藤垣会計事務所

『シルバー人材センター』が新契約方式に移行! 契約の仕組みを解説

26.07.28
ビジネス【人的資源】
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高齢者の就業機会を支える『シルバー人材センター』は、企業にとって、労働力を確保するための選択肢の一つです。
これまで企業がセンターに業務を依頼する際は、センターとの間で請負契約や委任契約を結んでいましたが、フリーランス法の施行に伴い、2026年4月1日からは新しい契約方式へ移行しました。
新方式では、企業と就業する会員が直接、請負契約や委任契約を結ぶ構造へと変わります。
特にこれまでシルバー人材センターを活用してきた企業においては、契約方式変更の背景や、具体的な実務の流れなどを理解しておきましょう。

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シルバー人材センターの契約方式変更の理由

『シルバー人材センター』は、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」に基づき、都道府県知事の指定を受けて各市町村に設置されている公益法人です。
地域の高齢者に対して、その希望や能力に応じた臨時的・短期的な就業機会を提供することを目的としています。

一般企業における利用方法としては、オフィスの清掃や敷地内の草むしり、受付業務、宛名書き、軽作業など、自社の基幹業務ではないものの、日常的に発生する軽易な作業を依頼するケースが多く見られます。

企業がセンターに相談すると、センターが登録された会員のなかから条件に合う人材を選定し、業務を差配する仕組みです。
これにより、企業は人手不足を補ったり、社内のリソースをコア業務に集中させたりすることが可能となります。

そして、この仕組みが、2026年4月1日から新しい契約方式へと移行しました。
2024年11月のフリーランス法(特定受託事業者の取引の適正化等に関する法律)の施行に伴い、シルバー人材センターに登録して働く会員もフリーランス(特定受託事業者)に該当することになりました。

従来の契約は、発注者である企業とシルバー人材センターとの間で請負契約や委任契約が結ばれていました。
センターが会員に就業機会を提供するという形をとっていたため、企業と会員との間には直接の法律関係が生じない構造でした。

しかし、新しい方式では、発注者・センター・就業会員の三者による包括的な契約関係へと変わります。
シルバー人材センターは、これまで通り仕事の仲介や総合調整、マッチングの役割を担いますが、実際の請負契約・委任契約は、発注者である企業と就業する会員との間で直接結ばれる形になります。

発注する企業の実務作業の変更点を確認

契約方法は変わりますが、引き続きシルバー人材センターが窓口となり、これまでと変わらないサービスを提供するため、発注者側の実務作業が増えることはほとんどありません。

具体的な利用の流れとしては、まず発注の準備段階では、企業はこれまでと同じように地域のセンターへ連絡を行います。
センターの担当者が仕事の内容や希望する条件を聞き取り、業務の仕様を調整します。
この段階での手続きは、従来の方法と変わりません。

次に、新たに導入されたセンター利用契約を、企業とセンターの間で締結します。
センター利用契約は、センターを通じて会員に業務を依頼する際の基本的なルールを定めるものです。

最も大きな変更点となるのが、会員への就業条件の明示と業務委託契約の成立です。
フリーランス法では、業務を委託する際に書面などで就業条件を明示することが義務づけられています。
しかし、この対応も企業に代わってセンターが行うため、発注者側が個別の会員と書類をやり取りするなどの作業は発生しません。
センターが業務内容を基に会員業務仕様書を作成し、マッチングの際に会員へ提示します。
会員がその内容に同意した時点で、企業と会員との間で業務委託契約が成立するという仕組みです。

業務終了後の委託料の請求についても、事務的な流れは維持されます。
変更点としては、請求書の内訳がセンターへの事務費と会員への業務委託料に分かれることです。
これらもセンターがまとめて一括で請求するため、企業側の支払手続きの回数が増えることはありません。

ただし、企業の経理担当者が注意すべき重要なポイントがあります。
それが適格請求書(インボイス)の発行についてです。
新契約方式では、センター事務費分についてはインボイスが発行されますが、会員分の委託料については原則としてインボイスを発行することができません。
なぜなら、多くの会員は免税事業者であるためです。
これにより、企業側では仕入税額控除の適用に影響が出る可能性があるため、事前に社内の経理部門と情報を共有し、コスト面や処理方法を確認しておくことが推奨されます。

今回のシルバー人材センターにおける新契約方式への移行は、フリーランス法の施行に対応し、働く高齢者の権利や就業環境を守るための法的な位置づけの整理といえます。
企業側としては、運用の手間が大きく増える心配はありませんが、インボイスへの対応など、金銭の処理に関しては一部変更となります。
これらの変更点を正しく理解したうえで、シルバー人材センターを円滑に活用し続けるための準備を行いましょう。


※本記事の記載内容は、2026年7月現在の法令・情報等に基づいています。