態になります。
そのため、誰に何株を相続させるかを決めるまでは、4人全員の同意がなければ株主としての権利を行使できない、という事態も起こります。
相続財産に株式が存在する場合には、遺言書がない限り、相続人の間で遺産分割協議を行い、誰にどの株を何株相続させるかを決める必要があるのです。
身内が亡くなって株の相続が発生したら、まず、被相続人が取引していた証券会社の取引支店に連絡をしましょう。
証券会社の担当者に、相続税の申告期限や、とらなければいけない手続などについて確認します。
手続の基本的な流れとしては、証券会社から相続手続きに必要な書類が送られてきますので、指示された書類を全て揃えて提出します。
その提出物に不備がなければ、株の引き継ぎが完了となります。
なお、株の相続については、上場株式と非上場株式では異なる部分が多くあります。
次に、その二つを相続する際の違いと注意点についてお話します。
問題点も手続も異なる上場株式と非上場株式
株式は、上場株式と非上場株式に大きく分けることができます。
相続する際はそれぞれに問題点も手続も異なりますので、注意が必要です。
【上場株式の場合】
上場株式は、証券取引所で公表される価格を基準にしていますが、その価格は日々変動するため、遺産分割の際には『いつの時点の価格で評価するか』が問題となります。
一般的には、遺産分割時の価格を基準にすることが多いでしょう。
また、上場株式を相続する場合、窓口となっている証券会社で名義変更を行います。
その際、保有している株式は証券口座で電子的に管理されているため、株式を相続するためには証券口座が必要になります。
したがって、株式を相続する人が証券口座を持っていない場合には、証券口座を開設することになります。
【非上場株式の場合】
非上場株式は、そもそも「どのように評価するか」が問題となります。
相続税申告の際には、株式を取得する人が同族株主等の場合には原則的評価方式(類似業種比準方式、純資産価額方式、または併用方式)で、それ以外の株主の場合には特例的評価方式(配当還元方式)で、それぞれ評価することとされています。
しかし、遺産分割の際にもこれと同じ方法を採用するのか、あるいはどのような評価方法を採用するのかは、相続人間で協議して合意する必要があります。
また、非上場株式を相続する場合、株式を発行している会社に直接問い合わせをして名義変更の方法を確認する必要があります。
相続人ら親族が経営する会社の場合、この手続すらスムーズにいかないという問題も起こり得ます。
上場株式・非上場株式にかかわらず、株式を分ける際には、売却して現金化したうえで、その代金を相続人間で分ける『換価分割』という方法が用いられることも多くあります。
ただし、亡くなった人の名義のままでは株式を売却できないため、相続人の代表者の名義に変更したうえで売却し、遺産分割協議に従って売却代金を分けることになるため、さらに手間がかかるといえるでしょう。
また、株式は売却の時期や方法によって価値が大きく変動するため、そのような細部にわたるまで遺産分割協議で決めておく必要があるのです。
このように、株式は、価格の変動が激しく分割手続も煩雑なため、遺産分割の際にはトラブルの種になりがちです。
上場株式と非上場株式で、その評価方法も手続も大きく異なります。
市場のタイミングによっては評価額が一気に跳ね上がる可能性もあり、相続税額にも大きく影響してきます。
顧客の相続財産に株式があるときは、速やかに専門家に相談するなどして、一つずつ対処してくことが大切です。
※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。