需要が増加中?『夜間営業』や『深夜営業』のメリット&デメリット
ライフスタイルの多様化に伴い、美容室の営業時間に対するニーズも変化しています。
かつては夕方には閉店する店舗がほとんどでしたが、現在では21時まで、さらには深夜2時まで営業する店舗も出てきました。
日中の時間を確保しにくいお客にとって、夜遅くまで営業している美容室は利便性が高く、店を選ぶ際に優先するポイントの一つとなります。
一方、店側には新たな顧客層の開拓が期待できる反面、人員配置や労働環境の整備といった課題も伴います。
美容室の夜間営業や深夜営業の導入に向けて、検討すべき項目を押さえておきましょう。
夜間営業が注目される背景と導入メリット
利用者のニーズにあわせて21時以降も営業する美容室がみられるようになりました。
その背景には、働き方や生活サイクルの変化があります。
日中は仕事や家事、育児などで慌ただしく、自分のための時間を確保することがむずかしいケースがあります。
休日は趣味や休息、家族との時間にあてたいと考える人も多く、平日の仕事終わりに髪の手入れを済ませたいという需要が高まっています。
また、リモートワークが定着したことで、出社日や外食などの予定に合わせて、仕事の後に身だしなみを整えたいという要望も生まれています。
さらに、医療従事者や飲食店に勤務する人、あるいはシフト制で働く人々など、終業時間が遅い職業の人にとって、これまでは一般的な美容室の営業時間内に足を運ぶことは困難でした。
こうした潜在的な顧客層に対し、営業時間を夜間や深夜まで延長して対応する店舗もみられます。
このように、顧客側のメリットは、スケジュールの選択肢が増え、時間を有効に活用できる点にあります。
平日の夜に立ち寄ることができれば、休日の時間を美容室に割く必要がなくなり、プライベートの時間をより充実させることができます。
一方、店舗側としては、新規顧客の獲得と売上機会の拡大というメリットがあります。
周辺の店舗が閉まっている時間帯に営業することで競合店との差別化が図りやすくなり、夜間にしか来店できない顧客層を自店に取り込める可能性があります。
日中の予約枠がすでに埋まっている人気店であっても、営業時間を延長することで一日の受け入れ人数を増やし、店舗の設備稼働率を高めることができるでしょう。
営業時間を延ばせば、同じ店舗や設備で受け入れられるお客の数を増やせますが、増加する人件費や光熱費を踏まえ、採算が合うか確認する必要があります。
夜間・深夜営業の注意点と成功に導く工夫
夜間や深夜の営業には経営上のメリットがある一方で、店舗を運営するうえでは、従業員の労働環境に配慮しなければなりません。
長時間の営業はスタッフの心身に負担をかける要因となります。
過去の厚生労働省の調査では、美容業の平均営業時間は1施設あたり9.4時間、開店時間は「9時台」が71.1%と最も高く、閉店時間は「18時台」が50.8%と最も高いことがわかりました。
9時台にオープンし、さらに18時以降の夜間・深夜まで営業するとなると、営業時間の延長は避けられません。
労働基準法を遵守し、22時から翌朝5時までの深夜労働には、25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
そのうえで、単純に労働時間を延ばすのではなく、早番と遅番を分けるシフト制を導入するなど、無理のない勤務体制を整える必要があります。
当然、近隣への配慮も欠かせません。
深夜は周囲の環境が静かなため、店舗の出入りに伴う話し声、店外に漏れる照明の光、換気扇やドライヤーの稼働音などが、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。
入口のドアの開閉音に気を配る、遮光性の高い設備を導入するなど、周囲の生活環境を妨げないための対策を講じることが大切です。
同時に、夜間の防犯対策も念頭に置く必要があります。
スタッフが一人きりにならないような人員配置や、防犯カメラの設置など、安全面を強化するようにしましょう。
夜間・深夜営業を成功させるためには、各種課題に対応する体制を整えつつ、時間帯の特性に合わせた独自の工夫を取り入れることが効果的です。
店内環境については、日中の明るく活気のある雰囲気とは異なる演出が好まれます。
照度を少し落として温かみのある間接照明を使用したり、落ち着いたテンポの音楽を流したりすることで、お客がリラックスできる空間をつくり出せます。
提供する飲み物も、コーヒーだけでなくノンカフェインのハーブティーを用意するなど、一日の終わりに訪れるお客へ細やかな気くばりを見せることで、居心地のよさを高めることができます。
提供するメニューに関しても、短時間で疲れを癒せるヘッドスパや頭皮ケアなどを導入することで、仕事帰りの疲れた顧客層のニーズに直接応えることができるでしょう。
お客にとって、夜間・深夜営業は時間を有効に使えるという利点があり、店舗にとっては競合他店との差別化や稼働率の向上による売上増加を図る有効な手段となります。
まずは特定の曜日だけ夜間営業を取り入れてみるなど、段階的なアプローチを行い、自店に夜間・深夜営業が適しているのか見極めましょう。
※本記事の記載内容は、2026年10月現在の法令・情報等に基づいています。