税理士法人芦田合同会計事務所

人材定着を図り、働きやすい職場環境の整備を支援

25.07.08
ビジネス【助成金】
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少子高齢化が進む日本において、労働力の確保と労働環境の改善は非常に重要な課題です。
特に中小企業にとっては、優秀な人材の確保と定着が企業の成長と持続可能性に直結します。
「人材確保等支援助成金」は、事業主が労働者の定着を図り、働きやすい環境を整備するための支援を目的としています。
労働者が長期的に働き続けるためには、職場環境の改善や労働条件の向上が不可欠です。
人材確保等支援助成金の「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」は、事業主がそのための具体的な取り組みを行う際の経済的な支援を提供します。

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雇用管理制度・雇用環境整備助成コース

人材確保等支援助成金「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」は、事業主が、求職者や従業員にとって、魅力ある職場を創出するため、雇用管理制度や従業員の業務負担を軽減する機器・設備等(業務負担軽減機器等)を新たに導入し、その適切な運用を経て従業員の離職率の低下が図られた場合に、取り組み内容に応じた額を助成するものです。

雇用管理制度とは、以下の5つを指します。
(1)賃金規定制度:賃金規定および賃金表を整備する取り組み
(2)諸手当等制度:諸手当制度、退職金制度または賞与制度を導入する取り組み
(3)人事評価制度:生産性向上に資する人事評価制度を導入する取り組み
(4)職場活性化制度:メンター制度などの導入
(5)健康づくり制度:人間ドックの費用助成などを導入する取り組み

雇用環境整備の措置とは、労働者の業務負担の軽減が図られる機器・設備などの導入措置を指します。

【支給対象事業主】
(1)雇用保険の適用事業所の事業主
(2)雇用管理制度等の整備に関する計画を都道府県労働局長に提出し、認定を受けた事業主
(3)計画の認定申請日から計画期間の末日までの間において、同一の労働者を最低1名は適用対象労働者として継続して雇用していること
(4)認定された計画に基づき、雇用管理制度または業務負担軽減機器等を新たに導入し、対象労働者の2分の1以上に対して、当該制度・機器を実施・利用していること
(5)導入した雇用管理制度および業務負担軽減機器等を評価時離職率算定期間の末日まで運用または使用していること
(6)離職者がいる場合、雇用管理制度等整備計画の期間の初日の前日から起算して6カ月前の日から本コースに係る支給申請書の提出日までの間に、倒産や解雇などの離職理由により離職した者の数が、雇用管理制度等整備計画の提出日における被保険者数の6%を超えていないこと
(7)計画開始日の前日から起算して6カ月前から雇用管理制度等整備計画の期間の末日までの期間について、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇などしていないこと
(8)離職率の目標の達成
評価時離職率が30%以下となっている必要があります。
離職率は、事業主単位で算出し、業務負担軽減機器等を導入していない事業所も計算に含みます。
(9)過去に対象となる助成金を受給している場合は、最後の支給決定の翌日から起算して3年が経過している事業主
(10)雇用管理制度等整備計画の開始日までに、対象事業所ごとに「雇用管理責任者」を選任し、労働者に周知している事業主

【対象労働者】
以下の条件のすべてに該当する労働者
(1)次の(ⅰ)または(ⅱ)のいずれかに該当する者
(ⅰ)期間の定めなく雇用されている者
(ⅱ)一定の期間を定めて雇用され、その雇用期間が反復継続され、事実上期間の定めなく雇用されている場合と同等と認められる者
(2)事業主に直接雇用される者
(3)雇用保険の被保険者
※「高年齢被保険者」は含み、「短期雇用特例被保険者」および「日雇労働被保険者」を除く。

【助成支給対象となる雇用管理制度および業務負担軽減機器等の要件】
《共通要件》
・新たに導入するものに限ります。
・整備計画期間内に退職が予定されている者のみを対象とするものではありません。

《個別要件》
賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度、業務負担軽減機器等には、それぞれ個別に要件が定められています。

《賃金要件(加算要件)》
・賃金要件とは、整備計画期間中に、雇用管理制度または雇用環境整備の措置の実施とあわせて、対象労働者名簿に記載された者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上引き上げる取り組みです。
・具体的には、労働者それぞれについて、引上げ前3カ月と、引上げ後3カ月(引き上げた月を含む)の毎月決まって支払われる賃金の合計額を比較し、5%以上増加している必要があります。

【助成額】
〇雇用管理制度の導入:上限80万円(100万円)
以下の3種
a 賃金規定制度(賃金表の整備)
b 諸手当制度(資格手当などの導入)
c 人事評価制度(業績評価等の制度)
助成額・40万円(50万円)
以下の2種
d 職場活性化制度(メンター制度等の導入)
e 健康づくり制度(人間ドックの実施)
助成額・20万円(25万円)

〇業務負担軽減機器等の導入:上限150万円(187.5万円)
助成額・対象経費の1/2(62.5/100)

※括弧内は賃金要件を満たした場合の支給額

【終わりに】
企業の雇用管理制度を整備することで、従業員の働きやすさが向上し、離職率の低下が期待できます。
また、助成金を活用することで、コストを抑えつつ職場環境の改善が可能となり、従業員の満足度や生産性の向上が見込まれます。
さらに、企業の社会的評価が高まり、優秀な人材の確保にもつながり、企業の持続的な成長が支援されるでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00005.html


※本記事の記載内容は、2025年6月30日現在の法令・情報等に基づいています。