藤垣会計事務所

日常の身近な行為が罪になる? 知らないと怖い「軽犯罪法」の基礎知識

26.02.10
ビジネス【法律豆知識】
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周囲に迷惑をかける行為や、マナー違反の延長のように見える行動であっても、場合によっては「軽犯罪法」に抵触し処罰の対象となることがあります。
公共の場での大声での騒ぎ、住宅付近での危険な火器の使用、式典の妨害など、一見小さな行為であっても、拘留や科料といった刑罰が科される可能性があります。
「知らなかった」では済まされない軽犯罪は、日常生活のなかで誰もが遭遇しうるものです。
今回は、日常生活のなかで起こり得る軽犯罪の例と、その要件、トラブルを避けるために知っておきたいポイントを解説します。

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日常生活で起こりやすい軽犯罪の例

軽犯罪法では、一般的な生活のなかで起こりやすいさまざまな迷惑行為が処罰の対象になります。
これらの行為は「知らなかった」で済まされず、拘留(1日以上30日未満、刑事施設に拘置される)や科料(1,000円以上1万円未満の金銭を納付する)が科される可能性があります。
軽犯罪法は全33項目から成り、日常生活に関わる行為が多く含まれています。
まず、「粗野・乱暴の罪」です。
具体的には、公衆の場で大きな声で叫ぶ、他人を威圧するなどの乱暴な言動が対象となり、社会通念上著しく不安や迷惑を生じさせる乱暴な言動に限定して適用されます。
この規定は、警察官が制止したにもかかわらず、駅のホームや公園など公共の場所で、酒に酔って大声で騒いだり、他人に絡んだりする行為に適用される可能性があります。

次に、「火気濫用の罪」です。
これは、建物や森林など燃えやすいものの近くや、ガソリンなど引火しやすいものの近くで、火を用いる行為を処罰対象とします。
具体的には、火のついた物をガソリンスタンドに向けて投げる、花火や爆竹を建物内で扱うといった行為が典型例です。
なお、近年では、キャンプブームの影響もあり、禁止されている場所でのバーベキューやたき火による通報が増加しているという報告もありますが、軽犯罪法ではなく公園条例や自治体の火気使用ルールの違反として扱われることが多いようです。

また、「儀式妨害の罪」も見逃せません。
入学式・卒業式・結婚式・葬儀などの式典を故意に妨害する行為が対象となります。
大声で騒ぐ、進行を阻害する、意図的に会場内で迷惑行為を行うなど、イベントの平穏を乱す行為が該当します。
元交際相手の結婚式に押しかけて式を妨害するといった行為は、この規定により処罰される可能性があります。

そのほかにも、「正当な理由なくのぞき見をする」など、日常生活に関連する行為が規定されています。
一方で、盗撮・つきまとい・客引きなどは各自治体の迷惑防止条例で規制されることが多く、軽犯罪法とは別の法体系です。
双方の違いを理解しておくことが重要です。

トラブル回避のための注意点と対処

軽犯罪法に違反し「拘留」または「科料」が科されると、それは刑罰であり、前科となります。
ただし、実務では警告や不起訴処分にとどまる例も多く、状況により判断が分かれます。
いずれにせよ、日常生活でのちょっとした言動であっても、周囲の迷惑となる行為には細心の注意が必要です。
特に、自分では軽い冗談やふざけたつもりの行為でも、周囲からは迷惑行為として受け取られ、通報される可能性があることを認識しておきましょう。
もし通報や警察対応に発展した場合は、その場で無理に言い争わず、状況を説明して冷静に対応することが重要です。
感情的になって警察官に反抗的な態度を取ると、別の罪(公務執行妨害罪など)に問われる可能性もあります。
誤解がある場合は事実関係を丁寧に整理し、必要であれば弁護士へ相談することも検討すべきです。

また、地域ごとの条例が軽犯罪法と合わせて適用されるケースも多いため、自分が住む自治体のルールを確認しておくことでリスク回避につながります。
たとえば、迷惑防止条例では、つきまといや盗撮、客引きなどが規制されており、軽犯罪法とは別に罰則が定められています。

注意したいのは、SNSの普及により、軽犯罪に該当する行為が動画や写真で拡散され、社会的な批判を浴びるケースが増えている点です。
法的な処罰だけでなく、インターネット上での炎上により、就職や仕事に影響が出る可能性もあります。
予防策としては、公共の場では周囲への配慮を忘れず、節度ある行動を心がけることが第一です。
特に飲酒時は判断力が鈍りがちなので、酔った状態での行動には十分注意しましょう。
また、住宅街や公園などでの焚き火やバーベキューは、火器の使用場所や方法を誤ると、火災予防条例や公園条例の違反となる場合があります。
禁止されている場所では絶対に行わないことが大切です。

軽犯罪は「大したことではない」と軽視されがちですが、迷惑行為が犯罪になる可能性があることを理解することが重要です。
法律の知識を持つことで、日常生活のトラブル防止にもつながります。
身近な行動がどのような法律に触れる可能性があるのかを意識し、トラブルに巻き込まれないよう適切な行動を心がけることが大切です。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。