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法律違反ではありませんか? 罰金、減給について正しく知ろう

22.12.13
ビジネス【労働法】
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労働基準法(以下、労基法)では、企業は従業員に対し、無断欠勤や遅刻を理由として『罰金』を求めることは禁止されています。
罰金のほかにも、『減給』『給与カット』といった言葉を耳にしたことがあると思いますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、罰金や減給に関して、労基法でどのように定められているのか解説します。
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遅刻やミスを理由に罰金を科すのは違法行為

労基法第16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定められており、そもそも企業が従業員に対し罰金を求めることは法律違反となります。
したがって、企業が従業員に罰金を支払わせるのはもちろん、実際に支払わせなくとも「遅刻1回につき罰金3万円」といった規則を定めること自体が法律違反になることを理解しておきましょう。

一方、継続して無断欠勤や遅刻などが多い従業員などに対して、企業が懲戒処分の一環として実施するのが『減給』です。
懲戒処分の一環であるため、ある事柄に対して『減給』という処分を決定したのち、給与を減額することになります。
減給となる行為などの要件について法的に明確な定めはありませんが、減ずる金額には制限があります。
労基法第91条では「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と定められています。
たとえば、Aさんの平均賃金の1日当たりの金額が1万円(月給30万円)の場合、1回の減給として認められる金額は5,000円までです。
Aさんが異なる内容の複数事案において減給の対象となったとしても、減給の総額が月給30万円の10分の1、つまり3万円を超える金額を減額 することはできません。


ノーワーク・ノーペイの原則

一般的に、企業が従業員に経済的な負担を強いる対応においては『給与カット』という言葉が使用されています。
この言葉は非常に広い意味で使用されていますが、実務上では、意図を明確にする必要があるため、減給と区別する用語として、『控除』 という用語が用いられています。
控除は「賃金が発生していないので支払う義務も発生しない」という、『ノーワーク・ノーペイの原則』に基づく措置です。

労基法24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならない」と定められています。
「働いた分は全部、きっちり決まった日に直接払わなければならない」ということですが、裏を返せば、従業員が働いていない時間は賃金が発生していないため、企業は賃金を支払う義務が発生しないと解釈されています。

そのため企業は、有給休暇外の無断欠勤や無断遅刻に対してその部分については控除(給与カット)を行うことができます。
なお、控除の計算は、最低賃金や平均賃金のように法律上の明確な定めはなく、企業ごとに定めている1日の給与の計算方法や残業単価の計算方法などをもとに規則で定められているのが一般的です。

今回ご紹介した罰金、減給、控除について整理すると以下のようになります。

●罰金……ある出来事に対する罰則として金銭を支払わせる。法律上不可。
●減給……ある出来事に対する懲戒処分として、給与を減額して支払う。法律の上限あり。
●控除……支払う義務が発生しない(賃金が発生していない)ため支払わない。

ただし、減給も控除も実施するには、就業規則に定めておく必要があるので注意しましょう。
実施方法に不合理な点がなければ、監督署の監査でも指摘を受けることがありません。
企業としては、罰金、減給、控除の違いや、法律上の制限についてしっかりと理解したうえで、適切に運用していきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年12月現在の法令・情報等に基づいています。