メンタルクリニック開業の注意点とは?
メンタルクリニックの経営には、他の診療科目とは異なる独特の視点を持つ必要があります。
それが
「患者さんが自殺するケースがあることを、スタッフの採用時に説明して理解してもらう」
「完全予約制にしないとトラブルが起きる」
の2点です。
メンタルクリニックを開業して10数年になるA先生が体験したエピソードを紹介します。
それが
「患者さんが自殺するケースがあることを、スタッフの採用時に説明して理解してもらう」
「完全予約制にしないとトラブルが起きる」
の2点です。
メンタルクリニックを開業して10数年になるA先生が体験したエピソードを紹介します。
A先生は開業時にスタッフを採用する際、患者さんが自殺するケースがあることを伝えていませんでした。
そして、開業直後は患者さんが少なかったことから、予約なしでも診察を受け付けていたのです。
開業から間もないある日、事件が起きました。
予約をせずに来院した60代男性の患者さんが「こんなに待たせるとは何事か!」と診察室で怒り出したのです。
A先生が過去の心療内科、精神神経科の受診歴や既往症の有無について質問しても、患者さんは興奮するあまり「そんな質問をされても意味がない。メンタルクリニックなんて役に立たない!」と叫ぶだけでした。
それでもA先生は根気よく、どのような症状で来院されたのか確認したところ、患者さんはようやく「仕事がうまくいっていない。過去にうつ病と診断されたことがある」と口を開きました。
しかし、問診の途中で診察室から飛び出し、受付スタッフに暴言を吐いて出て行ったのです。
「患者さんは『助けてほしい』というサインを送っていたのかもしれません。しかし、こちらも取り付く島がなく何もできませんでした」とA先生は述懐します。
患者さんは保険証をクリニックに忘れて帰宅したため、A先生やスタッフが携帯電話に連絡したものの、つながりませんでした。
連絡を続けて1週間後、患者さんの家族が電話に出ました。そこで、メンタルクリニックを受診した翌日に、患者さんが自殺していたことが判明したのです。
現場経験の少ない受付スタッフは、患者さんの自殺にショックを受け、退職してしまいました。
新しいスタッフを採用できるまで、A先生が診療も受付も1人でこなさなければいけない状態が1ヵ月続いたそうです。
A先生は、この事件を教訓に、スタッフの採用時には「患者さんが自殺するケースがある」ことを伝えるようにしました。
そして、クリニックを完全予約制にして、患者さんの待ち時間を削減するように努めたのです。
「うつ病の患者さんは自殺するケースがあることを、スタッフの採用時に話し、それを受け入れられる人に来てもらうようにしました。
また、メンタルクリニックの患者さんのなかには、待ち時間が長いと不安になり、精神的に苦しくなる人がいます。
完全予約制にすれば、患者さんの待ち時間が少なくなり、不安な気持ちにさせずに済みます」とA先生は語ります。
トラブルを教訓として受け止め、クリニック経営に活用した好例といえるでしょう。
選ばれるクリニックへのナビゲーション
[プロフィール]
藤原恵子(ふじわら・けいこ)
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。
そして、開業直後は患者さんが少なかったことから、予約なしでも診察を受け付けていたのです。
開業から間もないある日、事件が起きました。
予約をせずに来院した60代男性の患者さんが「こんなに待たせるとは何事か!」と診察室で怒り出したのです。
A先生が過去の心療内科、精神神経科の受診歴や既往症の有無について質問しても、患者さんは興奮するあまり「そんな質問をされても意味がない。メンタルクリニックなんて役に立たない!」と叫ぶだけでした。
それでもA先生は根気よく、どのような症状で来院されたのか確認したところ、患者さんはようやく「仕事がうまくいっていない。過去にうつ病と診断されたことがある」と口を開きました。
しかし、問診の途中で診察室から飛び出し、受付スタッフに暴言を吐いて出て行ったのです。
「患者さんは『助けてほしい』というサインを送っていたのかもしれません。しかし、こちらも取り付く島がなく何もできませんでした」とA先生は述懐します。
患者さんは保険証をクリニックに忘れて帰宅したため、A先生やスタッフが携帯電話に連絡したものの、つながりませんでした。
連絡を続けて1週間後、患者さんの家族が電話に出ました。そこで、メンタルクリニックを受診した翌日に、患者さんが自殺していたことが判明したのです。
現場経験の少ない受付スタッフは、患者さんの自殺にショックを受け、退職してしまいました。
新しいスタッフを採用できるまで、A先生が診療も受付も1人でこなさなければいけない状態が1ヵ月続いたそうです。
A先生は、この事件を教訓に、スタッフの採用時には「患者さんが自殺するケースがある」ことを伝えるようにしました。
そして、クリニックを完全予約制にして、患者さんの待ち時間を削減するように努めたのです。
「うつ病の患者さんは自殺するケースがあることを、スタッフの採用時に話し、それを受け入れられる人に来てもらうようにしました。
また、メンタルクリニックの患者さんのなかには、待ち時間が長いと不安になり、精神的に苦しくなる人がいます。
完全予約制にすれば、患者さんの待ち時間が少なくなり、不安な気持ちにさせずに済みます」とA先生は語ります。
トラブルを教訓として受け止め、クリニック経営に活用した好例といえるでしょう。
選ばれるクリニックへのナビゲーション
[プロフィール]
藤原恵子(ふじわら・けいこ)
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。