ウィルサイドコンサルティング合同会社

モンスターカスタマーへの対処法とは?

20.06.30
業種別【飲食業】
dummy
飲食店で店員や他の来客が困るような言動をするお客のことを、近頃ではモンスターペアレントならぬ“モンスターカスタマー”といいます。
店員の接客が気に入らないからと店内でいきなり怒鳴り散らしたり、不当かつ非常識な条件を突き付けてきたりと、その迷惑行為はさまざまです。
今回は、そういった迷惑客が現れた際に飲食店側がとるべき、正しい対応法を見ていきます。
dummy
理不尽な迷惑客と、ミスの指摘をしてくれる客の違い

食事や技術、商品を提供するサービス業を営むうえで、避けて通れないのが『迷惑客』の問題です。
店員や他のお客への態度が悪い、その店でとるべきマナーを守らない、フリードリンクだけで長時間居座るなど、他の人の気分を害する客の姿を目にすることがよくあります。
店内が混雑しているにもかかわらず、通路でかけっこをする子どもたちを注意しない親。
マイボトルを持参してドリンクを注文せず、家から持ってきた容器に食べ残しを入れて持って帰る客。
身近な例をあげると、枚挙にいとまがありません。

しかし、これらの迷惑客の中にも、店側のミスを指摘してくれている人がいるのも事実です。
買ったばかりの弁当の中にまつ毛や毛髪が混ざっていたり、運ばれてきた料理の食器が欠けていたりと、つい見逃してしまった店の過失に気づいて報告してくれる客もいます。
この場合は、明らかに店側のミスであるため、丁重な対応をとるべきでしょう。

また、「料理の提供が遅い」「害虫が視野に入る」など料理の仕上がりに直接関係のないことであっても、責任は店側にあることを前提に、客に対して店内の状況や環境の説明をする必要があります。
たとえば、注文を受けた際にその調理にかかる時間を伝えたり、テラス席の場合は周囲の環境を伝えておくなど、前もった配慮がトラブルを回避するポイントになります。
不満や文句を言ってくるすべての客が“モンスターカスタマー”であると決めつけず、それが本当に迷惑客なのか、それとも店側に改善すべき点があるクレームなのか、正しく把握しましょう。


逆なでせずに即解決を! 非常識な客への対応例

飲食店が受けるクレームは、料理の内容や立地、店内環境などによっても千差万別です。
起きてしまったトラブルはどんな内容であれ、対応は“相手の感情を逆なでしない”ことが最も重要です。
たとえば、料理の辛さや甘さを5段階で選べるメニューを自分で選んだのにもかかわらず、「辛すぎる!」「甘すぎる!」と店のせいにするパターンもあります。
さらに、自分の好き嫌いを楯にして料理のアレンジを強要する客や、他店のメニューに似た調理をするよう粘る客もいます。
これらを発見した場合は、他の利用者に不快な思いをさせたり、迷惑をかけたりしてしまう前に、すぐさま適切な対応をするべきです。

その際に留意しておくべきポイントは、以下の三つ。
(1)どんなに理不尽な話でも、最後までゆっくり聞く
(2)説明をするときは、静かに丁寧に話す
(3)警察に任せるべき案件かどうか、正しくジャッジする

相手が怒っている場合、その話を遮るように口を挟むと、怒りがさらに強まります。
客のリクエストに対して「店の都合上できません」「メニューにないので無理です」など、端的に答えるのもNGです。
客が話し終わるのを待ってから、お詫びを冒頭に付け加え、該当トラブルについて一つひとつ状況説明をしていきましょう。
それでも納得してもらえない場合には、店を出てもらうよう丁重に促すのが賢明です。


こんな時には110番! 刑法に該当する最悪のクレーム

モンスターカスタマー問題には、店員では解決できないパターンもあります。
店内の客が全員たじろいでしまうくらいの大声で威嚇してくる人は、『刑法234条 威力業務妨害罪』にあたる可能性も考えられます。
さらに、「ネットでさらされたくなければ、土下座しろ!謝罪文をよこせ!」などと強要してくる人は、『刑法223条 強要罪』に該当するかもしれません。
また、店側のミスがきっかけで怒り狂い「誠意が足りない!殴るぞ!」などと、執拗にクレームを続ける人は『刑法222条 脅迫罪』に該当することもあります。
慰謝料を求めて「条件をのまなければ悪いクチコミを垂れ流す」などと脅したりする場合には、『刑法249条 恐喝罪』になる可能性があることも覚えておきましょう。

クレームの発端は民事上の問題であったとしても、それが悪化して刑事上の責任問題へと発展してしまう場合には、迷わず警察に連絡をするべきです。
モンスターカスタマーも、「警察を呼びます」という一言で、速やかに立ち去っていくのではないでしょうか。
クレーマーのせいで業務に支障が出ている場合や、どんなに手を尽くしても問題が収束しない場合は警察を呼ぶという選択肢もあることを頭に入れておくとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。