どれを買っても同じ? 自社商品のコモディティ化のリスクと脱却の方法
マーケティング用語の一つである『コモディティ化』とは、市場に類似商品がたくさん流通することで、その商品自体が持つ個性や独自性などが失われ、商品同士の差別化を図るのが難しくなってしまった状態をいいます。
コモディティ化はどの商品でも起きうる問題で、過度な値引き競争を招く原因ともいわれています。
今回は、コモディティ化の概念や問題点、改善方法などをご紹介します。
コモディティ化はどの商品でも起きうる問題で、過度な値引き競争を招く原因ともいわれています。
今回は、コモディティ化の概念や問題点、改善方法などをご紹介します。
商品が差別化されないことの問題点
コモディティ(Commodity)とは、日本語で『商品』を意味します。
マーケティングの世界では、特に日用品のような品質の差別化が難しくなった商品やサービスのことを指し、このような商品の経済価値の同質化のことを『コモディティ化』(Commoditization)といいます。
消費者にとっては、どの商品を購入しても大差のない、差別化されていない状態のことを指します。
具体例の一つに、海外市場における日本製家電の変遷があります。
1970~90年代にかけて、日本製の家電が世界でトップクラスのシェアを誇っていたことがありました。
高い技術力で作られた日本製の家電はスペックも高く、丈夫で長持ちするとあって、海外でも人気でした。
ところが、2000年代に入ると、海外メーカーも日本製と同等の品質の家電を製造できるようになり、日本の独自性は次第に失われていきました。
市場におけるコモディティ化が起きて、どのメーカーの家電を購入しても大きな差が出なくなってしまったというわけです。
また、日用品などはコモディティ化が起きやすい傾向にあります。
たとえば、洗剤やトイレットペーパーなどは、ある一定の品質を保っていれば、どの商品でもよいという人が多いのではないでしょうか。
そして同じ品質であれば1円でも安い商品がよいという人も多いでしょう。
コモディティ化とは、機能面、性能面、品質などで、ほかの商品との差別化ができなくなり、価格面でしか他社と競争できなくなっている状態のことでもあります。
そうすると、競合同士が価格競争を行わざるを得なくなり、結果として利益の出づらい市場になってしまいます。
ほかにも、ガソリンや飲料水、ガスや電気などのインフラに近い商品も、価格以外の差別化が難しく、コモディティ化が起きやすい市場だといえるでしょう。
コモディティ化から脱却するには
コモディティ化はどの市場でも起き得る問題で、各企業はコモディティ化から抜け出すために、さまざまな取り組みを行っています。
コモディティ化から脱却する方法の代表的なものとして、『商品のブランド化』が知られています。
商品の性能や品質、さらにはコスト面でも他社商品との差をつけられないなら、商品にブランド価値をつけて、差別化を図るという手法です。
ユーザーは同じ価格帯の商品であれば、ブランド価値の高い商品を手に取る傾向がありますし、逆にブランド価値が高ければ、同じ品質の商品でも、価格を高く設定することも可能です。
たとえば、時計やワインなどは、大衆向けの安価なものから、高級品といわれる高価格帯のものまでさまざまです。
しかし、1万円の時計と100万円の時計を比べた場合に、100万円の時計の実質的な価値が1万円の時計の100倍あるわけではありません。
100万円の時計には、ブランド的な価値が上乗せされている場合がほとんどです。
そのため、多くの企業が商品のブランディングに力を入れています。
時計やワインだけではなく、それぞれのジャンルにおいて、ブランディングは非コモディティ化のための有効的な戦略といえるでしょう。
商品だけではなく、企業イメージを高めることで、間接的に商品のブランド価値を高めることも可能です。
一方で、ブランド価値は実態のないものなので、簡単なことでその信頼は崩れてしまいます。
商品のリコールや不具合などで、大きくブランド価値が下がってしまう危険性も持ち合わせています。
ブランディングのほかにも、コモディティ化から抜け出すには、これまで想定していたターゲット層を変えてみたり、他社の行っていないキャンペーンやサービスなどの付加的なもので商品の価値を高めたりといった施策が考えられます。
現代は、市場のグローバル化により、“コモディティ化しやすい時代”だといえます。
せっかく広告宣伝費をかけて市場開拓をしても、新商品を流通させる段階で、海外企業が同じアイデアのもっと安い商品を打ち出してしまい、負けることも少なくありません。
また、AmazonなどのECサイトの発展により、消費者が海外の類似商品も含めて比較し、同等の品質のより安い商品を見つけることも容易になりました。
さまざまな施策でほかの商品との差別化を図り、コモディティ化する市場から脱却することが業績アップにつながるのは間違いありません。
そのためにも、マーケティングの重要性を認識し、定期的な市場調査を行っていく必要があります。
※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。
コモディティ(Commodity)とは、日本語で『商品』を意味します。
マーケティングの世界では、特に日用品のような品質の差別化が難しくなった商品やサービスのことを指し、このような商品の経済価値の同質化のことを『コモディティ化』(Commoditization)といいます。
消費者にとっては、どの商品を購入しても大差のない、差別化されていない状態のことを指します。
具体例の一つに、海外市場における日本製家電の変遷があります。
1970~90年代にかけて、日本製の家電が世界でトップクラスのシェアを誇っていたことがありました。
高い技術力で作られた日本製の家電はスペックも高く、丈夫で長持ちするとあって、海外でも人気でした。
ところが、2000年代に入ると、海外メーカーも日本製と同等の品質の家電を製造できるようになり、日本の独自性は次第に失われていきました。
市場におけるコモディティ化が起きて、どのメーカーの家電を購入しても大きな差が出なくなってしまったというわけです。
また、日用品などはコモディティ化が起きやすい傾向にあります。
たとえば、洗剤やトイレットペーパーなどは、ある一定の品質を保っていれば、どの商品でもよいという人が多いのではないでしょうか。
そして同じ品質であれば1円でも安い商品がよいという人も多いでしょう。
コモディティ化とは、機能面、性能面、品質などで、ほかの商品との差別化ができなくなり、価格面でしか他社と競争できなくなっている状態のことでもあります。
そうすると、競合同士が価格競争を行わざるを得なくなり、結果として利益の出づらい市場になってしまいます。
ほかにも、ガソリンや飲料水、ガスや電気などのインフラに近い商品も、価格以外の差別化が難しく、コモディティ化が起きやすい市場だといえるでしょう。
コモディティ化から脱却するには
コモディティ化はどの市場でも起き得る問題で、各企業はコモディティ化から抜け出すために、さまざまな取り組みを行っています。
コモディティ化から脱却する方法の代表的なものとして、『商品のブランド化』が知られています。
商品の性能や品質、さらにはコスト面でも他社商品との差をつけられないなら、商品にブランド価値をつけて、差別化を図るという手法です。
ユーザーは同じ価格帯の商品であれば、ブランド価値の高い商品を手に取る傾向がありますし、逆にブランド価値が高ければ、同じ品質の商品でも、価格を高く設定することも可能です。
たとえば、時計やワインなどは、大衆向けの安価なものから、高級品といわれる高価格帯のものまでさまざまです。
しかし、1万円の時計と100万円の時計を比べた場合に、100万円の時計の実質的な価値が1万円の時計の100倍あるわけではありません。
100万円の時計には、ブランド的な価値が上乗せされている場合がほとんどです。
そのため、多くの企業が商品のブランディングに力を入れています。
時計やワインだけではなく、それぞれのジャンルにおいて、ブランディングは非コモディティ化のための有効的な戦略といえるでしょう。
商品だけではなく、企業イメージを高めることで、間接的に商品のブランド価値を高めることも可能です。
一方で、ブランド価値は実態のないものなので、簡単なことでその信頼は崩れてしまいます。
商品のリコールや不具合などで、大きくブランド価値が下がってしまう危険性も持ち合わせています。
ブランディングのほかにも、コモディティ化から抜け出すには、これまで想定していたターゲット層を変えてみたり、他社の行っていないキャンペーンやサービスなどの付加的なもので商品の価値を高めたりといった施策が考えられます。
現代は、市場のグローバル化により、“コモディティ化しやすい時代”だといえます。
せっかく広告宣伝費をかけて市場開拓をしても、新商品を流通させる段階で、海外企業が同じアイデアのもっと安い商品を打ち出してしまい、負けることも少なくありません。
また、AmazonなどのECサイトの発展により、消費者が海外の類似商品も含めて比較し、同等の品質のより安い商品を見つけることも容易になりました。
さまざまな施策でほかの商品との差別化を図り、コモディティ化する市場から脱却することが業績アップにつながるのは間違いありません。
そのためにも、マーケティングの重要性を認識し、定期的な市場調査を行っていく必要があります。
※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。