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従業員の情報を扱う『労働者名簿』の書き方と管理方法

20.12.08
ビジネス【労働法】
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労働基準法では、事業主に対して『労働者名簿』を作成することを義務づけています。
労働者名簿とは、従業員の氏名や住所、生年月日などを事業所ごとにまとめた名簿のことをいいます。
『賃金台帳』や『出勤簿』と並ぶ『法定三帳簿』と呼ばれているもので、法律上、整備や管理が義務づけられている以外に、人事・労務管理上、非常に重要な書類となります。
今回は、労働者名簿を正しく管理するため、作成や保管に関するルールを説明します。
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『労働者名簿』に記載する対象者とは

労働基準法第107条では、使用者は事業所ごとに『労働者名簿』を作成・管理しなければならないと定められています。
正社員や契約社員、パートやアルバイトを問わず、賃金を支払っている全ての従業員の情報を記載しなければいけません
これは法人だけでなく個人事業主でも同様で、一人でも従業員を雇用している際には労働者名簿の作成と管理の義務が発生します。

ただし、以下に関しては、労働者名簿の作成・管理の義務はありません。

●派遣労働者(派遣元が賃金を支払っているため)
●会社の代表者や役員(法律上の労働者にあたらないため)
●日雇い労働者(法律上、入れ替わりが激しく名簿作成の意味をなさないと定義されているため)

基本的に、労働者名簿は適切な人事や労務管理を行うためのもので、どこかに提出しなければいけないものではありませんが、作成・管理が滞りなく行われているかどうかは、労働基準監督署の監督対象になります。
労働者名簿を作成していなかったり、内容に不備があったり、さらには適切な管理が行われていなかった場合などは、労働基準監督署から是正勧告を受けることになりますし、悪質な場合には30万円以下の罰金が科せられることもあるので、注意が必要です。


『労働者名簿』に記載する内容

労働者名簿は、新しく人を雇用する際に労働者一人ずつについて作成していきます。
基本的には、以下の必要記載事項が全て記載されていれば、形式などは自由とされています。
厚生労働省のホームページではテンプレートが用意されているので、それを利用してもよいでしょう。

【必要記載事項】
●労働者氏名
●生年月日
●性別
●住所
●雇入れ年月日
●従事する業務の種類
●社内での履歴
●退職年月日、または死亡年月日とその理由・原因

また、必須の記載事項ではありませんが、従業員の電話番号や緊急連絡先、健康保険、厚生年金、雇用保険についてなども記載しておくと、人事・労務管理がしやすくなるでしょう。

なお、異動や昇進、引っ越しなどがあると従業員の情報は変わります。
情報に何らかの変更が生じた場合は、滞りなく労働者名簿の内容も修正していかなければなりません。
保管⽅法に関しては特に定めはなく、近年はパソコンなどで作成し、データとして保管している企業も少なくありません。
修正する場合、データであれば書き換えるだけで済みますが、紙で労働者名簿を作成している場合には、修正箇所に二重線を引いて、訂正印を押してから、新しい情報を書き加えるようにしましょう。


『労働者名簿』は3年間保管すること

労働者名簿は、法律により3年間の保管義務が課せられています。
これは従業員の退職や解雇、または死亡日から3年間となるため、従業員が辞めてしまったからといって、その従業員の労働者名簿を廃棄してはいけません
従業員の数が多くて、もし、辞めた従業員と在籍している従業員の情報を混同してしまうのであれば、退職者と在職者とで労働者名簿を分けて管理するという方法も有効です。

なお、労働者名簿は個人情報保護法の対象になるものです。
労働者名簿の作成や更新のために従業員の個人情報を得る際には、対象となる従業員への利用目的の明示が必要になります。
そのため、就業規則などに社会保険手続き、年末調整などの利用目的を記載しておく必要があります。
また、保存期間内の廃棄や紛失は注意勧告や命令の対象となり、悪質な場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性もあります。

労働者名簿は人事や労務にも使う名簿であるうえに、全従業員の個人情報が詰まったとても大切なものです。
作成・更新・管理を徹底し、常に不備のないようにしておきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。