注目度も高いけど危険度も高い? 『比較広告』を打つ際の予備知識
世の中にはさまざまな業種があり、利益をあげるためにしのぎを削るなか、ライバル関係になる企業もあります。
世界的には飲料メーカーのコカ・コーラとペプシコーラ、MicrosoftとAppleなどが有名ではないでしょうか。
もちろん日本にもライバル関係にある企業は多くあります。
マーケティングの世界では、このようなライバル関係にある企業が相手企業を引き合いに出して、自社の商品やサービスをPRする『比較広告』という手法があります。
今回は、訴求効果の高い比較広告の基礎から、比較広告を打つ際の注意点などを解説します。
世界的には飲料メーカーのコカ・コーラとペプシコーラ、MicrosoftとAppleなどが有名ではないでしょうか。
もちろん日本にもライバル関係にある企業は多くあります。
マーケティングの世界では、このようなライバル関係にある企業が相手企業を引き合いに出して、自社の商品やサービスをPRする『比較広告』という手法があります。
今回は、訴求効果の高い比較広告の基礎から、比較広告を打つ際の注意点などを解説します。
注目度の高い、さまざまな比較広告
2020年の1月31日に『マクドナルド 秋葉原昭和通り店』が閉店したことを受けて、マクドナルドの2軒隣りで営業を続けていた『バーガーキング 秋葉原昭和通り店』が店頭に掲げたポスター広告が話題になりました。
同じ秋葉原に店舗を構えるハンバーガーショップ同士、「22年間たくさんのハッピーをありがとう」というマクドナルドへのねぎらいの言葉から始まるポスターは、一見、ライバル店への感謝を伝える内容に見えました。
しかし、各行の1文字目を縦読みすると「わたしたちのかち」と読むことができます。
実は、このバーガーキングのポスターは、マクドナルドへの感謝を綴ったポスターを装いながら、ユニークさを持って挑発してみせるという趣旨の広告だったのです。
バーガーキングの思惑どおり、このポスターはインターネットを中心としたさまざまなメディアで取り上げられ、大きな宣伝になりました。
このように、他社と比較して、自社の優位性や商品をアピールする広告を『比較広告』と言います。
欧米ではよく見られる手法で、ペプシコーラがライバルのコカ・コーラよりも「自分たちの商品の方がおいしい」とアピールしたり、日本では、ゲームメーカーのセガがプレイステーションを販売していたソニーを揶揄するようなCMを打つなどして、大きな話題になりました。
大きな企業に限らず、『他社比〇%アップ』や『他店よりも安い』などのキャッチコピーは、街のあちこちで使われています。
比較対象である企業の実名をあげていなくても、比較広告の一種といえるでしょう。
回避すべき『景品表示法』の『不当表示』
消費者の目を引くぶん訴求効果も高い比較広告ですが、広告を作る際にはいくつか注意点があります。
日本には、実際よりも商品をよく見せかけたり、過大な景品付きで販売を行ったりして、消費者が不利益を被ることを阻止する『景品表示法』があります。
比較広告は慎重に作らないと、この景品表示法に引っかかってしまう可能性があるのです。
景品表示法第5条では、企業が自社の商品やサービスについて周知を図る際に、競合他社のものよりも著しく優良、または有利であると一般消費者に思わせるような表示をすることを禁止しています。
誤認されるような表示をした場合には、『不当表示』とされ、消費者庁から事情聴取などの調査を受けることになり、誤認の排除や再発防止策の実施などの『措置命令』が下されます。
しかし、景品表示法は、他社との比較そのものを禁止しているわけではありません。
要は、消費者に誤認させるような表示を避ければいいわけです。
消費者庁で定めている比較広告ガイドライン『比較広告に関する景品表示法上の考え方』によると、以下の3つのポイントを守っておけば、景品表示法に違反することはありません。
1つ目は、社会通念上妥当と考えられる表現方法によって『比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること』です。
実際に他店よりも20%安いことが実証されていれば、『他店よりも20%安い』と表示しても問題ないというわけです。
2つ目は、『実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること』です。
調査結果が客観的に実証されていたとしても、広告の表示がその調査結果の範囲内で引用されていなければ、不当表示となってしまう恐れがあります。
そして3つ目は、『比較の方法が公正であること』です。
たとえば、社会通念上同等のものとして認識されていないものなどと比較し、あたかも同等のものとの比較であるように表示したり、自社に不利益な部分を隠して、他社の弱点を指摘したりする行為は不当表示に当たる可能性があります。
このように、いくつかのポイントを守っていれば、比較広告を打つことは可能です。
ただ、慎ましさを美徳とする日本人の性質として、他社の欠点をあげつらう比較広告はあまり好まれず、受け入れられないと分析する研究者もいます。
たとえ景品表示法的には問題なくても、品位や倫理観を欠いた比較広告は避けるべきでしょう。
比較広告を作成する場合は、ライバル店を引き合いに出しながら上手に自社のPRを行うような、センスの良さが求められるのです。
※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。
2020年の1月31日に『マクドナルド 秋葉原昭和通り店』が閉店したことを受けて、マクドナルドの2軒隣りで営業を続けていた『バーガーキング 秋葉原昭和通り店』が店頭に掲げたポスター広告が話題になりました。
同じ秋葉原に店舗を構えるハンバーガーショップ同士、「22年間たくさんのハッピーをありがとう」というマクドナルドへのねぎらいの言葉から始まるポスターは、一見、ライバル店への感謝を伝える内容に見えました。
しかし、各行の1文字目を縦読みすると「わたしたちのかち」と読むことができます。
実は、このバーガーキングのポスターは、マクドナルドへの感謝を綴ったポスターを装いながら、ユニークさを持って挑発してみせるという趣旨の広告だったのです。
バーガーキングの思惑どおり、このポスターはインターネットを中心としたさまざまなメディアで取り上げられ、大きな宣伝になりました。
このように、他社と比較して、自社の優位性や商品をアピールする広告を『比較広告』と言います。
欧米ではよく見られる手法で、ペプシコーラがライバルのコカ・コーラよりも「自分たちの商品の方がおいしい」とアピールしたり、日本では、ゲームメーカーのセガがプレイステーションを販売していたソニーを揶揄するようなCMを打つなどして、大きな話題になりました。
大きな企業に限らず、『他社比〇%アップ』や『他店よりも安い』などのキャッチコピーは、街のあちこちで使われています。
比較対象である企業の実名をあげていなくても、比較広告の一種といえるでしょう。
回避すべき『景品表示法』の『不当表示』
消費者の目を引くぶん訴求効果も高い比較広告ですが、広告を作る際にはいくつか注意点があります。
日本には、実際よりも商品をよく見せかけたり、過大な景品付きで販売を行ったりして、消費者が不利益を被ることを阻止する『景品表示法』があります。
比較広告は慎重に作らないと、この景品表示法に引っかかってしまう可能性があるのです。
景品表示法第5条では、企業が自社の商品やサービスについて周知を図る際に、競合他社のものよりも著しく優良、または有利であると一般消費者に思わせるような表示をすることを禁止しています。
誤認されるような表示をした場合には、『不当表示』とされ、消費者庁から事情聴取などの調査を受けることになり、誤認の排除や再発防止策の実施などの『措置命令』が下されます。
しかし、景品表示法は、他社との比較そのものを禁止しているわけではありません。
要は、消費者に誤認させるような表示を避ければいいわけです。
消費者庁で定めている比較広告ガイドライン『比較広告に関する景品表示法上の考え方』によると、以下の3つのポイントを守っておけば、景品表示法に違反することはありません。
1つ目は、社会通念上妥当と考えられる表現方法によって『比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること』です。
実際に他店よりも20%安いことが実証されていれば、『他店よりも20%安い』と表示しても問題ないというわけです。
2つ目は、『実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること』です。
調査結果が客観的に実証されていたとしても、広告の表示がその調査結果の範囲内で引用されていなければ、不当表示となってしまう恐れがあります。
そして3つ目は、『比較の方法が公正であること』です。
たとえば、社会通念上同等のものとして認識されていないものなどと比較し、あたかも同等のものとの比較であるように表示したり、自社に不利益な部分を隠して、他社の弱点を指摘したりする行為は不当表示に当たる可能性があります。
このように、いくつかのポイントを守っていれば、比較広告を打つことは可能です。
ただ、慎ましさを美徳とする日本人の性質として、他社の欠点をあげつらう比較広告はあまり好まれず、受け入れられないと分析する研究者もいます。
たとえ景品表示法的には問題なくても、品位や倫理観を欠いた比較広告は避けるべきでしょう。
比較広告を作成する場合は、ライバル店を引き合いに出しながら上手に自社のPRを行うような、センスの良さが求められるのです。
※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。