クリニック職員研修のすすめ コンプライアンスやビジネスマナーの基本を学ぶ
クリニック職員の教育研修について、開業医の先生方はどのようにお考えでしょうか。職員は受付1名のみというクリニックもあるでしょうから、職員研修の必要性は、まったく考えたことがないという先生も少なくないことでしょう。
しかし、やりようによっては、小さい組織であっても職員研修は大きな意味を持ちます。
しかし、やりようによっては、小さい組織であっても職員研修は大きな意味を持ちます。
■職員研修の内容は?
クリニックの職員研修として向いているのは、一朝一夕では身につかない接遇よりも、ビジネスマナーやほう・れん・そう(報告・連絡・相談)の基本、職員間の人間関係づくりなど、仕事や業務の基本に関する研修です。職員は、患者さんの安全や個人情報を守ることを目的としたシステムやルールに従って、業務を進行しています。しかし、忙しさや慣れから、ルールが守られなくなったり、何のためのルールなのかわからなくなったりすることはよくあります。リーダーシップを発揮できる職員がいれば軌道修正できますが、そういう人材がいなければ、職員個々の我流なやり方にすり替わり、安全やコンプライアンスがおびやかされる可能性があります。
職員研修は、仕事を俯瞰して見つめ直すよい機会になります。
人は、学びたい、成長したいという気持ちを多かれ少なかれ持っています。仕事の中で、「こうすればもっと患者さんに親切」、「もっと正確」、「もっと早い」などの“気づき”があれば、仕事の楽しさはまったく違ってきます。
職員研修で仕事を俯瞰したことで気づきが広がり、システムやルールの見直しにまでつながればしめたものです。
また、診察内容など繊細な個人情報も扱うクリニックですから、コンプライアンスについて定期的に確認することは重要なことです。
■職員研修の実施方法は?
職員研修の実施については、1. 書籍等を使って院内勉強会を開催する
2. 職員研修のネットビデオを視聴する
3. 派遣講師を招いて研修会を開く
などがあります。
気軽に取り組めてお金がかからないのは、1番の書籍等による院内勉強会ですが、中心になって企画する職員の負担が大きいのが難点です。
2番の職員研修のネットビデオは、法人登録で会費が発生するなど経費がかかりますが、個人の負担が少なく、繰り返し視聴できるのがメリットです。一般企業向けで、医療現場を対象に編集されているわけではありませんが、転用できるテーマは少なくありません。
■職員研修の導入にあたっての注意点
職員研修の導入に当たっては、いきなり提案すると、日頃の接遇や応対に問題があると言いたいのかなと、職員に誤解される恐れがあります。例えば「毎日がんばってもらってありがとう。全員にさらに成長してもらいたいから」など、感謝の言葉を前置きするかしないかで印象がまったく変わってきます。
1年前にネットビデオの職員研修を導入した内科クリニックでは週1回、お昼休みのあとの30分、職員がテーマを選び、和気あいあいと視聴しているそうです。
仕事慣れしてきた職員にとっては、職員研修がよい刺激となるのは間違いないでしょう。
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[プロフィール]
藤原恵子(ふじわら・けいこ)