藤垣会計事務所

幅広い起業を支援する『新規開業・スタートアップ支援資金』とは

26.07.28
ビジネス【税務・会計】
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起業を見据えている人にとって、直面する大きな課題の一つが資金調達です。
事業を軌道に乗せるためには、設備の導入や運転資金など、多くの資金が必要となります。
しかし、実績が少ない創業期において、民間の金融機関から融資を受けることは容易ではありません。
そこで注目したいのが、政府系の金融機関である日本政策金融公庫が提供する『新規開業・スタートアップ支援資金』です。
これから事業を始める人や、事業開始からおおむね7年以内の人などを、幅広い層を支援するために創設されたこの制度の概要を解説します。

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創業期の強い味方になってくれる支援資金

新たに事業を始める際に、自己資金だけで完結できるケースは少なく、多くの場合、外部からの資金調達が必要となります。
資金調達の手法には、ベンチャーキャピタルからの出資やクラウドファンディングなどがありますが、やはり軸となるのは金融機関からの借入です。
そのなかでも、創業期の経営者にとって心強い味方になるのが、日本政策金融公庫による『新規開業・スタートアップ支援資金』です。

日本政策金融公庫は国が出資する金融機関であり、民間の金融機関では対応がむずかしい案件に対しても支援を行う役割を担っています。
この「新規開業・スタートアップ支援資金」は、特定の業種や限られた条件の人だけでなく、幅広い層の創業やスタートアップを重点的に支援するために設けられました。
具体的には、これから新たに事業を始める人や、事業を開始してからおおむね7年以内の人が対象となります。
創業から数年間は売上が安定せず、手元の資金が厳しくなりやすい時期でもあるため、事業開始後7年という比較的長い期間にわたって対象となる点は、起業家にとって大きな利点といえます。

融資の限度額は7,200万円に設定されており、その範囲内で設備資金や運転資金として活用することができます。
店舗の改装や機械の導入などに必要な設備資金の場合、返済期間は20年以内と長期に設定することが可能です。
また、商品の仕入れや人件費、家賃などの支払いにあてる運転資金の場合は、10年以内での返済となります。

ただし、設備資金と運転資金のそれぞれに5年以内の据置期間が設けられています。
据置期間とは、元金の返済を行わず利息のみを支払う期間のことです。
創業直後は利益が出にくいことが多いため、この期間を活用することで、手元の資金が急激に減るのを防ぎ、その間に事業を安定化させることができます。

適用される利率は原則として「基準利率」となります。
基準利率は、担保の有無や税務申告の期数などによって変動しますが、おおむね3.45パーセントから5.15パーセントの範囲で設定されます(2026年7月1日現在)。

特別利率で融資を受けられる条件とは

「新規開業・スタートアップ支援資金」の特徴は、一定の条件に該当すれば、基準利率からさらに金利が引き下げられた「特別利率」で融資を受けられる点です。

国は経済のさらなる成長を実現するために、多様な人材による起業を後押ししています。
その一環として、これまで起業時の資金調達において困難を抱える傾向にあった層に対し、支援枠を設けています。
たとえば、女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニア世代が起業する場合、基準利率から0.4パーセント引き下げられた「特別利率A」が適用されます。
これらの層は、民間の金融機関から融資を受けづらい傾向にあり、本制度が資金調達上の課題を補うかたちとなっています。

また、同制度では、中小会計を適用する人の創業も支援しています。
「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」という、中小企業にとって推奨される会計ルールを適用している、あるいは今後適用する予定の人が対象です。
この条件を満たしたうえで、みずから事業計画書を策定し、国が認定する経営革新等支援機関(税理士や地域の金融機関など)から事業に関する指導や助言を受けることで、特別利率Aが適用されます。

再チャレンジする起業家への手厚い支援

ビジネスにおいては、過去に事業を畳んだ人が、その経験を糧にして再び起業するケースも少なくありません。
「新規開業・スタートアップ支援資金」では、再チャレンジに向けた融資(再挑戦支援関連)も設定されています。
廃業歴があり、負債がある程度整理されているなどの条件を満たした人は、同制度の融資を受けることができます。
さらに、この融資は新規事業の設備資金や運転資金としてだけではなく、前事業の債務を返済することにも使用できます。
加えて、通常の運転資金の返済期間が10年以内であるのに対し、15年以内へと延長されます。
ここでも5年以内の据置期間を設定できるため、過去の整理と新たな事業への投資を無理なく両立させることが可能です。

このように、新規開業・スタートアップ支援資金は、女性や若者、シニアの活躍推進、透明性の高い会計手法の普及、そして何度でも挑戦できる社会の実現という国の前向きな意図が込められた制度です。
融資を受けるためには、申し込み後に面談や審査などを受けることになります。
まずは、自身がどの優遇条件に当てはまるのかを把握し、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、準備を進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2026年7月現在の法令・情報等に基づいています。