税理士法人芦田合同会計事務所

実は大きな影響力を持つ『ナノインフルエンサー』の活用法

25.07.08
ビジネス【マーケティング】
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ソーシャルメディアが人々の生活に深く浸透した現代で、消費者の購買行動に大きな影響を与える「インフルエンサー」が注目を集めています。
なかでも、数百万人、数千万人のフォロワーを抱えるトップインフルエンサーの動向は、時に社会現象を引き起こすほどの影響力を持つ存在といえるでしょう。
しかし、大規模なフォロワーを持つインフルエンサーだけが、企業のマーケティングにとって有効なわけではありません。
今回は、小規模なフォロワー数ながらも、企業のマーケティング施策に有効な「ナノインフルエンサー」について、解説します。

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一部の消費者に強い影響を及ぼす存在

インフルエンサーを活用した「インフルエンサーマーケティング」は、SNSなどのソーシャルメディアにおいて、多くのフォロワーを持ち、強い影響力を持つ個人のインフルエンサーに、商品やサービスに関する情報を発信してもらうことで、認知度の向上や購買意欲の促進を図るマーケティング手法です。

従来の広告とは異なり、インフルエンサーの個性や発信する情報に対するフォロワーの共感・信頼を利用することで、より自然で親近感のある形で情報を届けることができるのが大きな特徴です。
近年、消費者は企業からの直接的な広告よりも、信頼できる個人が発信する情報を重視する傾向が強まっており、インフルエンサーマーケティングの重要性はますます高まっているといえます。

そして、特にマーケティング市場で注目されているのが、フォロワー数が数千人から1万人程度の、いわゆる「ナノインフルエンサー」と呼ばれるインフルエンサーです。
彼・彼女らは、トップインフルエンサーのような爆発的なリーチ力こそ持ちませんが、特定のコミュニティや分野において非常に濃密なつながりを持ち、熱心なファンに支持されています。

ナノインフルエンサーの多くは特定のテーマに関する深い知識や情熱を持ち、フォロワーとの距離感が近く、親密なコミュニケーションを取る傾向にあります。
フォロワーからの信頼度も高く、発信する情報に対する影響力も小さくはありません。

マーケティング施策に起用する際のポイントと注意点

フォロワーとの距離感が近く、フォロワーからのアクションが多いナノインフルエンサーを企業のマーケティング施策に起用する際には、いくつかのポイントがあります。
最も重要なのは、起用するナノインフルエンサーのフォロワー層の属性が自社のターゲットとする層と合致しているかどうかです。
年齢、性別、興味関心といったフォロワーの属性と、普段発信しているコンテンツの内容を確認し、自社と親和性の高いナノインフルエンサーを選定することが成功のカギとなります。

また、フォロワー数だけでなく、SNSの投稿に対する「いいね!」やコメント、シェアなどユーザーの反応を割合で示した「エンゲージメント率」も重要な指標となります。
エンゲージメント率が高いほど、フォロワーがインフルエンサーの投稿に強い関心を示しており、情報が深く浸透しやすいと考えられます。

トップインフルエンサーに比べて、ナノインフルエンサーの起用にかかる費用は一般的に抑えられる傾向にあります。
限られた予算のなかで、より消費者にリーチしたい場合に、ナノインフルエンサーを活用したマーケティングは費用対効果の高い選択肢となるでしょう。

ただし、注意したいのは、ナノインフルエンサーに適した施策と、適さない施策があるということです。
ナノインフルエンサーは、フォロワー数が少ないため、爆発的な認知度向上には向きません。
たとえば、消費者の認知度を高める目的で大規模なキャンペーンを展開する際には、一人だけではなく、複数のナノインフルエンサーとの連携を図るなど、工夫が必要になります。

また、トップインフルエンサーのように誰もが知る存在ではないため、多数のインフルエンサーのなかから、自社に合う人材を見つけるまでに、ある程度の時間と労力がかかる場合もあります。
実際にナノインフルエンサーを探す際には、Instagram、Twitter、YouTube、TikTokなどの主要なSNSプラットフォームで、関連するキーワードやハッシュタグを用いて検索してみましょう。
近年は、企業とインフルエンサーをマッチングさせるプラットフォームも多数存在するので、フォロワー数やエンゲージメント率、専門分野などの条件を絞り、ナノインフルエンサーを効率的に探すことも可能です。

ナノインフルエンサーは、フォロワー数は少ないながらも、特定のコミュニティにおいて強い影響力を持つ、企業のマーケティングにとって見逃せない存在です。
ただし、リーチ力や拡散力はトップインフルエンサーには敵わないため、適切な戦略と長期的な視点が必要になります。
自社のマーケティング施策に合致したナノインフルエンサーは、新たな顧客層の開拓やブランドロイヤリティの向上に貢献してくれるはずです。


※本記事の記載内容は、2025年7月現在の法令・情報等に基づいています。