藤垣会計事務所

介護スタッフ育成のカギとなる「リフレクション」とは?

26.02.03
業種別【介護業】
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介護現場では、日々さまざまな出来事が起こります。
事故やヒヤリハットなどの予期せぬ出来事や家族への対応、チーム内の連携など、個々のスタッフが多くの判断を迫られる状況にあります。
こうした現場で、スタッフが日々のケアサービスの質やスキルを継続的に高めていくためには「リフレクション」が重要な役割を果たします。
また、リフレクションを育成に取り入れることで、スタッフの成長を促し、人材の定着率向上も期待できます。
今回は、介護スタッフ育成における「リフレクション」の重要性と、介護現場での実践方法をご紹介します。

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リフレクションが介護現場にもたらす効果

介護スタッフの育成において、「リフレクション」は単なる「振り返り」以上の意味を持ちます。
この取り組みは自分自身の行動や思考を客観的に振り返り、そこから学びを得て、未来の行動改善につなげる「内省」のことを指します。
「リフレクション」は単なる反省ではなく、経験を学びに変えるプロセスです。
スタッフがみずからの行動を客観的に見直し、仲間と共有することで、介護技術の向上だけでなく、チームの一体感やモチベーションの維持にもつながります。

介護現場では、利用者一人ひとりの状況が異なり、日々のケアに明確な正解が一つだけあるとは限りません。
そのため、スタッフがみずから経験したことを言語化し、仲間と共有することが重要です。
実際に、「リフレクション」を通すことで、スタッフは「その時なぜその対応を選んだのか」「利用者の反応はどうだったのか」「次に改善できる点は何か」を考える習慣が身につくようになります。
これにより、介護技術の向上だけでなく、利用者に対する理解度が深まり、ケアサービスの質の向上にもつなげることができます。
さらに、「リフレクション」はチーム全体のコミュニケーションの活性化が期待できます。
スタッフ同士が経験を共有することで、互いの強みや課題を理解し合い、協力体制が強化されます。
その結果、現場の一体感が高まり、離職防止にもつながります。

「リフレクション」を効果的に育成に取り入れるためには、以下のようなステップがあります。

(1)日々の業務後に短時間の「振り返り」の機会を設ける
終業前に「今日のケアでよかった点」「改善できる点」を一人ずつ共有するだけでも、学びの機会になります。
短時間でも、継続することでスタッフの思考習慣が育ちます。
(2)ケースカンファレンスでの活用
特定の利用者への対応をテーマに、スタッフ全員で「振り返り」を行う方法です。
多角的な視点から意見を出し合うことで、個人では気づけない改善点が見えます。
(3)リフレクションシートの導入
リフレクションシートというかたちで記録として残すことで、スタッフ自身が成長を実感できます。
定期的に見返すことで、過去の経験から学びを再確認でき、自己効力感の向上につながります。
(4)管理者やリーダーのファシリテーション
「ファシリテーション」とは会議などで議論をスムーズに進ませるための手法です。
管理者やリーダーが率先して参加し、否定よりも承認をベースにしたフィードバックを行うことで、スタッフが安心して振り返りに取り組むことができます。

定着率を高めるリフレクションの風土づくり

介護業界では人材不足が深刻化しており、スタッフの定着率向上は経営課題の一つです。
「リフレクション」を風土として会社に根付かせることで、スタッフは「自分の成長を実感できる職場」と感じやすくなります。
これはモチベーションの維持にも直結するため、離職防止につながります。

また、「リフレクション」を通じてスタッフ同士の信頼関係が強化されると、職場の雰囲気が改善されます。
安心して発言できる職場になれば、新人スタッフでも率先して意見を述べられるようになり、育成機関の短縮や早期戦力化が可能になります。
その結果、事業所全体のケアサービスの質が向上し、利用者満足度の向上も期待できます。

さらに、「リフレクション」の風土が定着することで「学習する組織」が構築されます。
介護業界は制度改正や技術革新が頻繁に起こる分野であるため、スタッフが常に学び続ける姿勢を持つことで、環境の変化に柔軟に対応できる組織へと成長していきます。
これは事業所の競争力を高め、地域で選ばれる介護サービスにつながるでしょう。

「リフレクション」は、介護スタッフ育成の中心に据えるべき重要なプロセスです。
単なる「反省」ではなく、個人の日々の経験を学びに変える仕組みとして活用することで、スタッフの成長を促し、チームの一体感を高め、人材定着率の向上や介護事業所の競争力強化にもつながります。
まずは日々の小さな「振り返り」から始め、事業所の風土として定着させることが、介護人材の現場力向上と人材定着のカギとなるのではないでしょうか。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。