ウィルサイドコンサルティング合同会社

建設関係企業が「いざ」という時に知っておきたい保証制度

20.06.30
業種別【建設業】
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新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月に緊急事態宣言が発令され、建設工事の中止が相次ぎました。
材料費や外注費がかさむなか、工事代金の受け取りが先延ばしになったりと、中小の建設関係企業には厳しい状況かもしれません。
こうした波乱を乗り切るためにも、知っておきたいのが『セーフティネット保証(経営安定関連保証制度)』と『危機関連保証制度』の二つです。
新型コロナウイルス感染症による影響をはじめ、有事の際には味方になってくれるので、ぜひ概要を押さえておきましょう。
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頼りになる保証制度、資格と要件は?

中小企業の経営状態が傾いたとき、頼れる資金調達制度としては、地域建設業経営強化融資制度やファクタリングなどがよく知られています。
セーフティネット保証と危機関連保証制度も、そうした資金調達制度の一つです。

これらは、保証の対象として認定を受けられた場合に限り、金融機関や信用保証協会などに融資を申し込むことで、一般保証とは別枠で融資を受けられ、信用保証協会がこれを保証する制度です。
これまでも、災害や経済危機で打撃を受けた中小企業が、これらの保証を利用して経営の立て直しを図ってきました。
コロナ禍による資金繰りの悪化を食い止めるためにも活用できます。


企業生命を守る二つの保証制度について

『セーフティネット保証』『危機関連保証制度』の二種類の保証制度があり、企業がおかれている状況で、どちらを利用するかが変わります。
資格としては利用条件を満たした上で、事業所のある市町村などの自治体の首長から、認定を受ける必要があります。

●セーフティネット保証
経営安定関連保証とは、取引先の倒産や、災害、感染症、取引金融機関の破たんなどで、経営の安定に支障をきたしている中小企業を対象に、一般保証とは別枠で信用保証を設ける制度です。
認定基準は1号から8号まであり、それぞれに該当する中小企業・小規模事業者が対象です。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合は4、5号が適用できます。

1号 大型倒産の発生により影響を受けている
2号 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限により影響を受けている
3号 特定地域で特定業種を営み、突発的災害や事故で影響を受けている
4号 特定地域の突発的災害(自然災害等)により影響を受けている
5号 全国的に業況の悪化している業種を営む
6号 取引金融機関の破綻により資金繰りが悪化している
7号 金融機関の経営の相当程度の合理化(支店の削減など)に伴い借り入れが減少している
8号 整理回収機構(RCC)に貸付債権が譲渡された中小企業のうち、再生の可能性があると判断される中小企業

保証限度額は、一般保証限度額(普通保証2億円+無担保保証8,000万円)+別枠保証限度額(普通保証2億円+無担保保証8,000万円)となります。

●危機関連保証制度
危機関連保証制度は、2018年4月1日にスタートした比較的新しい制度で、大規模な経済危機や災害などで売上が減少している中小企業を支援するための制度です。
こちらも新型コロナウイルスの感染拡大により経営に影響が生じた中小企業・小規模事業者が対象に含まれ、金融機関、信用保証協会の審査が通れば、セーフティネット保証とは別枠で2億8,000万円の借入債務の保証が受けられます。
利用条件は以下の通りで、信用保証協会が100%の借入債務を保証します。

・金融取引に支障をきたしており、金融取引の正常化を図るために資金調達を必要としている
・原則として、最近1カ月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2カ月間を含む3カ月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる

セーフティネット保証と危機関連保証制度を利用するときには、まず管轄の自治体に『認定申請書』を提出します。
無事に認定が下りたのちに、希望する金融機関や各地の信用保証協会に認定書を持参して保証付き融資を申し込むことになります。


一般の信用保証との違いは?

セーフティネット保証と危機関連保証制度は、企業の円滑な資金繰りを支援するための制度です。
一般的な信用保証に比べて保証料率が低く、軽い負担で保証してもらえます。
また、これらの制度は借り換え(現在借り入れしているところよりも金利の低いところで新たに融資を受け、その資金を現在借り入れしているところの返済に充てる)にも利用できます。
利息を低く抑えることで、収支の健全化も可能になるのです。

国内では、新型コロナウイルス問題だけでなく、地震や台風による被害も頻発し、建設業界も大きな影響を受けています。
もしもの時には速やかに支援制度を利用し、会社の立て直しを図りましょう。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。