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盛土規制法が5月末にスタート! 制定の背景と具体的な内容とは

23.02.27
業種別【建設業】
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土石流災害を引き起こす可能性のある盛り土を全国一律の基準で包括的に規制する『宅地造成等規制法の一部を改正する法律(盛土規制法)』が、2023年5月26日に施行されます。
盛土規制法は、2021年に静岡県熱海市で発生した大雨による大規模な土石流災害を契機に、法整備が進められてきました。
これまで以上に規制を強化することで、盛り土を起因とする土石流災害のリスクをなくし、人家などへの被害を出さないようにすることが目的です。
今回は、盛土規制法の概要や建設業者が受ける影響などについて、説明します。
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違法な盛り土が全国に1,000カ所以上も

『盛り土』とは、住宅などを建てる際に土地を整備することで、伐採や伐根、盛り土・切土、残った土の処分など、その土地の状況に応じた工事全般を指します。
日本の国土は起伏に富んでおり、建築物を建てる際に、盛り土によって土地を平らにする必要があるケースは多くあります。

特に、高度経済成長期に住宅の需要が爆発的に増えたことから、日本各地で盛り土による宅地の造成が行われてきました。
造成の際に出た土の大部分は資源として扱われ、再利用するために別の場所に移されます。盛り土を受け入れた土地の所有者と盛り土を運んだ企業とで、適切に管理しなければなりません。
しかし、高度経済成長期も終わり、土の需要が減るに従い、防災対策が不十分なまま、山間部や郊外に違法に捨てられるケースが出てきてしまいました。

2021年7月3日、梅雨前線による大雨に伴い、静岡県熱海市で土石流災害が発生し、甚大な被害が出ました。
その後の静岡県の調査で、上流部での違法な盛り土の崩落が、土石流の原因だったことが判明しました。
この場所では、不動産会社が10年以上も前から行政の指導を無視して土を運び込み、盛り土は計画の3倍を超える高さにまでなっていたそうです。

この静岡県熱海市の土石流災害を受け、国が約3万6,000カ所の盛り土を点検したところ、必要な届け出がされていないものが1,000カ所以上見つかりました。
この結果を踏まえ、国は土地の用途にかかわらず、危険な盛り土を包括的に規制する法制度が必要だと結論づけ、盛土規制法が制定されることとなりました。


盛土規制法の柱となる4つの基本方針

盛土規制法は、土地の用途にかかわらず、危険な盛り土などを全国一律の基準で包括的に規制することを目的としたもので、基本方針は以下の4つになります。

(1)スキマのない規制
都道府県知事等が、盛り土によって被害が出る可能性のあるエリアを『規制区域』として指定し、そのエリアには市町村が関与できる仕組みを導入します。そして、規制区域で行う盛り土に関しては、都道府県知事等の許可が必要になります。

(2)盛り土などの安全性の確保
盛り土を行うエリアの地形や地質などに応じて、災害防止のために必要な許可基準が設定され、工事主や施行者会社の能力についての審査が行われるようになります。また土地所有者らの同意を得ることだけでなく周辺住民への事前周知も必要です。
さらに、許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、『施工状況の定期報告』『施工中の中間検査』『工事完了時の完了検査』の実施が義務化されました。

(3)責任の所在の明確化
盛り土などが行われた土地の所有者や管理者などには、常時安全な状態に維持する責務があるということが明確化されます。
また、災害防止のために必要な場合は、土地の所有者だけではなく、盛り土を行った施工者、過去の土地所有者などにも、行政から是正措置などの命令が出されます。
静岡県熱海市の土石流災害では、崩落の起点となった盛り土がされた当時の土地所有者は自身に責任がないと主張していますが、盛土規制法の施行後は、こうした過去の土地所有者の責任の所在も明確になります。

(4)実効性のある罰則の措置
罰則が抑止力として機能するように、無許可行為や命令違反などに対する罰則が強化されます。
これまでは2年以下の懲役または100万円以下の罰金でしたが、より強化され、最大で3年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人に対しても抑止力として機能するように法人重科を措置しています。
盛土規制法の施行によって、建設業者はこれまで以上に厳格な盛り土の管理が求められるようになります。
施行前に、規制の内容や許可申請の流れなど、盛土規制法に関する理解を深めておきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年3月現在の法令・情報等に基づいています。